医療
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50 巻, 1 号
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  • 磯部 陽, 松井 英男, 窪地 淳, 島 伸吾
    1996 年 50 巻 1 号 p. 3-12
    発行日: 1996/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    胃癌に単剤で有効と考えられている主要薬剤はMMC, 5-FU, ADMおよびCDDPで, それらの奏効率は20%程度と考えられている. したがって, 進行・再発胃癌に対する化学療法として, MF, FAM, FAP, EAP, FP, MTX/5-FU, FAMTXなどの多剤併用療法が試みられてきた. 当科でも単純で使いやすい2剤併用療法としてMP療法を考案した. しかしながら, 最近数年間の報告をみる限り, これらの治療法のなかでCR例が得られ, 有効性が期待されたregimenでも, その奏効率は30~40%, 50%生存期間は6~9カ月である. また, 比較試験で5-FUのような単剤による治療より優れていることを示したものは少なく, 標準的治療法はいまだに確立されていない. 唯一, FAMTX療法がFAMや無治療に優り, 注目されている. 一方, 現行のregimenを合理的に選択し, 実質的な有効率を向上させるための抗癌剤感受性試験の有用性が臨床試験で初めて明らかとなり, その実用化が期待される
  • 榎本 哲郎, 内山 真, 浦田 重治郎, 富山 三雄, 白川 修一郎, 伊豫 雅臣
    1996 年 50 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 1996/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Benzodiazepine系薬物により, 認知障害を伴った異常行動が出現することが報告されている. この病態生理学的機序を明らかにするため以下の実験を行った. 超短時間作用性benzodiazepine系薬物であるtriazolam 0.125mgを正常被験者に投与し, 認知機能に対する影響を事象関連電位(P300)を用いて経時的に測定し, 同時にこの時の眠気および集中度, 気分を自記式評価尺度polarity profile questionnaireを用いて調べた. この結果, triazolam投与後1時間から4時間後までの間P300の頂点潜時が延長しかつ振幅が減少した. これは, 認知機能の低下を示す所見と考えられた. この時, 自覚的には眠気の増加はみられず, 6時間後には, かえって過覚醒の疑われる状態が出現した. 実験結果から, benzodiazepine系薬物による認知の障害は眠気による二次的作用で起こるものとは考えにくく, この薬剤の直接作用であることが考えられた
  • 若杉 英之, 島崎 恵子, 新生 修一, 樋口 かおる, 園田 文孝, 楢崎 敬明
    1996 年 50 巻 1 号 p. 18-21
    発行日: 1996/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    膵障害モデルとして高カルシウム状況下に培養した膵腺細胞を用い, これにおよぼす漢方薬の効果につき検討した. Wistar雄性ラット膵より, Amsterdam & Jamiesonの方法に準じ, collagenaseを用いて遊離膵腺細胞を作成した. この膵腺細胞を199培地中に1週間培養した. 正常カルシウム濃度(1.8mM)と高カルシウム濃度(6mM)の2種類の条件下に培養し, それぞれについて漢方薬(柴胡桂枝湯, 甘草)80~320μg/mlを添加し, 光顕による観察のほか, 培養液中のアミラーゼ・LDH濃度, 細胞中のアミラーゼ・LDH・蛋白・DNA量を測定した. その結果, 高カルシウム状態に起因する膵腺細胞障害(DNA量の減少, その他)に対し柴胡桂枝湯ならびにその成分の1つである甘草が抑制作用を示すことが明らかとなった. これら漢方薬の膵障害に対する有用性が示唆される
  • 日浦 昌道, 千葉 丈, 下河 達雄
    1996 年 50 巻 1 号 p. 22-26
    発行日: 1996/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    進行卵巣癌3例(IIIc期, IV期-2例)の自験例から, 本法の適応と臨床応用を検討した.
