医療
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50 巻, 5 号
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  • ―行動医学からの検討―
    足達 淑子, 山上 敏子
    1996 年 50 巻 5 号 p. 339-346
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    行動医学の視点から患者コンプライアンスの研究を概観し, 行動療法によるコンプライアンス研究の実例を示し, コンプライアンス改善のための行動的教育モデルを提案した.
    コンプライアンスは患者行動から健康行動までを対象としている.
    多くのコンプライアンス研究の結果は, コンプライアンスの良否が実際の治療効果を左右すること, コンプライアンス改善のためには, 行動的方法が最も有効であること, を明らかにしている.
    欧米では, コンプライアンスの確保が, 高血圧や冠疾患の危険因子対策では重要な目標となっており, また, そのための合意された方法がある. 著者らは, 教育によって患者に生じるプロセスを行動連鎖とみなすことによって, コンプライアンス改善の方法を包括することができる, 新しい行動的教育モデルを提案した. そして実際の臨床では, 医師がそれを意識して治療を組み立てることが重要である, と結論した.
  • 白木 照夫, 斎藤 大治, 村田 克敏, 竹本 俊二, 梶山 晃雄, 小天 和也, 竹内 真智子, 河野 宏
    1996 年 50 巻 5 号 p. 347-351
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    NYHA心機能分類class 2の特発性心筋症患者(肥大型心筋症40例, 拡張型心筋症15例)に自転車Ergometerを用いて25Watt, 50Watt, 75Watt各3分の多段階運動負荷を加え, 運動負荷に対する血圧と心拍数の反応から各疾患群の特徴を検討した. 対照として健常成人40例を用いた. 運動負荷強度の増大に対し, 収縮期血圧は3群ともにほぼ直線的に増加し, 増加度も3群間に差を認めなかった. 運動強度の増大による心拍数の増加は拡張型心筋症(DCM群)で小さい傾向を示すものの, 統計的には有意ではなかった. しかし収縮期血圧と心拍数の比(BPs/HR)は, 運動強度の増加に連れて3群ともに減少したが, 減少度はDCM群が他の2群に比べて小さかった. したがって, DCM群では運動負荷に対する交感神経α受容体とβ受容体の反応の比率が健常者やHCM群とは異なっていることが示唆された.
  • 柴田 勝憲
    1996 年 50 巻 5 号 p. 352-356
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    心不全軽快時の指標は, 血漿フィブリノーゲン変化が本当か, 血漿量変化か, 心不全で入院した連続22名で, 感染症, 急性心筋梗塞を合併せず退院可能例の血漿フィブリノーゲン, プロトロンビン時間, ヘパプラスチンテスト, ヘマトクリットを一週間ごとに測定. 入院時フィブリノーゲン277.6±115.1mg/dl, 一週後371.9±120.6mg/dl(p<0.01), 二週後366.6±94.7mg/dl(p<0.005), 三週後376.8±94.4mg/dl(p<0.005), 四週後355.1±100.7mg/dl(p<0.01)と変化した(paired t-test). プロトロンビン時間, ヘパプラスチンテスト, ヘマトクリットは変化なかった. フィブリノーゲンは年齢, 性で変化し200mg/dl以上が正常というわけではなく, 入院時高値でも病状改善とともに上昇する我々の成績は, 鬱血性心不全非代償期に肝臓でのフィブリノーゲン形成障害や崩壊を来すという説と合致する. 結論として, フィブリノーゲンは諺血性心不全や, 強心薬の有効性の評価に有用な指標となる.
  • 中野 昇, 清本 徹馬, 栗原 陽次郎, 貴島 弘樹, 塩出 昌弘, 西村 一孝, 井町 恒雄
    1996 年 50 巻 5 号 p. 357-360
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    肺癌手術時の気管支断端閉鎖に対して, 器械縫合を行った77例と手縫い縫合を行った73例の術後気管支断端瘻について比較した. 術後気管支断端瘻は器械縫合群の1葉切では55例中1例(1.8%), 2葉切では15例中1例(6.7%), 肺摘除では7例中2例(28.6%)であり, 全体では77例中4例(5.2%)であった. 術後気管支断端瘻は手縫い縫合群では73例中0例(0%)であった. 術後気管支断端瘻について器械縫合群と手縫い縫合群とを比較すると, 有意差は認めなかった(P=0.067). 器械縫合群の術後気管支断端瘻を認めた4例の発生要因の検討では, 肺摘除と脚高4.8mmのステイプル使用が有意に(p<0.05)高率に術後気管支断端瘻が発生した.
