医療
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52 巻, 7 号
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  • 西牟田 敏之
    1998 年 52 巻 7 号 p. 403-409
    発行日: 1998/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    小児喘息の大半は乳幼児期に発症する. 罹病率が最も高いのは3歳~6歳で, 約7.4%である. 以後小学校年齢では4.6%, 中学校年齢で2.7%と低下する. この率の減少は寛解(薬なし, 発作なしの状態)が認められるからである. 寛解は喘息症状が軽症に維持されたもの程高率に認められ, また, 軽症のもの程寛解に至る時期が早い. したがって, 小児喘息の予後は, いかに軽症に導き, コントロールすることができるかが重要な課題である.
    最近の喘息治療は薬物治療の普及により, 以前よりも症状のコントロールはしやすくなった. しかしその一方で, 学校や家庭に起因した心理的問題で修飾され重症難治化した喘息児が増加している. これらの喘息児の治療においては, 心理療法, 家庭指導, 学校に対する不安の解消など, 総合的医療を行う必要がある. 施設入院療法は, 総合的医療を的確に提供することが可能であり, 難治性喘息児の症病予後, 社会的予後の改善に役立つ.
  • 鈴木 瞭, 八木 治彦, 鈴木 彩子, 岡村 和美, 田村 出, 橋井 康二, 濱田 浩明, 岡垣 篤彦, 小原 明, 永野 忠義, 伴 千 ...
    1998 年 52 巻 7 号 p. 410-414
    発行日: 1998/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1985年1月から1996年12月までの期間に子宮頸癌I期の診断の下に手術を施行した扁平上皮癌421例の脈管侵襲(VP), 癒合浸潤(CI), 膣浸潤(VI), 傍結合織浸潤(PI), リンパ節転移(LM)の頻度と治療法, 予後について調べ, 1997年に発表された日本産婦人科学会の新しい臨床進行期分類(新分類)に準拠した取り扱いを検討した. 新分類のIA1期とIA2期ではVIとPIはともに陰性であったが, VP, CI, LMの頻度はいずれもIA2期で有意に高率であった. またIA期でVP陽性の2例に骨盤リンパ節転移がみとめられた. IB期のVI, CI, LMの頻度はいずれもIB2期で有意に高率であり, IB2期の1例に傍大動脈リンパ節(PAN)転移がみとめられた. 5年生存率はIA1期100%, IA2期95.7%, IB1期94.7%, IB2期72.2%でIB2期が有意に不良であった. 以上よりIA期のVP陽性例やIA2期では骨盤リンパ節郭清を施行すべきこと, IB1期で骨盤リンパ節転移が陰性の場合はPAN郭清を省略しうる可能性があること, IB2期ではPAN郭清を含めて集学的な治療が必要なことが示唆された.
  • 下窪 徹, 比嘉 利信, 田中 雅之, 石畠 英昭, 鬼塚 黎子, 北村 和雄, 江藤 胤尚, 隈本 健司
    1998 年 52 巻 7 号 p. 415-420
    発行日: 1998/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    アドレノメデュリン(AM)およびAM前駆体に由来する関連ペプチドPAMPは, 降圧作用のほかに気管支拡張作用も有する生理活性ペプチドである. 呼吸器疾患におけるAMおよびPAMPの病態生理学的意義を調べる目的で, 慢性呼吸器疾患, 気管支喘息発作の患者にっいて血漿AM, PAMP濃度を検討した. 種々の慢性呼吸器疾患患者において, 血漿AM, PAMP濃度は, 健常者に比し高値を示した. 次にこれらを呼吸困難の重症度別に分けると, 重症度の高いHugh-Jones分類のIV, V度で血漿AM, PAMP濃度は有意な高値を示した. また, 肺気腫, 気管支喘息では, 血漿AM, PAMP濃度と動脈血酸素分圧との間に有意な負の相関関係が認められた. 気管支喘息患者の発作時と緩解時の比較では, 緩解時に血漿AM, PAMP濃度が有意に低下した. 以上よりAMおよびPAMPは, 肺血管拡張作用や気管支拡張作用などの多彩な生理活性を介して呼吸器疾患の病態に関与している可能性が示唆された.
  • (当院における1990年~1996年の7年間の分析)
    王 麗艶, 坂谷 光則, 武本 優次, 原 英記, 上田 英之助
    1998 年 52 巻 7 号 p. 421-425
    発行日: 1998/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    当院に1990~1996年の7年間に入院し治療を受けた, 排菌陽性の肺結核患者1,204例で, 主要な4剤(INH, RFP, SM, EB)についての薬剤耐性頻度を検討した.