    症例1(IIIc期)は骨盤・傍大動脈リンパ節に多数の転移を認め, Second Look Operation(SLO)で顕微鏡的陽性, 超大量化学療法(CBDCA: 1300mg/m2, VP-16: 1300mg/m2, Cyclophosphamide(CPM): 3000mg/m2)後, PBSCTを施行, 経過良好である. 症例2(IV期)は試験開腹, SLOにて腫瘍の残存を認め, 超大量化学療法(CBDCA: 1500mg/m2, VP-16: 1500mg/m2, CMP: 3800mg/m2)後, PBSCTを施行, 軽快退院するも再燃により死亡した. 症例3(IV期)は開腹時, 大綱部腫瘍は摘出できず, SLOでCytoreductive Surgeryが施行され, 超大量化学療法(CBDCA: 1200mg/m2, VP-16: 1200mg/m2)後, PBSCTを施行, 経過良好である. 全例とも顆粒球数はPBSCT後day8~10で500/μ1以上に, 血小板数もday14-16で100×103/μl以上に回復した. colony Forming Unit Granulocyte-Macrophage(CFU-GM)とCD34陽性細胞数は相関を認めた(r=0.693). 本法の臨床応用はSLOで腫瘍容量の著減例か顕微鏡的陽性例が適応と思われた
  • 児玉 安紀, 堀田 卓宏, 谷口 栄治, 橋詰 顕, 山崎 文之, 梶原 佳則, 羽田 良洋, 姫井 健吾, 東原 道弘
    1996 年 50 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 1996/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    転移性脳腫瘍の手術非適応の例で径3cm以下の転移巣に対して駒井式CT定位脳手術装置を使用し精密に病巣の位置決めを行い, マイクロトロン10MVX線による回転照射を行った. すなわち, ベッドの角度を15度ずつ変えることにより異なる3軌道の360度回転を行い, 1軌道あたり10Gyで標的部位に一度に計30Gyの照射を行う定位高線量回転照射を試みた. 10症例15ヵ所の転移病巣に対する照射治療効果は照射1~14ヵ月後のCT, MRIでCR4ヵ所, PR6ヵ所で他の5ヵ所はNCであった. 奏効例は7症例(70%)で, 副作用はみられていない. 本法は操作も簡単でありガンマナイフ治療と同様入院期間は短縮され自宅での有意義な生活が可能となり, 長期予後のよくない転移性脳腫瘍の患者のQOLを考えれば有効な治療手段と思われる
  • ―循環器領域―
    木村 格
    1996 年 50 巻 1 号 p. 32-35
    発行日: 1996/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    脳血管障害に伴う慢性頭痛と後遺症である運動麻痺肢に2次障害として発現する浮腫に対する漢方療法の臨床成績を示し, その薬理学的に効果について考察をした.
    口頭同意を得た慢性頭痛を主訴とする脳血管障害60例を対象に, 釣藤散7.5グラム/日の内服を行い, 最終的な頭痛の改善率は78.3%であった. 投与開始2週間から効果のある症例が出現し, 6~9週でもっとも高率で効果がみられた. 胃腸障害と内服困難なために3例では服薬を中途で中止した. 運動麻痺肢に明らかな浮腫を伴う脳血管障害35例を対象に柴苓湯9グラム/日の内服を行い, 浮腫の改善を検討した. 34%では完全に改善, 他の34%では50%の改善が, 17%ではわずかな改善がみられた.
