医療
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53 巻, 11 号
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  • 稲地 聖一
    1999 年 53 巻 11 号 p. 693-697
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    世界の精神医療の流れは欧米を中心として大きく変化し, 病院医療から地域医療へと比重を移してきている. しかし, 日本では入院患者が多く, そして入院期間も長く, 地域医療が進展していないと関係者から指摘されてきた.
    1991年国連はメンタルヘルスケアのための原則を決定したが, わが国はこの原則を受け入れて法制度を改正し, 精神科リハビリテーションの促進を目指そうとしている. このような動きの中で1998年4月, 日本政府は「精神保健福祉士法」を制定した.
    この機会に精神科リハビリテーションの歴史を振り返り, 現状を分析した. そして将来への課題として, 社会復帰施設の増設, 地域支援ネットワークの充実などが重要であることを強調した.
  • 庵原 俊昭, 中野 貴司, 北村 賢司, 神谷 齊
    1999 年 53 巻 11 号 p. 698-702
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    溶血性尿毒症症候群(HUS)散発例10例を経験し, 細菌学的, 臨床的特徴について検討した. 10例中9例は抗大腸菌ムコ多糖体(LPS)抗体が陽性であり, 7例は抗ベロトキシン(VT)抗体が陽性であった. HUS発症誘因の大腸菌の型は, O157が7例, O165が1例, O18疑いが1例, 不明1例であった. 臨床的特徴では顔色不良, 下痢, 発熱が主たる症状であり, 血便, 腹痛はO157によるHUS発症群(O157群)に多く認められた. 検査成績の異常では低蛋白血症, 電解質異常の割合がO157群で高かった. O157群の2例では腹膜透析による治療を必要としたが, その他の8例は抗凝固療法を中心とする支持療法で症状は改善した. また, 入院期間はO157群の方がその他の型により発症した群に比較し長い傾向を認めた.
    以上の結果から, HUS散発例の原因菌の70%はO157感染であり, O157感染によるHUS発症例の方が重症化する傾向が認められた.
  • 渡辺 崇, 塚田 和美, 湯浅 龍彦, 西宮 仁, 吉野 英
    1999 年 53 巻 11 号 p. 703-707
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Parkinson病は運動障害をともなう神経疾患であるが, 神経症状を合併することはよく知られている. 約40%に抑うっ症状が合併するといわれている. また薬物療法の副作用として精神症状が出現することもある. 電気痙攣療法(ECT)のParkinson病の精神症状に対する有効性は報告されてきた. 国立精神・神経センター国府台病院では精神症状をともなったParkinson病症例5名に対し修正電気痙攣療法(mECT)を施行し, その前後で臨床症状の評価を行った. mECTはParkinson病の神経症状および精神症状に対し劇的な改善効果を持った. 抑うっ症状の評価では5例中4例において改善が認められた. 妄想, 幻覚, 錯乱に対するmECTの改善効果も5症例すべてに認められた. また5症例すべてにパーキンソン症状の改善が認められた. mECTはParkinson病の精神症状および神経症状の双方に対して有効な治療法であるといえる.
  • ―平成8年・9年度国立療養所共同研究―
    国立療養所中央研究班
    1999 年 53 巻 11 号 p. 708-713
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    本研究の研究班に所属している17施設の1996年7月1日から7月31日の1ヵ月間の活動性肺結核患者の合計数(非結核性抗酸菌症も含む), および抗酸菌症の中で間質性肺疾患の合併患者の合計数を集計, 検討した. また1994年から1996年の3年間の33例の個々の症例について詳しく検討した. 肺結核と間質性肺疾患の合併例の特徴は, 1)活動性肺結核患者における間質性肺疾患の合併歩鍍は944例中9例で, 0.95%であった. 2)個々の間質性肺疾患の合併例の検討では, IIP慢性型と膠原病肺で間質性肺疾患の80%以上を占めた. 発症時期は間質性肺疾患先行例が約90%とほとんどを占め, その約80%が肺結核発症前にステロイド薬が使用されていた. 肺結核患者に占める間質性肺疾患の頻度は高率ではないが, 間質性肺疾患を有する患者個々の症例の検討では, 年齢, ステロイド薬の使用, 基礎疾患などの免疫機能の低下が肺結核の発症の誘因になっている可能性が示された. 現在発症率が増加傾向にある特発性間質性肺炎や膠原病肺などの治療薬としてステロイド薬を考慮せざるを得ない疾患群の経過中における重要な注意点として, 肺結核を念頭におく必要があるものと考える.
