医療
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48 巻, 6 号
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  • 塩出 昌弘, 西村 一孝, 橋田 啓, 渡邊 浩毅, 松浦 文三, 関谷 達人, 阿久津 弘, 井町 恒雄
    1994 年 48 巻 6 号 p. 409-414
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    慢性呼吸不全患者14例を対象に歩行時酸素投与量の決定方法について検討した. 歩行時酸素投与量として4段階の酸素量を設定し, 廊下歩行におけるSpO2, 脈拍数, 持続歩行距離について測定して各酸素投与量の段階を比較検討した. 歩行時の酸素投与量としては“SpO2が3分間以上の定常状態を維持し, かつ90%以上を保つ最抵の酸素投与量”という基準が, 歩行時の脈拍数上昇値が前段階よりも有意に低く, 後段階と同等であることから妥当であると考えられた. 歩行時に酸素投与量を増量することによる効果は, 歩行時のSpO2値を上昇させ脈拍の上昇を抑制し, 自覚症状の改善, 持続歩行距離の延長に有用であった.
  • 申野 昇, 藤原 清宏, 甲斐 康之, 山邊 和生, 高田 多津男
    1994 年 48 巻 6 号 p. 415-418
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    26例の肺癌切除標本の気道内洗浄を行い細菌を検査し, 術前の病態との関連を検討した. 3例(11.5%)からグラム陽性球菌, 陰性球菌, 陰性桿菌の3菌株を検出した. そのうちの2例(66.7%)では術前, 術後の喀痰検出菌と一致した. 細菌検出率は術前の喫煙, 閉塞性肺淡, 抗生剤使用の有無, 肺癌の組織型, p-T因子によって有意差を認めなかった. 肺癌切除標本の気道内洗浄による細菌検出率では, 術前の病態との関連は認めなかった. 気道内洗浄によって検出した細菌は, 術前, 術後の喀痰検出菌と一致率が高く, 術後の適切な抗生剤選択に有用と思われた.
  • 秋田 裕司, 太田 明, 後口 ユリ, 古川 正強, 江川 善康, 松村 長生
    1994 年 48 巻 6 号 p. 419-422
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    新主児期発症の重症先天性心疾患(CHD)に対す術前管理を向上させる目的で, CHDのために瘢送入院した新生児64例を対象に, 搬送前(搬送病院)および搬送中の酸素投与の有無および濃度についてretrospectiveに検討した. 搬送前と搬送中の酸素濃度を比較すると, 増加13例, 不変30例, 減少21例であった. CHDの疾患群別の検討では, 単純な肺血流減少型疾患(7例)の平均値が搬送中に増加していたのに対し, 動脈管依存型疾患(37例)および肺血流増加型疾患(20例)の平均値はそれぞれ減少および不変であった. CHDに対する高濃度酸素のadverse effectには十分注意するべきであるが. 当院の新生児期CHDに対する酸素使用状況は適切であると考えられた. 今後ともCHD児への慢然とした酸素投与は慎むべきであると思われた.
  • 真田 光博, 木岡 寛雅, 村上 順子, 谷岡 慶英, 内藤 博之, 藤井 恒夫
    1994 年 48 巻 6 号 p. 423-428
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    国立呉病院母子医療センターにて分娩, 出生した新生児210例に対して臍帯動脈血ガス分析を施行し, 以下の結果を得た.
    1) 出産年齢, 出生体重, 分娩様式と臍帯動脈血ガスの間に有意な関係は認められなかった.
    2) 在胎週数では, 37週未満群にpH値が高くなっている症例が多く認められた.
    3) 分娩第2期所要時間を20分未満と20分以上に分けた検討では, 20分以上群でpH値が有意な低下を示した.
    4) 羊水混濁が認められた症例では, アシドーシスを示す傾向が強かった.
    5) Apgar scoreと臍帯動脈血ガスの検討では, Apgar score7以下の群と8以上の群の間に有意差はなく, 両者の解離傾向が認められた.
    以上より, 出生時の児の状態を知るには, Apgar scoreによる判定とともに臍帯動脈血ガス分析を行い, 出生前の児の生化学的状態をも把握し, その後の管理に役立てることが重要と考えられた.