    漢方療法はこの両者の臨床症状の改善に効果があり, 主要な循環器疾患である脳血管障害患者の生活の質を高めるために有用であると結論した
  • 近藤 敏, 古川 正人, 酒井 敦, 宮下 光世, 三根 義和, 佐々木 誠, 花城 直次, 比嘉 聡, 松岡 陽治郎
    1996 年 50 巻 1 号 p. 36-39
    発行日: 1996/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    画像診断の進歩により膵癌の診断率は向上してきているが, CTやMRIを駆使しても主腫瘍が描出できない場合もある. 今回われわれはThickened vessel sign(上腸間膜動脈あるいは腹腔動脈周囲の脂肪層の消失と血管壁の肥厚した所見)が診断に有用であった主腫瘍描出不能な進行膵癌の2例を経験した. 第1例は73歳の男性, 第2例は60歳の男性であり, いずれも血管造影にて広範な血管浸潤を伴っていたが, CT, MRIで膵腫瘍は明らかでなく, Thickened vessel signのみが陽性所見であった. Thickened vessel signは必ずしも膵癌に特異的というわけではないが, 進行膵癌を診断する上で判断材料のひとつとして有用であると考えられた
  • ―他症例の臨床症状, triplet repeat数と比較して―
    佐藤 圭子, 早原 敏之, 難波 玲子, 柏原 健一, 岡田 尚二郎
    1996 年 50 巻 1 号 p. 40-43
    発行日: 1996/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)では12番染色体短腕上にCAG triplet repeatの延長が認められるが, このtriplet repeat延長のホモ接合を呈したDRPLAの一症例を報告した. 症例は39歳の男性で, 17歳時に舞踏病様の不随意運動で発病し, ミオクローヌス, 痴呆, てんかん発作が加わり, 症状は緩徐進行性であった. 家族歴では, 両親は従兄婚で7人兄弟中4人はミオクローヌスてんかん型を呈した. 遺伝子解析では本症例はtriplet repeat57回のホモ接合で, 両親は57回と15回のヘテロ接合であった. DRPLAではtriplet repeatの多いものほど若年発症で, repeat数が62回以上の症例は20歳以下で発病する傾向があることが知られている. 当院で経験した他症例では, repeat数は平均59.7回(54~68回), 発症年齢は平均31.0歳(10~46歳)であった. 本症例ではtriplet repeat数の延長は57回と比較的少なかったが, ホモ接合のため若年発症したと考えられた. 以上より, DRPLAではtriplet repeat延長のホモ接合が若年発症化に関与すると考えられた
  • 由井 靖子, 田村 禎通, 岩野 健造, 石田 孝敏, 小田 修治, 須井 修
    1996 年 50 巻 1 号 p. 44-46
    発行日: 1996/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    32歳の男性が防水スプレー噴霧後約6時間半後にARDSの状態で来院した. ステロイドのパルス療法により, 良好な経過をたどり16日後に退院した. 胸部のCT所見が非常に特徴的で, 末梢部に波及が少なく, 中心部に高い濃度上昇を認めた
  • 益田 俊樹, 西原 修美
    1996 年 50 巻 1 号 p. 47-49
    発行日: 1996/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    女性の外陰部に生じた硬化性萎縮性苔癬の2例を報告する. 第1例は75歳で外陰から肛囲にかけて掻痒を伴う脱色素斑があり, びらん, 紫斑を混じる. 第2例は67歳で, 外陰部の萎縮が著明でその部に脱色素斑がある. 両者とも組織学的所見は本症の典型像であった. 掻痒に対しては副腎皮質ホルモンの外用が奏効し, 症例1は観察期間を含め発症から4年, 症例2は6年経過したが悪性化の兆候はない
  • 丹羽 咲江, 三輪 是
    1996 年 50 巻 1 号 p. 50-54
    発行日: 1996/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    頑固な膀胱出血を呈した3例に対して胃粘膜保護剤であるマーロックスを使用し, 良好な止血効果を得た. 症例は, 放射線性膀胱炎1例, cyclophosphamideの副作用による出血性膀胱炎1例で, 治療抵抗性の膀胱出血のため, 重篤な貧血に陥っていた. 膀胱内にマーロックス原液を50~100ml注入して30~60分間留置し, この操作を1日1~2回, 連日して行った. 全例で明らかな副作用を認めることもなく, 注入開始後1~10日目(平均6.8日目)で止血された. マーロックスの膀胱内注入は止血効果が良好で, 副作用がなく, 手技も簡便であり, このように慢性に経過する難治性の膀胱出血に対して有効な治療手段の1つになりうると考えられた
  • 須貝 聖一, 朝長 恭二, 宮副 初司, 小林 伸雄, 権藤 泉
    1996 年 50 巻 1 号 p. 55-58
    発行日: 1996/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    シリーズ形成性発作を特徴とする癲癇としては, EIEEやWest症候群がその代表である. 今回, video-EEG同時記録を行い, 臨床的には覚醒時の点頭発作, すなわち頭部および四肢を伸展ないし屈曲硬直させるシリーズ形成性tonic spasmsを認めるものの, 発作間欠期脳波にはhypsarrhythmiaやsupPression burst patternなどの特徴的パターンを全く認めない乳児3症例を経験した.
