当院に1990~1996年の7年間に入院し治療を受けた, 排菌陽性の肺結核患者1,204例で, 主要な4剤(INH, RFP, SM, EB)についての薬剤耐性頻度を検討した.
単剤(EBを除く)に耐性の頻度は, 全96例(8.0%)で, 初回治療の911例では62例(6.8%), 再治療の293例では34例(11.6%)である. その中でも, SMに対する耐性例が最も多く, 初回治療群では41例(4.5%), 再治療群では25例(8.5%)であった. 2種類の薬剤に耐性の頻度は全189例(15.7%)で, 初回治療群では151例(16.6%), 再治療群では43例(14, 7%)である. H. E. の2剤に耐性の例が両群ともに最も多く, 初回治療群では100例(11.0%), 再治療群では20例(6.8%)であった. 3剤以上に耐性の症例は全94例(7.8%)あり, 初回治療群の45例(4.9%)と再治療群の49例(16, 3%)で, 再治療群で有意に高率であった. この7年間で, 単剤耐性の頻度は少し増加の傾向がみられたが, 多剤耐性の頻度に有意の増加は認めなかった.
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