医療
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46 巻, 8 号
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  • 安部 憲男, 宮沢 幸仁, 小針 修三
    1992 年 46 巻 8 号 p. 587-591
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1979年から1989年まで国立仙台病院神経内科に入院した脳血管障害患者327名について追跡調査した. 追跡率は99.7%, 平均追跡期間は60.5ヵ月だった. 退院時の日常生活動作(ADL)は,正常群が34%, 自立群が32%, 部分介助群が14%, 全介助群が10%, 死亡群が9%だった6追跡時のADLは上述の群について, それぞれ, 30%, 21%, 13%, 8%, 28%だった. 退院時および追跡時ともに, 加齢とともに重症群の占める割合が有意に多かった. 脳血管障害患者の生存曲線は発症時の年齢に依存し, 発症時の年齢が高いほどおよび退院時ADLが重症なほど, 平均生存期間は短かった. 全介助群の平均生存期間は59歳以下で75.3ヵ月, 60歳から74歳までが61.8ヵ月, 75歳以上では22.7ヵ月であった. 脳血管障害患者の死因は脳血管障害そのものが66%を占めていた. 再発は脳血管障害発症1, 2年後に多く, 12年間の追跡期間中の平均年間再発率は4.2%であった.
  • 山田 謙慈, 杉山 一彦, 藤田 浩史, 井上 圭太郎
    1992 年 46 巻 8 号 p. 592-602
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    脳機能を生化学的に反映すると考えられる髄液中の神経伝達物質とその代謝産物を測定し, 神経学的所見などと対比することによりそれらの物質の変動を評価し, これにより有効な治療法の開発に寄与できると考えた.
    方法:1990年より1991年の間に当院を受診した脳梗塞14例に脊髄穿刺を行い, それにより採取した髄液中の神経伝達物質を測定した.
    結果:1) 皮質枝領域の脳梗塞急性期症例において, Dopamine, Homovanillic acid, 5-HIAA, cyclic AMP, cyclic GMPの著明な増加が認められた. これらの結果は, 従来の動物実験における結果とほぼ一致するものである. また, HVAの増加を伴うDopamine代謝回伝率の低下は, 予後不良と考えられた. 2) グリシンとアラニンの変化には正の相関があること, グルタミン酸値の上昇は穿通枝領域の梗塞においてより顕著であること, また慢性期の痴呆の出現と関連があること, などが示唆された.
  • 平岡 武典, 弘雍 正, 島津 和泰, 大蔵 正則, 手島 安廣, 瀬戸 口啓介
    1992 年 46 巻 8 号 p. 603-610
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    熊本県松橋町で40歳以上を対象にした肺癌検診において, 357名の受診者の148名(41.5%)に胸膜肥厚斑がみいだされた. これらの胸膜肥厚斑に胸膜のみにみられる硝子化肥厚斑および石灰化肥厚斑であり, その胸部X線写真像の特徴からして石綿曝露による胸膜所見が最も考えられた. 148名のうち問診のとれた88名中12名(13.6%)に石綿職歴を持つ人がいたが, 多くは近隣曝露または環境曝露と考えられた. 40歳代には少ないが, 50歳代より急に出現頸度が高かった. 男女間に差はなかった. 翌年6肺癌検診では胸膜肥厚斑の有所見者は1,747名中185名(10.6%)であった. また, 同町の15歳以上を対象にした結核検診では21,689名の中で529名(8.4%)であった. この町の肺癌の標準化死亡比は男性は0.62, 女性は1.26であった. また, この地区で過去15年間に悪性中皮腫の症例は報告されていない. 分析電子顕微鏡による, 主な鉱山の鉱石の分析結果は角閃石族のアンソフィライトであった.
