医療
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52 巻, 6 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • ―その変貌・自験例も含めて―
    門脇 純一
    1998 年 52 巻 6 号 p. 341-346
    発行日: 1998/06/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    小児腎臓病について, 勉強をしなくてはと意識しだしたのは, 著者が大学から国立療養所に異動してからで, かれこれ30年となる. この時間と今の自分の学問的内容, 業績を天秤にかけると, 筆を持つには勇気が要るというのが, 率直な気持ちである.
    しかし, ある節目を迎えようとしている一人の厚生技官医師の生き態を知っていただくのも, ある意味での責務かなどと, 自分に言いきかせて, 筆をとった.
    本稿では小児腎疾患のなかでも, 最近大きな進歩をみせている画像・遺伝子・組織・診断を概説するとともに, 総説の資質の適確性のうえでは問題を残しながら, 自分の仕事の一部である小児腎疾患の疫学, 特発性ネフローゼ症候群の副腎皮質ステロイド・免疫抑制療法を加えさせていただいた.
  • ―特に消化器外科領域において―
    小長 英二
    1998 年 52 巻 6 号 p. 347-351
    発行日: 1998/06/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    外科領域においては手術手技や周術期の管理の進歩により, 手術適応の拡大が図られ, また安全に行える様になった. 特に抗菌薬の開発の進歩は感染症の治療に寄与するとともに, 周術期の感染防止にも貢献した. しかしその反面, 抗菌薬が安易に多用された結果, 多剤耐性菌の出現など新たな問題を提起した. 周術期に発症するすべての感染症を抗菌薬によって防止することは不可能であり, 手術操作のおよぶ術創に発生する感染を阻止することを目的とすべきである. したがって最近では, 術後に投与する抗菌剤は感染予防薬ではなく, 感染阻止薬として認識される. そのためには, 手術の対象臓器, 予測される汚染の程度, 汚染菌などから有効と考えられる抗菌薬の選択を行い, またその投与期間を決めるべきである.
  • ―HCV-RNA, ALT, 肝線維化マーカーからの検討―
    竹崎 英一, 村上 信三, 津田 敏孝, 水野 重樹, 松岡 恵
    1998 年 52 巻 6 号 p. 352-357
    発行日: 1998/06/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡で斑紋肝あるいは結節肝を呈した慢性HCV感染患者62例に対するIFN-α治療効果を治療開始から33.0±12.6ヵ月間の血清ヒアルロン酸, PIIIP, IVコラーゲン7Sの変動で検討した. 治療後HCV-RNA陰性が持続している症例群で最も著明であったが, これら3マーカーの少なくとも1つが, IFN-α治療後の血清HCV-RNA, ALTの反応結果に関係なく有意に低下した. follow期間中に肝細胞癌が8例に発生し, これらの症例は全例治療後HCV-RNAが再陽性化あるいは陽性が持続している症例であり, 治療後のALTの変動とは関係なかった. したがって, 再生結節を示す肝においても, IFN-α治療は治療に対する反応結果にかかわらず, 肝線維化マーカーを改善させることが可能であったが, 肝細胞癌発生抑制には治療後血清HCV-RNA陰性が持続することが必要であることが示唆された.
  • 鈴木 恒雄, 高原 誠, 小林 信之, 川田 博, 豊田 恵美子, 工藤 宏一郎
    1998 年 52 巻 6 号 p. 358-361
    発行日: 1998/06/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    肺気腫患者における運動制限因子について検討をした. 21例の肺気腫患者に運動負荷を行わせ, 最大運動負荷時のVO2, VE, TV, O2-Pulse, HRを計測し, また安静時の個々のデーターとの差△VO2, △VE, △TV, △O2-Pulse, △HRを計算しこれらの値を15例の間質性肺炎患者の運動負荷と対比することにより運動制限因子の検討を行った. 肺気腫と間質性肺炎の両群でVO2, △VO2に差はなく両群の運動能は同じであった. またVE, △VEも差はなく, 換気能もほぼ同じであった. O2-Pulse, △O2-Pulseは有意差はないものの肺気腫では, 間質性肺炎に比べて低値であった. HR, △HRは両群でほぼ同じであった. 肺気腫で△O2-Pulseが低値である原因としては, 過膨脹した肺が心臓を圧迫し, 心拍出量の増加を制限していることによると考えた. 今回の研究では両群で有意差がでた因子はなかったが, 肺気腫では△O2-Pulseが低値の傾向を示した.