  • ―その現状と改善策―
    国立病院循環器病共同研究班
    1994 年 48 巻 6 号 p. 429-438
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    循環器専門施設の乱立的過剰と, それによって生じた多くの施設の弱小状態がみられた. 弱小状態は集中治療病床とその専門看護婦の不足, 診療実績の少なさに現れている. 施設毎の症例数が, 大学など以外の施設では, 専門的熟練度の維持に必要な適正数にはるかに及ばない. 大型機器, 専門医の配置も不足している. 施設配置の指標として症例数が最も重要であり, 施設当たり最低, PTCA年80(週2)例, CPB年80(週2)例が望ましい. 人口100万当り1施設の配置でこの条件に適う. 最低基準への公的誘導措置が必要である. 心臓の侵襲的検査・治療の施行には内科と外科の併置が望ましい. 専門医療チームの最小単位として, 独立遂行能力ある専門医師2名と研修途上の医師2名が望ましい. 臨床重視型の専門医制度の進展を期待したい, ICUは人力の点で重大な支障があり, 殊に看護婦数は基準のほぼ半数にすぎない. 基準への到達と未承認病床の解消への努力が急務である.
  • 中村 靖, 藤井 宏, 由良 登, 森山 康弘, 飯田 さよみ, 木下 正博, 森脇 要, 辻 孝, 山本 勝広, 大谷 英世, 藤田 悦生
    1994 年 48 巻 6 号 p. 439-442
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例は42歳の男性. 腓骨骨折の診断にて臥床していたところ, 突然呼吸困難出現し, 心筋梗塞が疑われ当科入院となった. しかし, 血液ガス, 心電図, 胸部X線より肺梗塞が疑われた. 入院直後にショック状態に陥ったため肺動脈造影は施行できなかった. digital subtraction angiographyを行ったところ左肺動脈の欠損像が認められ, 肺血流シンチの所見と一致しており, 広範型肺塞栓症と考えられた. また抗凝固療法としてt-PAとヘパリンとを併用したところ臨床症状の著明な改善がみられ, ショック状態より離脱することができた. 退院時にも肺動脈主幹部の閉塞は残っており, 症状の改善は末梢の血栓の溶解によるものと考えられた.
  • 田中 雄二, 村上 勝, 大石 俊明, 中村 昌樹, 高橋 元一郎, 長谷川 進一
    1994 年 48 巻 6 号 p. 443-446
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    術後1年目に嚢胞状の局所再発を来し, 肺梗塞の合併により, 下大静脈内に肺梗塞防止フィルターを留置し摘出術を施行したS状結腸癌の1治験例を報告する.
    症例は63歳女性. 1989年12月S状結腸切除術を施行後, 90年12月右下腹部に小児頭大の腫瘤を触れ, 翌年1月入院となった. 精査のため施行した腹部血管造影検査の翌朝肺梗塞を併発した. 肺血流シンチでは右中葉に梗塞所見を認め, 静脈造影では右外腸骨静脈内に壁在血栓が存在し, 中枢側は腫瘍により圧排されていた. 手術操作にともなう血栓遊離の可能性を考え, Greenfield下大静脈フィルターを留置後摘出術を施行した. 開腹時, 腹膜播種やリンパ節腫大はなかったが, 嚢胞状腫瘤は組識学的にS状結腸癌の局所再発と診断された. 症例は肺梗塞の再発を認めなかったが, 再手術後22カ月目に肝転移により死亡した.
  • 森田 茂樹, 松田 美登里, 有馬 哲彦
    1994 年 48 巻 6 号 p. 447-450
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    腹部アンギーナで発症した慢性型の上腸間膜動脈閉塞症の1例を報告する. 症例は72歳, 女性. 平成5年5月, 腹痛精査のため, 本院に入院した. 腹痛は食後1から数時間続いたが, 下血や便通異常はなかった. 腹部に血管雑音を聴取した. 血液生化学検査では著変なく, 便潜血反応も陰性であった. 上部消化管内視鏡検査, 注腸検査, 小腸造影検査に異常なかったが, 腹部造影CTおよび腹部動脈造影で, 上腸間膜動脈の閉塞・狭窄像がみられ, 上腸間膜動脈閉塞症による腹部アンギーナと診断した. 血小板凝集抑制剤・他の内科的治療により腹痛は軽減し, 外来通院が可能となったが, 閉塞症の原因として, 抗カルジオライピン抗体が陽性であり, 抗リン脂質抗体症候群によるものが疑われた.
    経過および病因的に興味ある上腸間膜動脈閉塞症の1例と思われ, 報告した.
