医療
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55 巻, 6 号
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  • 桂木 正一, 前田 亜紀, 西山 浩介, 中村 政明
    2001 年 55 巻 6 号 p. 259-265
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    脳表ヘモジデリン沈着症はまれな疾患であるが, 進行すれば著しい難聴, 視力喪失, 小脳失調さらには痴呆をきたし, 患者のQOLは著しく低下する. 一方, 最近になって特徴的なMRI所見によって早期診断が可能となり, 症例によっては治療で進行を止めることが可能である. ここでは, これまで報告された日本人の35例を総括し, 本疾患の臨床的特徴を明らかにし, 典型的な症例の病理所見を提示する. 本疾患の初発症状は聴力低下, 不安定な歩行などであるが, これらの症状は耳鼻科, 神経内科領域ではまれなものではないこと, 脊髄小脳変性症などと診断されて長期観察された症例もあったことから考えて, 本症についての知識を持って診療を行わなければ, 早期発見と早期治療の機会は失われることになる. 今後, さらにこの病気の存在に関心が向けられることが必要である.
  • ―政策医療を推進するための基盤―
    千田 圭二, 阿部 憲男, 清水 博
    2001 年 55 巻 6 号 p. 266-270
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    現在, 国立療養所岩手病院(当院)を含む全国の国立病院・療養所には, 政策医療を積極的に遂行することが要請されている. 当院神経内科が, 政策医療の一つである神経難病医療を推進した場合の将来像を知るために, 当院に受療する神経難病患者の居住地の地理的分布から, 既存の医療行政的医療圏とは異なる「神経難病医療圏」を定め, その現状を分析した. 当院の神経難病医療圏は当院を中心とした半径約30kmの地域であり, 岩手県と宮城県にまたがり, 人口は51.5万人であった. この医療圏の神経難病患者の21.1%(当院から半径15km以内に限定すると49.1%)が当院に受療していた. この医療圏と周辺地域とには神経難病の長期診療において当院と競合する施設はなかった. 以上より, 神経難病医療を積極的かっ広域に展開すれば, 当院の受療患者数がかなり増加すると期待される. 当院が神経難病の分野で政策医療を推進してゆくことは充分に可能である.
  • 笠原 尊生, 今給黎 篤弘, 石井 嗣夫, 上野 竜一, 曽我 真, 村添 與則
    2001 年 55 巻 6 号 p. 271-276
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    我々は本来上腕骨骨幹部骨折の手術法であるHackethal集束釘固定術の手術侵襲の少なさに着目し, 種々の改良を加えることで上腕骨近位端骨折に応用し, その臨床成績を報告してきた. 今回は, 過去12年間にH改良法にて治療した上腕骨近位端骨折症例についてその成績を骨折型別に分類し, 保存的治療法の成績と比較することでその適応と成績を検討した. 平均骨癒合期間は2part骨折で保存例は2.9ヵ月, H法が2.8ヵ月であった. 3part骨折では保存例が3.3ヵ月, H改良法が3.3ヵ月と各治療法に差がなかった. JOA scoreは2part骨折で保存例が平均95点, H改良法が平均91点, 3part骨折は保存例平均85点, H改良法平均95点と, 3partではH改良法が良好な成績であった. 肩関節可動域回復期間は保存例で平均3.7ヵ月, H改良法は平均2.9ヵ月を要しH改良法が優れていた. 以上により, H改良法は良好な手術成績を修めており, 2part, 3part骨折の優れた手術法であると思われる.
  • 斉藤 利雄, 関谷 智子
    2001 年 55 巻 6 号 p. 277-278
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    近年, 各種筋ジストロフィーの原因遺伝子は次々と明らかにされており, 筋ジストロフィー遺伝子研究は最もめざましく進んだ医学領域の一分野である.
    しかし, こうした研究成果が臨床の場に反映され, 筋ジストロフィーの根本治療にいたるにはまだ長い時間が必要である. 一方, 人工呼吸療法の発達やそのほかの合併症治療に関する臨床研究の成果は, 患者に多くの恩恵をもたらし, 寿命の延長, 予後の改善につながっている.
    従来, 筋ジストロフィーは喪失体験の連鎖であるといわれ, 将来への見通しの少ない疾患として捉えられてきた. しかし, 現在では将来の見通しのできる疾患へと少しづつ変わりつつある. 結果, 病院生活のなかにも変化が現れ, 日常生活でのquality of life (QOL) が高められ, 社会との接点も多くなり, 患者個々人の生活スタイルも取り入れられるようになった. 一方, 重症の患者も増えてきていることも事実である. このような変化の中にあって, 患者のQOLを保っためには医療的ケアとともにますますの生活ケアの重要性が増してきている.