  • 田中 孝昭, 松葉 健, 上野 博嗣, 辻美 智子, 舟木 清美, 藤井 克之, 池上 亮介, 河井 宏之
    1998 年 52 巻 6 号 p. 362-366
    発行日: 1998/06/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    慢性関節リウマチに対するメトトレキサート(MTX)の効果を検討すると同時に, 血中ならびに関節液中のMTX濃度の推移について検索した. 対象症例は26例で, 年齢は, 22~78歳である. MTXの効果判定は, 投与後半年以上が経過したものについて行った. また, MTXの血中および関節液中の濃度の測定の際には, 全例, 2.5mgの経口投与とした. 臨床症状を評価すると, 著明改善2例, 改善13例, やや改善4例, 不変7例で, 悪化例はなかった. MTX投与後の血中濃度は, 内服後2時間でピークに達したが, 12時間後には検出不能なレベルにまで低下した. 関節液中の濃度も同様な経時的推移を示したが, ピーク時の値は血中濃度の約60%であった. 以上の結果から, 関節局所におけるMTXの濃度は低く, また, 短時間で消失することから, 抗悪性腫瘍剤として用いられた時に得られる免疫抑制作用の発現は少ないものと思われた.
  • 六田 暉朗, 増田 栄太朗, 環 正文, 杉本 友則, 三木 啓司, 喜多 青三, 住友 美智代, 淡井 千恵子, 島 弘子, 清水 恒実, ...
    1998 年 52 巻 6 号 p. 367-371
    発行日: 1998/06/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    重症心身障害者の肺炎等呼吸器感染症7例(延べ19例)に, 経鼻気管内吸引を施行した. その適応は喘鳴あるいは異常呼吸音があり, 間接的な方法では排痰不十分と判断された症例であった. カテーテルの気管への挿入は難易差はあったが, 全症例で可能であった. その際, クードチップ型カテーテルが気管への挿入に有用であった. 全例治癒したが, 3例はさらに他の処置を要した. そのうちの1例は喀痰が多く, 小気管切開術(minitracheotomy, 以下MT)を施行したところきわめて有効で, 治癒した. 他の1例は頚部の強い後屈を反復する症例で, MT施行後1日でカニューレが抜け, その後上部気管狭窄を認め気管切開を施行し治癒した. 残る1例は空洞を伴う肺膿瘍から膿気胸に進展し, 胸腔ドレナージを施行し治癒した. 経鼻気管内吸引は, 簡便で看護婦にもできる, 他の方法に先立つ有用な方法と考えられた. また, MTは症例によっては, 気管切開を回避できる簡便, 有用な方法である.
  • 朝戸 裕, 向井 美和子, 篠原 央, 下山 豊, 古田 一徳, 西堀 英樹, 栗原 直人, 土橋 誠一郎, 壁島 康郎
    1998 年 52 巻 6 号 p. 372-375
    発行日: 1998/06/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    乳房の顆粒細胞腫は比較的まれな腫瘍である. 我々はその1例を経験したので報告する. 症例は32歳の女性, 右乳房に腫瘤を自覚し1年後に増大傾向を認めたため受診, 右乳房外上(C)領域に2×2cm大の皮膚の陥凹を伴う硬結を1個触知したが, 所属リンパ節は触知しなかった. 乳腺超音波検査では乳癌を疑われた. 穿刺吸引細胞診を施行し異型細胞を認めなかったが, 乳癌が否定できず腫瘤摘出術を行った.
    ヘマトキシリンエオジン(以後H. E.)染色で腫瘍は胞体の豊富な大型の細胞よりなり, PAS陽性の顆粒を持ち, 核分裂像は認められず, 異型性も無かった. 胞体内の顆粒はS-100蛋白, neuron specific enolaseが陽性であり, 良性顆粒細胞腫と診断された, 術後経過は良好で, 12年間再発も無く健在である. 乳房の顆粒細胞腫はまれな疾患であるが, 文献的にも術前の臨床的診断で乳癌を疑われている例が多く注意が必要である. また良性例が大部分を占めるが少数の悪性や遠隔転移を起こした症例も報告されている.
  • 片平 智行, 都築 知代, 内田 雄治, 柴田 金光, 三輪 是, 戸谷 良造, 鈴置 洋三, 新美 教弘, 長屋 昌宏, 山中 勗, 長浜 ...
    1998 年 52 巻 6 号 p. 376-380
    発行日: 1998/06/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    臨床上正常な第1子(5歳女児)と生後2日で死亡した第2子(女児)の出産歴がある妊娠6週の女性(29歳)と夫(35歳)が, 出生前診断を希望して当科に受診した. 妊娠16週で羊水の染色体分析を実施したこところ, 胎児は46, XX, t(4;5)(p15.1;p14.2)の均衡型相互転座を有していた. 次に夫婦の染色体を分析した結果, 女性は正常核型であったが夫は胎児と同じ相互転座を保有していた. したがって, 胎児の転座染色体は夫に由来することが判明した. また, 第1子も同じ相互転座の保有者であることが判明した. これらの結果と臨床所見から, 出生後死亡した第2子は父親由来の不均衡な核型を有する可能性が考えられたので精査したところ, 46, XX, der(4), t(4;5)(p15.1;p14.2)patの核型であることが確認された. 以前に先天異常児の妊娠歴を有する場合の出生前診断では, 夫婦を含む慎重な染色体解析が特に必要である.
  • 有川 二郎
    1998 年 52 巻 6 号 p. 381-385
    発行日: 1998/06/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1998 年 52 巻 6 号 p. 386-389
    発行日: 1998/06/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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