    器械縫合群では, 術後気管支断端瘻の発生は肺摘除と脚高4.8mmのステイプル使用において有意に高率であったが, 術後気管支断端瘻が発生した際に, 適切な治療を行えば治癒可能と考える.
  • 大谷 卓也, 松葉 健, 上野 博嗣, 小澤 正宏, 替地 恭介, 舟木 清美
    1996 年 50 巻 5 号 p. 361-364
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    20膝に対しsubvastus approachを用いてTKAを行ったので, その短期成績を調査するとともに, 展開のコツ, 注意点などにつき考察した. 展開に際し膝蓋骨の翻転は14例では容易であったが, 6例ではやや困難であった. これらの症例では, 内側広筋を下行膝動脈のレベルまで持ち上げる, 内側広筋末梢端の関節包への付着を切離する, 骨棘を切除する, 外側膝蓋支帯解離を行うなどの操作を順次加えることで翻転が可能となった. 膝蓋腱に引かれて脛骨が外旋しているため, 脛骨コンポーネントを誤って内旋位に設置しないよう注意が必要であった. SVAの侵入路と関連した術中, 術後の合併症や, PF関節に関連した術後合併症は1例も認めなかった. SVAは解剖学的に理にかなった, 多くの長所を持っ侵入法である. その適応, 展開のコツ, 注意点などを理解することで, 多くのTKAに応用できるものと考える.
  • 夛田羅 勝義, 西條 隆彦, 合田 友子, 水谷 滋, 松家 豊, 福田 邦明, 松岡 優, 黒田 泰弘
    1996 年 50 巻 5 号 p. 365-369
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    睡眠時低酸素血症のみられた人工呼吸下のDuchenne型筋ジストロフィー(DMD)3例においてポリソムノグラフィーを実施した. 人工呼吸法は体外式人工呼吸器(CR)が2例, 鼻マスクによる間歌的陽圧換気(NIPPV)が1例であった. CR例では低酸素血症と一致して横隔膜呼吸運動の消失が確認された. NIPPVでは口腔からの空気漏れのため低換気となり低酸素血症が引き起こされた. いずれの症例でも覚醒時人工呼吸中は酸素飽和度が正常であった. 人工呼吸下のDMDでは定期的にパルスオキシメータなどによるモニターを実施し, 常に人工呼吸器の評価も含めた適切な呼吸管理を実施する必要がある. またCRをDMDの睡眠時人工呼吸器として用いることには限界がある.
  • 廣田 典祥, 黒田 喜美子
    1996 年 50 巻 5 号 p. 370-371
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    When a patient's family faces a mortal crisis of the patient, they experience a peculier psychological process. Due to difficulty in recognizing the reality of the matter, it is likely they have difficulty in understanding the explanation of the patient's condition and treatment by medical specialists. This paper presents suggestions which contribute to the qualitative aspect of medical care, considering measures to cope with patient family at different clinical settings of NICU, Center for Critical Medicine, organ donation request, incurable neurological diseases and terminal care.
  • 吉永 宗義
    1996 年 50 巻 5 号 p. 372-373
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 菊野 隆明, 市来 嵜潔
    1996 年 50 巻 5 号 p. 374-375
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • ―看護の立場から―
    小西 洋子
    1996 年 50 巻 5 号 p. 376-377
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 山本 和子
    1996 年 50 巻 5 号 p. 378-379
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 菅原 みっ子
    1996 年 50 巻 5 号 p. 380-381
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 富永 理子
    1996 年 50 巻 5 号 p. 382-383
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 平成3, 4, 5年度国立病院治療共同研究
    朝倉 英男, 篠原 照彦, 渡辺 道子, 多田 明, 牧野 正興, 加賀美 芳和, 古畑 哲彦, 片岡 正明, 平田 秀紀, 羽田 良洋, ...
