医療
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54 巻, 8 号
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  • 勝見 哲郎
    2000 年 54 巻 8 号 p. 339-342
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    本邦において前立腺癌は今後急速に増加する癌として注目されるようになってきた. この治療として前立腺全摘除術を行うことは高齢者に対してでも血清IL-6値でみるかぎり, 前立腺被膜下摘出術や経尿道的前立腺切除術と比べても手術侵襲に差はなかった. 術後尿失禁の頻度は70歳以上で高率であったが, 術後一過性の不穏状態からくる異常行動に注意をすれば重篤な合併症もなく, 病期B, Cの10年生存率もそれぞれ92.6%, 81.4%と満足のいく成績であり集学的治療の一つになりうる方法と考える
  • 市来 嘉伸, 後藤 哲哉, 下山 嘉章
    2000 年 54 巻 8 号 p. 343-346
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    今回, 我々は左冠動脈主幹部を含む3枝病変に腸骨・大腿動脈領域の閉塞性動脈硬化症を合併した症例に対し, 二期的に手術を行い良好な結果を得たので報告する. 症例は, 73歳男性. 心臓カテーテル検査で, 冠動脈文節1番完全閉塞, 5番75%狭窄, 6番90%狭窄, 12番90%狭窄を認め, 腹部大動脈以下の造影にて, 左総腸骨動脈の完全閉塞, 右総腸骨動脈にも狭窄および強度の屈曲を認めた. まずY字グラフト(Y型人工血管)置換術を施行, 中枢側は下腸間膜動脈以下の腹部大動脈に, 末梢側は右総腸骨動脈と左大腿動脈に吻合した. 右側末梢側吻合後, 心機能の低下を認め保存的療法に反応せず, 左大腿動脈との吻合部の中枢側グラフトより側枝を設けて大動脈内バルーンパンピング(以下IABPと略す)を挿入した. 翌日冠動脈バイパス術(以下CABGと略す)(左前下行枝への大伏在静脈グラフト吻合)を施行した. 術直後に循環動態安定していたためIABPも離脱し, 経過良好にて術後約1カ月で退院した
  • ―ヒト膵癌細胞SUIT-2を用いた実験―
    若杉 英之, 大島 彰, 小島 瑞穂, 田中 不二雄, 森園 周祐, 福冨 真理恵, 横田 昌樹, 船越 顕博, 井口 東郎
    2000 年 54 巻 8 号 p. 347-352
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    漢方薬のヒト膵癌細胞に対する直接効果を明らかにする目的で, ヒト膵癌細胞SUIT-2を5FU(1μg/ml)投与下と非投与下にわけて, それぞれ柴胡桂枝湯, 補中益気湯, 六君子湯, 十全大補湯とそれら方剤の構成生薬である黄苓, 桂皮, 芍薬, 半夏, 甘草(160μg/ml)を附加して1週間培養した. 5FUの投与により細胞の増殖は明らかに抑制された. とくに黄苓の抑制効果が著明で, 細胞数, DNA, 蛋白, LDHとも有意の低値を示した. 5FU(-)のときでもその抑制効果は明らかであった. 次に, 桂皮で若干の抑制効果がみとめられた. この2つの生薬を含有する方剤は前述の中では柴胡桂枝湯のみであり, 柴胡桂枝湯の抗腫瘍効果を支持する成績であった. また柴胡桂枝湯の有効性は320μg/mlの濃度で初めて認められたのに, 黄苓のそれは40μg/mlの濃度でも認められた
  • 西海 正彦, 福武 公雄, 大鶴 洋, 広瀬 茂道
    2000 年 54 巻 8 号 p. 353-360
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    21歳, 男性. 平成10年12月ごろより左側頬部腫脹が進行したため, 平成11年2月19日当病院口腔外科外来を受診. 血清アミラーゼおよびクレチンキナーゼ値の上昇は認めなかった. 頭部CTでは左側咬筋部のび慢性の拡大像を認めた. 頭部MRI所見から咬筋肥大症は否定され, 頻度から腫瘍が疑われたが, 筋炎の所見とも一致したため, 咬筋の筋電図と筋生検を施行したところ, いずれからも筋炎に一致する所見が得られ, 左側咬筋の限局性筋炎(focal myositis)の診断が確定した. 平成11年6月24日からプレドニゾロン20mg/日で治療を開始したところ, 8月には症状は消失した. 実地臨床上歯性感染症以外で片側性頬部腫大を認める症例は少なく, 中でも咬筋の限局性筋炎の報告は世界で2例目, 本邦では第1例目であるのでここに報告する. 限局性筋炎は多発性筋炎の初期像との説もあるが, 多発性筋炎への移行は発症から13ヵ月を経過した現在認めていない
  • 斎藤 誠, 吉村 将, 藤井 昭男, 岩井 章洋
    2000 年 54 巻 8 号 p. 361-364
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    経皮的冠動脈形成術(percutaneous transluminal coronary angioplasty: PTCA)後再狭窄予防でトラニラストを投与し, 膀胱炎様症状を呈した1例を経験した. 症例は59歳の男性, 冠動脈造影の結果, 三枝病変と診断された. このうち左前下降枝(LAD7番)対してPTCAを施行し, 開大に成功した. PTCA後, 再狭窄予防の目的でトラニラストの内服を1日600mg開始した. 15週間後排尿痛を訴えたため, 膀胱鏡で確認したところ膀胱粘膜に浮腫が認められた. 直ちにトラニラストが中止され, 3週間後に症状は消失した. トラニラストによる膀胱刺激症状はすでに泌尿器科医および薬剤師の各学会誌などには数多くの報告がなされている. しかし処方する側の循環器医には認識が乏しいという独特の副作用報告体系を持つ薬剤のひとつである. われわれは改めて本剤による膀胱刺激症状を循環器医に知らしめるとともに, 薬剤師が服薬指導を通じてさらに一層の情報提供をこころがけなければならないと考える
  • 山下 史朗, 守山 英二, 別宮 博一, 岩戸 英仁, 柳井 広之
    2000 年 54 巻 8 号 p. 365-369
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    悪性黒色腫頭蓋内転移2症例を報告する. 2症例とも原発性皮膚悪性黒色腫の60歳台の男性で, 頭蓋内病変は, 悪性黒色腫に特徴的なMRI所見(T1WIで高信号域, T2WIで低信号域, Gd-DTPAで造影される)を呈した.
    治療はCDDP, ACNUの動注化学療法とそれに続く摘出術とγ-knifeを施行した. 症例1は, 動注化学療法施行後約40時間で腫瘍内出血をきたし, 開頭腫瘍摘出術を施行し, 症例2は, 動注化学療法翌日に開頭による腫瘍全摘出術を施行した. 症例1は, 治療から2ヵ月, 症例2は3ヵ月で全身転移のため死亡.
    悪性黒色腫は, 脳を含む全身臓器に転移し, きわめて予後不良である. そのため, 治療の目的は, QOLの維持が主体となり, 慎重な治療法の選択が望まれる. 一方, 頭蓋内悪性黒色腫は自然経過中にもしばしば出血をきたすことが知られており, また, 症例1のように治療行為が腫瘍内出血の危険を増すと思われることもあり, 注意が必要である
  • 渋谷 統寿
    2000 年 54 巻 8 号 p. 370-372
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 2000 年 54 巻 8 号 p. 373-379
    発行日: 2000/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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