医療
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54 巻, 11 号
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  • 久永 欣哉
    2000 年 54 巻 11 号 p. 487-491
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    口腔, 陰部を含む全身の発疹と脳炎を反復し神経Behcet病(neuro-Behcet disease)に類似しているが, Behcet病と相関するHLA-B51ではなくB54と相関し, 発疹部の皮膚生検にて血管炎をともなわない好中球の浸潤などSweet病の所見を示す症例は, 神経Sweet病(neuro-Sweet disease)として従来の神経Behcet病と区別できる可能性がある. Behcet病ではステロイド投与により症状が増悪する例もみられるが, Sweet病はステロイドに対する反応性がよく, 神経症状, 皮膚症状とも予後が良好であり, 治療法を選択する際にも鑑別が重要になると思われる.
  • 大矢 幸弘, 赤澤 晃
    2000 年 54 巻 11 号 p. 492-497
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    高度専門医療において患者本位の包括的医療を実現するためには行動医学を導入することが必要である. 従来の生物医学への反省から生まれた行動医学は生物心理社会モデルという包括的な人間モデルを採用している. 米国では精神分析の流れをくむ心身医学が衰退し, 行動科学から発達した行動医学が急速に発展しつつある. 行動医学はセルフケアを重視する患者主体の医学で, 生活習慣病などの慢性疾患への対応に優れているが, お任せ医療への依存が強い日本では心身医学ほどは普及していない. 生活習慣病やアレルギー疾患のような多因子疾患の治療には薬物療法や心理療法は不充分で行動医学を導入した包括的な対策が必要となる. 行動医学を取り入れたアトピー性皮膚炎に対する集団外来療法ではコンプライアンスの向上と負担感の減少が両立し, その効果は長期的であった. 薬剤コストも低下し医療費の抑制にも有効である. 高度専門医療施設に行動医学部門を創設し, 行動医学の治療プログラムを各専門診療科と協力して多くの慢性疾患に応用し全国に普及させることで21世紀の医療の質的向上に著しい貢献をもたらすことができよう.
  • 水谷 哲郎, 奥村 修一, 福西 秀信, 二宮 道人, 近藤 りつこ, 田中 美智男
    2000 年 54 巻 11 号 p. 498-508
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    平成11年7月1日より9月30日までに当院で出生した96名のうち9名の新生児にMRSA感染症がみられた. そのため上記期間中に出生したすべての児について鼻腔等より培養を行い, 59名(61%)に陽性がみられた. 感染防止対策を再検討し, 9月22日に母児同室制に変更したが, 保菌阻止を改善できなかった. MRSAの菌株では新生児の72株中65株(90.3%)に同一型IIAR2B6+がみられた. 院外の5名の有識者により感染対策委員会を設立し, 原因の追及と今後の対策についての検討を依頼した. その結果次のような提言を受けた. (1) 感染サーベイランスでは(1)落下細菌検査とエアーサンプリング法を行う. (2)出生後5日目毎に全新生児の保菌状況のモニタリング. (2) 施設面では(1)分娩室と新生児室の間に通路と手洗い, 扉の増設. (2)感染児のための隔離室を設置. (3)専門業者による定期的な消毒と汚染度調査. (3) 看護手順では(1)-処置-手洗いの原則履行. (2)ゾーン間の移動にはガウンを交換. (3)新生児一人ごとに個別のバスタオルを使用. (4)職員の啓蒙教育を徹底すること. 平成11年12月21日より, 分娩の取り扱いを再開したが現在までのところ満足すべき成績を得ている.
  • 松岡 幸彦, 小長谷 正明
    2000 年 54 巻 11 号 p. 509-513
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1990~99年の10年間, 厚生省特定疾患スモン調査研究班医療システム委員の検診を毎年欠かさず受けたスモン患者194例の臨床経過を検討した. 視力, 下肢筋力低下, 下肢痙縮には一定の経年推移はみられなかったが, 歩行障害, 上肢運動障害はやや増悪する傾向がみられた. 表在覚障害の範囲と異常知覚の程度には, 少なくとも増悪傾向はみられなかった. 尿失禁と便失禁を有するものは明らかに増加した. 合併症の頻度は増加しており, とくに白内障, 脊椎疾患で増加が著明であった. 障害度では, 重度以上のものが増加する傾向がみられた. その要因としては, スモン単独のものは経年的に減少し, かわりにスモン+合併症が増加していた. スモン患者の障害は, 最近の10年間で, 合併症や加齢の影響により増悪することはあっても, 決して改善はしていない. 今後とも恒久対策に真剣に取り組む必要がある.