    今回のシンポジウムでは日常生活にみられる患者の心理的問題をテーマとして取り上げ, 日常看護の中での患者援助へのアプローチの工夫や他職種との連携について発表していただいた. 小川らは, 病棟において社会的孤立状態にある患者へ積極的傾聴法やタッチングを用い, 患者が, 「受け入れられているという気持ち」を育てながら, 患者の成功の体験を多くし「自分への信頼」を高め, 人との信頼関係に繋げる援助を行った. 寺田らは, 感情表出が不得意なため乱暴で破壊的な行為を示す患者へ忍耐強い受け入れを行い, 他職種との連携を通して行為の改善へっなげた. 原口らは, 無気力の意欲のなさという行動特徴を持つ筋強直性ジストロフィー患者に対し, 環境を調整し余暇時間を一緒に付き添い, 生活意欲を高めていった. 田中らは, 重症化・高齢化してきている患者の生活に対する満足度をヘンダーソンの基本的看護の構成要素を用いて調査・分析し, 患者の満足度と看護の在り方を検討した.
    今回の発表での種々の対応や連携は, 今後筋ジストロフィー医療に欠かせないものとなるであろう. そしてまた, 患者が日常生活の中で表現する何気なく当たり前な, 些細な事柄が, 非常に意味あることを, 常に人と接しているわれわれ医療人は忘れてはならないであろう.
  • 小川 恵, 久保 よう子
    2001 年 55 巻 6 号 p. 279-280
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 寺田 美由記, 柴田 あけみ, 新井 マチ子, 吉岡 千恵子, 高橋 由夏, 中村 三枝子, 金子 照美, 桜井 延代, 小林 貴美子
    2001 年 55 巻 6 号 p. 281-282
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 原口 みどり, 大山 淳子, 山口 順子, 川崎 君恵, 坂本 妙子, 柳迫 寿美, 牧 佐奈江
    2001 年 55 巻 6 号 p. 283-284
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • ―基本的看護の構成要素を用いて―
    田中 雪代, 大塚 希代子, 細野 仁, 中村 勝江, 祖父江 多美子, 小原 和子
    2001 年 55 巻 6 号 p. 285-286
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 有坂 博史, 小林 佳郎, 青山 康彦, 石川 明子, 小野 章
    2001 年 55 巻 6 号 p. 287-290
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    近年本邦でも周術期の肺血栓塞栓症(pulmonary thrombo-embolism, PTE)が増加しており, PTEは, いったん発症すれば致死的になる可能性があり, 予防が極めて大切である. 今回, 術前にPTEが発症している症例と, 下肢に血栓が見つかった症例に対して, 術前に下大静脈フィルターを挿入し硬膜外麻酔を併用した麻酔管理を経験したので報告する.
    硬膜外麻酔は下肢血流増加作用のみならず凝固因子活性化そのものを抑制する作用があると報告されており, 今回のように術前にPTE予防のための下大静脈フィルターが挿入されヘパリン療法が行われていない場合, 血腫を心配せずに硬膜外麻酔を有効に使った麻酔管理を行うことが可能であった.
  • 宮澤 幸仁, 鈴木 博義, 栗原 紀子
    2001 年 55 巻 6 号 p. 291-295
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    73歳, 女性. 主訴は意識障害. 1998年11月末に体のふらつき, 12月初めに傾眠傾向と食欲低下が出現. 12月28日の入院時, 意識障害(JCS II-10)と両下肢のBabinski徴候を認めた. 脳MRIにて両側基底核・橋・大脳脚, 右小脳半球にT2強調画像で非腫瘤状の多発性の高信号域病変を認めた. 脱髄疾患などを考えて投与したステロイドにて一時症状は改善するも, ステロイドの減量とともに悪化し, 1999年3月の脳MRIでは両側前頭葉白質, 脳梁, 左中小脳脚, 左小脳半球にも新たな病変を認めた. ステロイドの増量にても意識レベルはJCS III-200~300となり, 以後改善することはなかった. 1999年5月6日, 脳生検にて悪性リンパ腫と診断され全脳に対する放射線照射を施行するも, さらに病変は拡大し7月11日死亡した. 本症例は剖検にて脳原発性悪性リンパ腫と確診されたが, 脳MRIにおける腫瘤を形成しない多発性の病変の場合は悪性リンパ腫をも考慮した早期の診断の必要性を示唆するものである.
  • 慢性骨髄性白血病の1例
    鈴木 紳介, 竹下 武承, 花田 修一
    2001 年 55 巻 6 号 p. 296-299
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    症例は49歳, 男性, 1999年9月白血球増多を指摘され, 10月当院初診. 白血球数15,180/μl, 骨髄染色体検査でPh1染色体陽性で慢性骨髄性白血病と診断した. 11月から天然型インターフェロン(IFN)-α, 300万単位を, 連日投与し, 約3ヵ月後の2000年2月の骨髄染色体検査ではPh1染色体が13.2%とmajor partialc ytogenetic responseを得た. しかし同時期から夜間大声を上げるなどの異常が認められ, 4月せん妄, 錯乱状態となった. 頭部MRI検査, 脳波に異常は認められなかった. 精神疾患の既往はない. IFN-αの投与を中止し, 精神症状は速やかに改善した. その後IFN-α, 300万単位を, 週1回に減量し再開し順調に経過している.
  • 福留 隆泰, 泉本 一, 中根 俊成, 後藤 公文, 松尾 秀徳, 幸原 伸夫, 中野 智, 澁谷 統壽
    2001 年 55 巻 6 号 p. 300-301
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 第2回てんかん外科ネットワーク懇話会
    2001 年 55 巻 6 号 p. 302-305
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
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