  • 木下 正博, 中村 靖, 由良 登, 森山 康弘, 藤井 宏, 飯田 さよみ, 森脇 要
    1994 年 48 巻 6 号 p. 451-454
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例は25歳の男性. 発症する9カ月前から持続する肝機能障害を指摘されており, 大量の飲酒を契機として黄疸, 腹水, 肝機能障害悪化をきたし, 肝性昏睡II度以上を呈した. 発症から2カ月後腹部膨満感と下肢浮腫を主訴として当科に転入院した. 入院時プロトロンビン時間61%, ICG停滞率60%であったが, 病歴よりfulminant hepatic failure: acute-on-chronic type (Sherlock)と診断した. 腹腔鏡では馬鈴薯肝の状態であった. 腹部CTでは腹水と軽度の脾腫, 肝萎縮と肝辺縁の粗大な凹凸がみられた. 肝CTより算出した肝容積は1056cm3と減少し, 低吸収域は471cm3(45%), 高吸収域は585cm3(55%)であった. 肝機能の回復に伴い肝容積は増大し, 低吸収域の減少と高吸収域の増加がみられた
  • 古山 輝久, 市場 洋三, 岩村 喜信, 青山 興司, 村上 元正
    1994 年 48 巻 6 号 p. 455-458
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    比較的まれな膵島細胞症(Nesidioblastosis)の1例を経験した. 症例は3カ月の女児で出生直後より難治性低血糖症が持続し, あらゆる内科的処置に対して抵抗を示した. 高インスリン血症が指摘され, 膵島細胞症を疑い膵臓摘出術が2回施行された. 臨床的には腺腫などとの鑑別, 摘出すべき膵臓の範囲が問題となった. 病理的には初回に摘出された膵臓の組織像と2回目に摘出された膵臓の組職像との間に大きな変化があり, まれな症例であった. 臨床的, 病理的観点から若干の文献的考察を加えた.
  • 木村 武実, 吉田 浩之, 和田 吉晴, 上田 啓司, 弟子丸 元紀
    1994 年 48 巻 6 号 p. 459-462
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Trimebutine maleateの投与により構音障害をきたした老年期うつ状態の1症例を経験した. 症例は67歳, 女性. 65歳時, 誘因なくうつ状態となり, 抗うつ薬により中枢神経系の副作用をきたし難治であった. 66歳時, 過敏性腸症候群に対するtrimebutine maleateの投与1時間後から強度の眠気とふらつきを前駆症状として構音障害, 手指振戦を呈し, trimebutine maleate中止により数日で消失した. 頭部CTでは透明中隔腔・ヴェルガ腔や大脳基底核の石灰化, 大脳皮質の軽度萎縮などが観察された. tributineme maleate投与と構音障害出現との時間的関連, 脳血管障害や他の薬物関与の否定などから, 構音障害はtrimebutine maleateの副作用として発現したと考えられた. その機序としては, trimebutine maleateによる中枢神経系のドーパミン系とコリン系の不均衡が推測され, 背景には中枢神経系における先天的および後天的脆弱性が存在するものと推察された.
  • 宮井 将博, 戎野 庄一
    1994 年 48 巻 6 号 p. 463-466
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    最近我々は, 前立腺炎より発症したと思われる細菌性眼内炎の一例を経験した. 尿路性器感染症からの眼内炎はまれであるが, 発症すると失明に至ることの多い重篤な疾患であり今後, 十分に注意すべきものと思われた.
  • 内山 宏幸, 小幡 俊彦, 坂口 直哉, 椿 俊和, 秋本 憲一, 丹羽 靱負, 飯倉 洋治
    1994 年 48 巻 6 号 p. 467-470
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Superoxide dismutase (SOD)は生体内において組織障害性に働く活性酸素を分解する酵素である. 今回我々は乳児期発症の重症アトピー性皮膚炎で, 7回におよぶ入院加療に治療抵抗性であった患児に対してSOD内服療法を試みた. 内服開始後より著明な皮疹の改善が見られ以後入院することなく外来にて経過観察中である. 若干の考察を加え報告する.
  • 6. 肝の良性腫瘍
    藤井 恭一, 花田 清彦, 櫻木 博章, 椎名 丈城, 木村 真二郎, 谷 昌尚, 小堀 鴎一郎, 安達 秀治, 梅田 典嗣, 林 茂樹
    1994 年 48 巻 6 号 p. 471-475
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1994 年 48 巻 6 号 p. 476-477
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1994 年 48 巻 6 号 p. 477
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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