    単剤(EBを除く)に耐性の頻度は, 全96例(8.0%)で, 初回治療の911例では62例(6.8%), 再治療の293例では34例(11.6%)である. その中でも, SMに対する耐性例が最も多く, 初回治療群では41例(4.5%), 再治療群では25例(8.5%)であった. 2種類の薬剤に耐性の頻度は全189例(15.7%)で, 初回治療群では151例(16.6%), 再治療群では43例(14, 7%)である. H. E. の2剤に耐性の例が両群ともに最も多く, 初回治療群では100例(11.0%), 再治療群では20例(6.8%)であった. 3剤以上に耐性の症例は全94例(7.8%)あり, 初回治療群の45例(4.9%)と再治療群の49例(16, 3%)で, 再治療群で有意に高率であった. この7年間で, 単剤耐性の頻度は少し増加の傾向がみられたが, 多剤耐性の頻度に有意の増加は認めなかった.
  • 松永 静, 岡嶋 泰一郎, 井上 薫
    1998 年 52 巻 7 号 p. 426-430
    発行日: 1998/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    正常体重者(男6名, 女5名), 肥満症(男2名, 女1名), やせの高度な神経性食思不振症(女2名)および正常体重の原発性副腎不全(女1名)などの症例において血中レプチン値を測定し, 体重, 体脂肪量との相関や性差を観察するとともに, 上記各疾患における病態との関連を検討した. 血中レプチン値は体重, Body mass index (BMI), 体脂肪量と正の相関を示し, このうち体脂肪量と最も強い相関を認めた. 正常体重者においては女性(7.6±0.6ng/ml)は男性(2.6±1.1)より有意に高値であり, これは両群間における体脂肪分布や性ホルモンの差による可能性が考えられた. 肥満症例ではレプチン値は上昇していたが, 摂取カロリーの減少と減量に伴い低下した. 以上のことから血中レプチン値は肥満の重症度の判定として, また減量効果の指標として有用であると考えられた. 神経性食思不振症では血中レプチン値の低下を認め, 本症における食欲不振症状の発現にはレプチンの持つ食欲抑制効果は関与しないことが示唆された. 副腎不全では正常体重であるにもかかわらずレプチン値の低下を認め, コルチゾール分泌低下との関連が示唆された.
  • 堀 秀史, 中倉 滋夫, 酒井 喜久雄, 宇佐 利隆, 矢野 裕, 井上 健, 野元 域弘
    1998 年 52 巻 7 号 p. 431-437
    発行日: 1998/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    携帯型自動血圧計(ABPM)を用いた24時間血圧の測定が可能となり, 従来の随時血圧の測定ではわからなかった白衣高血圧, 早朝の急激な血圧上昇(morning surge)や夜間血圧におけるdipper型およびnon-dipPer型の存在が明らかになった. また, 24時間血圧は心血管系疾患や臓器障害の発症・進展と密接な関係にあることがわかってきた.
    今回, 本態性高血圧症患者21例(平均年齢63.6歳)を対象とし, αβ遮断薬塩酸アロチノロールの血圧日内変動におよぼす影響をABPMを用い検討した. 本剤の服用により, 24時間を通じ日内変動リズムのパターンに影響をおよぼすことなく良好な降圧効果が認められた. また, dipper型とnon-dipPer型に分けた検討において, non-dipper型でより良好な降圧効果が確認された. これより, 本剤は血圧日内変動に悪影響をおよぼさず安定した降圧効果を示す降圧薬であると考えられた.
  • 高梨 安弘, 金栄 淳, 石原 珠紀, 小川 秀臣, 浜谷 次郎, 冨松 隆, 伊藤 隆明
    1998 年 52 巻 7 号 p. 438-442
    発行日: 1998/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    患者母は35歳, 1回経産婦, 妊娠29週0日超音波検査にて羊水過多症, 四肢短縮症が疑われた. その後左右肺の著名な低形成が確認され, 致死性四肢短縮症と思われた. 妊娠32週0日1828g女児を出産したが生後まもなく呼吸不全で死亡した. 大きな頭蓋, 四肢短縮, X線所見などからthanatophoric dysplasiaと診断されたが, 両側の下腿以下が異常に過外旋し, 腫部が前方に位置していた. この様な過外旋した症例はきわめてまれなものと思われ鑑別診断をまじえ報告する.
  • 竹田 多恵
    1998 年 52 巻 7 号 p. 443-446
    発行日: 1998/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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