  • 川出 麻由美, 新垣 義夫, 松田 雅弘, 大内 秀雄, 中島 徹, 神谷 哲郎
    1992 年 46 巻 8 号 p. 611-615
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    器質的心疾患を認めない小児期の心室性頻拍(VT)49例について検討した. VT時の心室拍数は, 持続性VTと非持続性VTで差がみられなかったが, 重症状群に持続性VTが有意に多かった. VTの起源は右室65%, 左室35%で, 重症状群に左室起源のVTが有意に多かった. また多源性のVT 3例中2例が死亡した. 薬剤抵抗性VTに, カテーテルアブレーション, 心内膜冷凍凝固術を施行し, 有効であった. 49例中4例(8.2%)が突然死した. 死亡例の検討から, 運動誘発性, 多源性, bidirectionalまたはpolymorphic VTは予後不良で, 薬物療法のみで予防ができなければ, カテーテルアブレーション, 心内膜冷凍凝固術を積極的に考慮すべきであると考えた.
  • 矢野 右人, 升田 隆雄
    1992 年 46 巻 8 号 p. 616-617
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Measurement of 2nd generation anti-HCV, quantitative detection of HGV-RNA using PCR and clinical application of interferon have brought a rapid progress on diagnosis and treatment of hepatitis C. In this symposium many important problems as follows were discussed by five symposists.
    For early diagnosis of acute hepatitis C, anti-core assay is useful, but detection of anti core IgM is difficult as well as of C-100. In differential diagnosis between acute hepatitis and relapse from carrier state, both negative anti-HCV at acute stage and positive at convalescent stage have to be confirmed. Sensitivity of 2nd generation anti-HCV assay is higher than of anti C-100, but some problems on specificity still remained.
    For monitoring in interferon therapy, anti C-100 assay is useful, but evaluation of efficacy by HCV-RNA is necessary. In several effective cases with normalization of ALT, HCV-RNA was still detectable. PCR is the most sensitive method for virological diagnosis, on the other hand identical results were not always obtained by comparative examination of the same samples at different laboratories. Clinical efficacy of interferon therapy is not so high as once thought in the early study, but it is possible that decrease of HCV-RNA and ALT can prevent progression of hepatitis. On the problem of needle stick injury among hospital workers, reliable method to prevent hepatitis C is unkuown. Considering of low frequency of hepatitis after needle stick and high efficacy of interferon to acute hepatitis C, interferon can be administrated after falling ill.
  • 加藤 道夫, 大川 和良, 益沢 学
    1992 年 46 巻 8 号 p. 620-623
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • ―遷延例に対するIFN療法について―
    原田 英治, 矢倉 道泰, 上司 裕史, 福田 彰, 河島 久人, 大林 明, 片山 透, 宮村 達男
    1992 年 46 巻 8 号 p. 623-628
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 林 紀夫
    1992 年 46 巻 8 号 p. 628-630
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • ―C型肝炎と免疫―
    各務 伸一
    1992 年 46 巻 8 号 p. 630-633
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 小沢 由理, 鈴木 恒雄, 大谷 直史, 豊田 恵美子, 吉川 正洋
    1992 年 46 巻 8 号 p. 634-638
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    胸膜炎, 肺の浸潤影, 皮下腫瘤, 心膜炎など多彩な症状を呈した宮崎肺吸虫症の一例を経験した. 症例は26歳の女性で咳漱, 発熱, 左胸部痛を主訴に入院した. 経過中皮下腫瘤が出現し血清学的に宮崎肺吸虫症と診断されプラジカンテル投与により自, 他覚所見とも改善したが, 4日目に心嚢液貯留をみとめた. 肺吸虫症の心膜炎と考えられるが諸家の報告では頻度は約2%でさらには皮下腫瘤, 胸膜炎, 肺内病変との合併は稀であった. また肺吸虫症の皮下寄生9例について検討した.
  • 岩崎 正彦, 高橋 淳, 古瀬 純司, 平澤 晃, 脇田 久, 伊藤 国明, 野崎 忠信, 谷山 新次, 新井 竜夫, 白井 芳則, 山崎 ...