    基礎疾患の有無内容など一様な症例ではなかったが, いずれもVit B6製剤あるいは抗てんかん剤の内服により発作は消失し精神運動活動の改善をみた. 臨床脳波学的にも類似症例の報告は乏しく, てんかん類型上, 臨床上興味深い症例と考えられる
  • 西川 邦男, 米田 孝明, 江谷 勉, 石井 俊二, 万代 光一
    1996 年 50 巻 1 号 p. 59-65
    発行日: 1996/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    病理大切片標本は, 個々の細胞の微細構造を観察することはできないが, 細胞集団により構成された各組織はその染色性, 形態などにより容易に確認できるので, 手術摘出材料の全体像を観察するのに適している.
    それゆえ, 大切片標本にて, 腫瘍の進展方向や浸潤様式を, 小切片標本にて, 腫瘍の組織型, 分化度, 脈管侵襲度やリンパ管侵襲度, 腫瘍細胞の核の異型性や分裂像, 間質反応の程度などの微細構造につき総合的に検討を行うことにより, 適切な治療方針を確立することが可能となる.
    手術摘出材料の硬組織大切片標本を作製することにより, 腫瘍の骨髄内への進展方向や浸潤様式, 髄内播腫を病理組織学的に, 術後に客観的に評価できる.
    腫瘍が骨髄に浸潤した場合の適正な骨切り範囲を確立することが可能であり, 治療成績の向上につながると考えられる
  • 山川 賢一, 森田 茂樹, 松田 美登里, 堀内 芳夫
    1996 年 50 巻 1 号 p. 66-68
    発行日: 1996/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    ACTH産生肺癌によるCushing症候群の1例を報告する.
    症例は56歳, 男性. 昭和56年, 糖尿病と診断され, 食事療法を行っていた. 平成3年, 検診で左肺上葉の腫瘤影を指摘され, 肺癌と診断された. 左上葉切除術を施行されたが, 紡錘細胞癌であった. 平成4年12月, 高血糖が続くため当科に入院した. 腹部CTにて上腹部に腫瘤影を認めたが, その増大とともにACTH(adrenocorticotropic hormone)・NSE(neuron-specific enolase)が増加し, 高コルチゾール血症と低カリウム血症を呈した. 剖検では上腹部に周辺臓器を巻き込みながら一塊となった腫瘤がみられ, 病理学的に肺癌の腹腔内転移と診断された. 紡錘細胞癌による肺癌はまれであり, またACTH・NSEを産生し, Cushing症候群を呈した例は報告がなく貴重な1例と思われた
  • ―Alzheimer病症例における観察より―
    波多野 和夫, 大塚 俊男, 濱中 淑彦
    1996 年 50 巻 1 号 p. 69-72
    発行日: 1996/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    著しい語間代(Logoklonie)の言語症状を呈した初老期発症のAlzheimer病の1例の症例報告を行った. 語間代はKraepelin(1910)の教科書に記載された有名な現象であるが, これまでほとんど取り上げられることなく, 議論の対象としては等閑視されて来たといってよい. 我々は, 自験例との臨床的経験を通じて, この語間代という言語症状の輪郭を明らかにし, その現象と発生に関わる要因として, (1)音節レベルの水平性反復, (2)脳器質性言語障害, (3)発話発動性の保存, (4)精神運動性解体としての固執性症状, (5)前頭葉損傷との関係, (6)経過の問題という特徴を取り上げ, その意味を考察した. 併わせて類似の病的言語現象として, (a)吃音, (b)子音・母音再帰性発話, (c)部分型反響言語を挙げ, これらとの鑑別診断についても考察した
  • 1. 神経・筋疾患(a)Duchenne/Becker型筋ジストロフィー
    石原 傅幸
    1996 年 50 巻 1 号 p. 73-76
    発行日: 1996/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1996 年 50 巻 1 号 p. 77
    発行日: 1996/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1996 年 50 巻 1 号 p. 77a-78
    発行日: 1996/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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