    1996 年 50 巻 5 号 p. 384-389
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    TDF因子による耐容線量, すなわち, 1日2回照射では1回1.2Gyなら79.2Gy, 1回1Gyなら87Gyをこえる線量を高線量と定義した. 多種類のがんに対して1回1~1.2Gy, 1日2回, 1週5日で10回照射のhyperfractionationで高線量を投与しその効果を検討した. 全症例217例の放射線による直接効果はCR44例, PR121例, MR9例, NC38例, PD5例で奏効率は76.0%だった. 他の知見としては, 1)本法は身体のどの部位にも適用できる. 2)100Gy以上の投与では1回1.2Gyの場合は総線量36~48Gy以後は1回1Gyとすべきである. 3)本法は頭頸部腫瘍, 肺がん, 婦人性器がんに有効である. 他種のがんにも総線量を増加させることで成績改善が期待できる. 4)1回1.2Gyでは84Gyまで, 1回1Gyでは100Gyまでの投与では放射線肺炎などの晩発障害は従来の慣用法より軽度である.
  • 古田 竜一, 須賀 昭二, 岩瀬 弘明, 島田 昌明, 宇留間 元昭, 高村 幸弘, 平岩 亜希子, 中村 豊, 舟木 康, 小島 啓志, ...
    1996 年 50 巻 5 号 p. 390-393
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例は50歳の女性. 腹部膨満, 食欲低下, 貧血を主訴に来院した. 上部消化管X線および内視鏡検査にて癌性腹膜炎を合併したスキルス胃癌と診断した. まず, 導入療法としてUFT/CDDP化学療法を行い, 続いて維持治療としてMTX/5-FU時間差療法を施行した. その結果, まず約9ヵ月にわたり病態は寛解した. 以後出現した胸水にはOK-432の直接投与を行うことによりコントロールされた. その後癌性腹膜炎を再発し, 治療に抵抗性となった. 初期治療からの生存期間は19ヵ月であった.
  • 谷口 清英, 藤井 正吾, 久保 昭仁, 三崎 眞弓, 石川 眞理子, 日下 富衣, 中村 明美, 金谷 和延, 畑中 良夫
    1996 年 50 巻 5 号 p. 394-397
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    一過性の呼吸器症状増悪の際に発見された球脊髄性筋萎縮症(BSMA)患者における多発性気腫性肺病変について考察した.
    本症例のような遺伝性運動ニューロン疾患においては, 神経変性は緩徐に進行し, 呼吸不全に至る経過はもっぱら呼吸筋の障害が主とされている. しかし, BSMAに特徴的とされている内分泌学的随伴徴候以外にも, 呼吸器系の障害, とくに肺の嚢胞性変化が遺伝的に存在すること, およびこれが呼吸不全の進行に関与する可能性もあることが推定された.
  • 矢野 健二, 細川 亙
    1996 年 50 巻 5 号 p. 398-401
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    特発性陰嚢石灰沈着症の1例を報告した. 症例は29歳男性で, 10年前に陰嚢皮膚の小結節に気づき, 次第に数と大きさが増したため当科を受診した. 初診時, 自覚症状はみられず, 他の全身皮膚に同様な病変は認められなかった. 陰嚢皮膚に米粒大から小指頭大の半球状に隆起する硬い結節が多数認められ, 結節の一部は集塊を形成し, 周囲との境界は明瞭で, 下床との可動性は良好であった. 臨床検査所見では異常を認めなかった. 局所麻酔下に切除術を施行した. 切開すると白色の光沢を持った腫瘤塊が認められた. 組織学的には, 表皮下の線維性結合織内に大小の石灰沈着巣を認め, その周囲には異物巨細胞, histiocyteの集籏が認められた. Von Kossa染色では, 無構造物質は黒染し, 石灰沈着巣であることが確認された.
  • 2.運動失調症: 診断のポイント脊髄小脳変性症(その1)
    湯浅 龍彦
    1996 年 50 巻 5 号 p. 402-406
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1996 年 50 巻 5 号 p. 407-408
    発行日: 1996/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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