    1992 年 46 巻 8 号 p. 639-643
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例は63歳男性. 平成元年11月肝硬変と胆嚢胆石の診断で近医より紹介され, 第一回目の入院となった. 超音波検査にて肝右葉に径13mmと径10mmの結節性病変を検出した. 血管造影, 超音波映像下肝生検を施行するも悪性所見得られず, 退院となる. 通院中, 肝内の病変はパターン, 大きさとも変化なかった. 平成2年8月, 右側腹部痛を訴え第二回目の入院となった. 注腸造影により, Borrmann 2型の上行結腸癌と診断した. また胃内視鏡では, 胃角部にIIa型早期胃癌を認めた. 平成2年10月, 胃切除術, 右結腸半切除術, 胆摘術を施行. また術中超音波検査により, 肝左葉にも径10mmと径5mmの結節性病変を認め, 同部位を襖状切除した. Edmondson II型の肝細胞癌と, 結腸癌からの転移性肝癌と診断された. 平成3年3月, 癌性胸膜炎のため第三回目の入院となり, 平成3年4月, 呼吸不全により死亡した.
  • 谷口 謙, 西村 康, 八木 祐吏, 上西 囹宏
    1992 年 46 巻 8 号 p. 644-647
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    我々は, 眼瞼下垂, 両外眼筋麻痺, 知能低下, 脳波異常などの臨床症状を示し, 筋生検のGomoriトリクローム染色変法などで多数のragged red fibersを認め, 電顕上多数の異常ミトコンドリアを認めたKearns-Sayer症候群(以下KSSと略す)の不全型と考えられる症例を経験した. 本症例は, 16歳時より両側眼瞼下垂, 外眼筋麻痺, 知能低下をきたし, 上肢帯, 下肢帯の軽度の筋力低下を認めたがKSSの3主徴のうち心伝導ブロック及び網膜色素変性を欠くため, KSSの不全型とするか, 慢性進行性外眼筋麻痺(以下CPEOと略す)とするか意見のわかれるところである. しかし, 最近の遣伝子レベルの研究の文献的考察からKSSの不全型とする方がより妥当であると考えた.
  • 和賀 井望, 大賀 優, 細井 湧一
    1992 年 46 巻 8 号 p. 648-653
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    我々は透明中隔を中心とした腫瘍3例を経験しTranscallosal approachにて手術を行った. しかし同法による手術の問題として, 傍矢状静脈の損傷による出血性梗塞の報告も見られるため手術をするにあたってMRI sagittal sectionおよび脳血管撮影静脈相の検討を行った. それによりvenousentry zoneと手術側を決め, 術中傍矢状静脈を温存し, 十分広い視野で腫瘍摘出が可能であった. しかし, 側脳室体部におよぶ巨大な腫瘍の場合, (特に体部外側に付着している場合)剥離中, 上衣下損傷を生じる可能性があることを銘記しておかなければならない.
  • 松本 光弘, 荻野 幹夫, 浅井 春雄, 小杉 雅英, 瀬川 満, 斎藤 隆, 松本 仁志
    1992 年 46 巻 8 号 p. 654-656
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    良性骨芽細胞腫は, 脊椎・長管骨に多く発生するまれな腫瘍である. 背部痛が生じ, 両下肢麻痺が急速に進行し, MRI上胸髄硬膜外腫瘍と診断した小児に, 早期に手術を行ったところ, 著明に症状が改善した. そして, 組織診断で, 良性骨芽細胞腫であった症例を経験したので報告する. 症例は, 9歳女児, 背部痛が生じ, 4週後, 両下肢不全麻痺になった. 徒手筋力検査で, 両下肢筋力は, すべて4であった. 第6胸髄神経以下の領域で, 知覚が低下していた. 両膝蓋腱反射・両アキレス腱反射が低下していた. MRI 上, 第4胸髄から第7胸髄にかけての硬膜外腫瘍と診断した. そして, 椎弓切除を行って, 第5胸椎椎弓から発生し, 胸髄を後方から強く圧迫している硬膜外腫瘍: を切除した. 術中所見からmeningiomaを疑ったが, 組織診断で良性骨芽細胞腫であった.