  • 内藤 博之, 中村 幸夫, 明城 光三, 秋山 芳晃, 箕浦 茂樹, 北 正人, 後藤 溶二, 丹後 正紘, 夫 律子
    2000 年 54 巻 11 号 p. 514-518
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    臨床産科情報ネットワーク内の21施設で実際に行われている胎児well being評価法を調査した. 妊娠中の胎児well being評価法として分娩監視装置, 超音波検査がかなり積極的に使われていた. さらに, 超音波ドプラーも胎児well being評価法の中で重要な位置を占めていた. 胎児・胎盤機能検査としてE3やhPLを行っている施設も半数以上あった. 分娩監視装置, 超音波検査などの機器の進歩により, 胎児の状態がリアルタイムに評価できる時代となり, hPLやE3の有用性の再評価を行う時期ではないかと考えられた. 分娩中の胎児well being評価法としては, すべての施設で分娩監視装置が全妊婦に装着されていた.
    周産期における大規模研究の一環として, 胎児well being評価法により, 正確に胎児の状態を予知し, 適切な対応により新生児仮死, 新生児死亡, 脳性麻痺などの後遺症を減らす目的で, 今後, 全国共通のデータベースの構築を予定している.
  • 井原 章裕, 森山 康弘, 畦西 恭彦, 石川 勝憲, 片山 正一, 宮田 正彦, 阿部 和弘, 木村 昭郎, 田中 文男
    2000 年 54 巻 11 号 p. 519-524
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    胎盤娩出前に採取された78例の採取保存成績を報告する. 初期の25例は技術獲得目的で行い, 膀帯血採取量の平均値は62mlで, 濃縮後保存時の有核細胞数は508×106, 単核球数204×106, 総CFU-GM64×104, 総BFU-E18×104そしてCD34陽性細胞数2×106であった. 有核細胞回収率と単核細胞回収率は, それぞれ67%と59%であった. これに対し, 臨床使用目的で採取保存した53例の臍帯血量は平均72mlで, 濃縮後保存時の有核細胞数は615×106, 単核球数309×106, 単核球回収率は79%, 総CFU-GM78×104といずれも初期の25例に比較し改善された. 他の成績に有意差はなかった. 細菌混入率は, 初期の13%から3.8%に有意に改善した. 53例の保存膀帯血は移植に使用可能と考えれる
  • 小谷 一敏, 東 良平
    2000 年 54 巻 11 号 p. 525-529
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例1は50歳, 女性, 月経にともなう右再発性気胸にて入院となった. 胸腔鏡下に胸腔内を観察したところブラはなく, 横隔膜腱様部に多数の小孔を認めた. 小孔が広範囲に存在したためすべて切除することは不可能であったため, 病変の顕著な部分を自動縫合器にて切離した. 残りの病変部にはフィブリン糊を用いてポリグリコール酸フェルトを貼付し被覆した. 症例2は45歳女性. 右再発性気胸にて入院となった. 胸腔鏡下手術施行し, 横隔膜腱様部に多数の小孔を認めた. 自動縫合器にて切離した.
    横隔膜病変を有する月経随伴性気胸に対する治療として胸腔鏡下横隔膜部分切除術は有用であるが, 再発予防のためには薬物療法を追加するほうが望ましい.
  • 臨床産科情報ネットワーク
    中村 幸夫
    2000 年 54 巻 11 号 p. 530-535
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    周産期における大規模臨床研究のデータベースを構築するため, 1996年に臨床産科情報ネットワーク(Clinical Obstetric Information Network:COIN)が発足した.
    1. 1999年の参加施設は, 36ヵ所(千葉・福山・浜田・弘前・国際医療センター・金沢・霞ケ浦・神戸・高知・甲府・呉・京都・九州医療センター・舞鶴・三重中央・南九州中央・都城・名古屋・奈良・習志野・循環器病センター・大分・岡山・大阪・大阪南・大竹・相模原・仙台・渋川・下関・高崎・栃木・山口・山中・横浜・善通寺)であった.
    2. 分娩母体数は13, 193例であり, 早産1,182例(9.0%)母体搬入705例(5.3%), 分娩時異常出血3,261例(24.7%), 輸血実施43例(0.3%), そして妊娠産婦死亡率は0(出生10万対)であった.
    3. 新生児総数は13,374例であり, 早産児のうち28~36週は1,184例(8.9%)で22~27週は82(0.6%)であった. 早期新生児死亡は39例で出生1,000対死亡率2.9, 妊娠22週以降の胎児死亡は93例で出産1,000対死産率は6.9, 周産期死亡率9.8(出産1,000対)であった.
  • 阿南 誠
    2000 年 54 巻 11 号 p. 536-538
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 2000 年 54 巻 11 号 p. 539-540
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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