  • 岸田 堅, 中尾 浩久, 冨永 信彦, 三井 秀紀, 井原 章裕, 石川 勝憲
    1999 年 53 巻 11 号 p. 714-717
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例は49歳男性. 非ポジキンリンパ腫の第2寛解期に自家末梢血幹細胞移植(auto PBSCT: autologous peripheral bloodstem cell transplantation)を施行した. 造血能回復は速やかであった. 傍大動脈リンパ節腫大を認め, 移植後22日目にメソトレキセート(MTX)25mgを投与した. 移植後2ヵ月より血小板減少と溶血性貧血が進行し, 尿潜血陽性となったがCoombs試験陰性でDIC所見はなかった. 末梢血で破砕赤血球を認め, 骨髄で2核の赤芽球と巨核球の過分葉および多核, 巨大後骨髄球などの異型性がみられた. プレドニゾロン(PSL)投与するも速やかな効果なく, 輸血を続けたところ9ヵ月後に軽快した. auto PBSCTに続発し, 骨髄像にて骨髄異形成症候群(MDS:myelodysplastic syndrome)様の異型性を呈した微小血管障害性溶血性貧血(MHA:microangiopathic hemolytic anemia)の特異な症例と考えられたので報告する.
  • 谷田 部可奈, 西村 徹, 田村 拓久, 川村 潤, 石原 傳幸, 福田 純也
    1999 年 53 巻 11 号 p. 718-721
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    胃癌で死亡した筋強直性ジストロフィー(MyD)の49歳男性例を経験した. 剖検所見では, 胃噴門直下の中分化型管状腺癌および全身転移, 筋ジストロフィーによる全身変化を認めた. 調べえた範囲では, MyDと悪性腫瘍の合併について成書での記載は認められなかった. しかし, MyDと胃癌を含む悪性腫瘍合併について, 疫学的検討やアンケート結果から, いくつかの報告があった. 国立療養所では, 多数のMyD患者が入院中であり, 定期検査の一環として悪性腫瘍の検索が必要であると思われた. 今後, MyDと悪性腫瘍についての遺伝子も含めた検討の継続が重要であろう.
  • 税所 幸一郎, 藤本 茂紘
    1999 年 53 巻 11 号 p. 722-727
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    先天性無汗無痛覚症に骨折を頻発した1例を経験したので報告した. 症例は生後1歳11カ月の男児. 生後2カ月目に先天性無汗無痛覚症の診断を受けている. 生後1歳11カ月に明らかな外傷なしに骨折を生じ受診した. その後も無痛覚のため頻回の骨折をおこした. これらの骨折に対して外固定や内固定などの処置を行ったが, 無痛覚のため局所安静が充分にとれず, 骨癒合遅延や偽関節・骨壊死を生じた. また無痛覚と自傷行為のため皮膚さらには骨・関節の感染をおこした. 以上のように本症例では無痛覚のため骨折や感染をおこしやすく, また一度おこすと重症化しやすいので, 両親の病気に対する理解を深め予防をはかるとともに, 骨折に対しては強固な固定をX線検査で十分な骨癒合を得られるまで行い, 手・指の自咬傷については予防のため保護手袋などを着用させ, 感染に対しては早期より抗生剤を十分に投与するなどの注意が必要であると考えられた.
  • 甲田 徹三, 上田 勉, 伊達 友仁, 白根 誠, 伊藤 衛, 石川 勝徳
    1999 年 53 巻 11 号 p. 728-731
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    呉市において散発的に発生した咽頭ジフテリアの1例を報告した. 症例は24歳男性, 会社員である. 1997年2月発熱, 咽頭痛のため近医受診, 両側口蓋扁桃に限局した灰白色の白苔を認めた. 咽頭粘液塗抹標本からジフテリアが疑われ当院伝染病棟に隔離された. 乾燥ジフテリアウマ抗毒素および抗生物質投与により後遺症なく軽快退院した. 本症例は乳児期の不完全な予防接種のため発病したと思われる. なお, 患者の職場および家族43人について臨床的, 血清学的に検査したがジフテリア感染者は認められなかった.
    乳児期におけるジフテリア予防接種の必要性を示唆された症例である.
  • 鈴木 理志, 臼井 丈一
    1999 年 53 巻 11 号 p. 732-734
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1999 年 53 巻 11 号 p. 737
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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