  • 吉村 光弘, 木田 寛, 斉藤 弥章, 渡辺 麒七朗, 杉岡 五郎
    1992 年 46 巻 8 号 p. 657-663
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    進行性IgA腎症例に対するステロイドパルス療法の有用性を検討するために, 1日1.09以上の蛋白尿が3ヵ月以上にわたって持続し, 腎生検により10%以上の糸球体に半月体の存在が確認されたIgA腎症の12例に, methylprednisolone 1日1000mg連続3日間の点滴静注を2回実施し, 同時にprednisoloneを初期量として20mg併用し, 前後で尿蛋白量・糸球体濾過量(GFR)・腎組織病変を対比した. 1日尿蛋白量は, 治療前の2.4±0.4(1.0~5.5)gから, パルス療法後には1.2±0.3(0~3.0)gへと減少し, 12例中10例で有意な減少を認めた(p<0.005). 同時にGFRは70±10(31~15)ml/minから78±10(34~134)ml/minへと上昇した(p<0.05). また, 治療前の半月体形成は31±6(10~57)%の糸球体に認められ, かつこのうちの42±7(10~75)%が疾患活動性を示す細胞性半月体により占められていたが, 治療後の細胞性半月体は10例ではまったく認められなくなり, 他の1例でも75%から33%へと著しく減少した. prednisoloneを5~10mgにまで漸減して尿蛋白の推移をみたところ, 8.6±0.9(6~15)ヵ月後にも減少効果は持続して認められた. ただし3例では, 5, 6, 8ヵ月以後から増加傾向を示し, 治療前値に復した. 本研究により, IgA腎症に対するステロイドパルス療法の速効的有効性が裏付けられるとともに, ステロイドの少量維持投与により寛解を維持できることが判明した.
  • 河野 信一, 田崎 義久, 福永 良和
    1992 年 46 巻 8 号 p. 664-666
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    42歳, 男性. 主訴は, 上腹部痛. 右腸管骨動脈との交叉部に尿管結石を認め, このために片側腎実質のひ薄化した水腎症を呈する馬蹄腎と診断. 超音波下に右腎瘻をおき43日間にわたり観察するも1日尿量10~25mlと不変であることより, 腹部正中切開にて右腎尿管全摘除, 狭部離断後, 左腎矯正術をおこなった. 病理組織学的検索にて結石嵌頓部に過形成上皮とともに移行上皮癌を認めた. 術後落痛は消失し, 7ヵ月経過した現在再発なし.
  • 石倉 武幸, 松岡 陽治郎, 森 川実, 天本 祐平, 楠田 展子, 重松 潤
    1992 年 46 巻 8 号 p. 667-669
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    無心体(無脊椎無頭無心体)の1例について, MRI所見を中心に報告した. MRIは本症の形態的特徴及び, 正常胎児, 胎盤との位置関係を明瞭に描出し, それのみで無心体の診断が可能であった. また無心体の軟部組織はT2強調像で高信号を呈し, 浮腫状変化を示していると考えられた. このように, MRIに形態のみならず組織性状までよく描出し本症の診断に有用と考えた. 本症のMRI像の報告は, 我々が検索しえた範囲では見あたらなかった.
  • 長町 典夫, 寺澤 晃司, 近藤 肇, 西庄 かほる, 大塩 猛人
    1992 年 46 巻 8 号 p. 670-674
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    生後7ヵ月に発症した早発思春期症を経験したので報告する. 生後7ヵ月に乳房発育, 生後9ヵ月に5日間の出血があり, 生後11ヵ月に性器出血のため当科受診す. 乳房Tanner II度, 陰毛Tanner I度, 性器出血あり. 血中LH濃度2.5mIU/ml, 血中FSH濃度2mIU/ml, E2 57.6pg/ml, LH・RH test反応不良, USGにてMass(-). CT scan, USGにて腫大を認め, 生後4歳10ヵ月に左卵巣嚢腫摘出術を行う. 組織診はfollicular cystであった. 卵胞液のE23 9,800pg/ml. 約6ヵ月経過後に性器出血がみられ, E2 157pg/ml, USGにて左卵巣の腫大あり, 生後5歳3ヵ月に左卵巣嚢腫摘出術を行い, 組織診はluteinized folicular cystであった. 卵胞液のE2 98,700pg/ml.
    卵巣性早発思春期症と考えているが, 真性(特発性)も否定できず, 今後は長期にわたる経過を観察していきたい.
  • 8. 胃悪性リンパ腫の内視鏡診断
    近藤 仁, 山口 肇, 齊藤 大三, 白尾 国昭, 横田 敏弘, 小黒 八七郎
    1992 年 46 巻 8 号 p. 675-678
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 46 巻 8 号 p. 679-680
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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