医療
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56 巻, 3 号
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  • 松尾 秀徳
    2002 年 56 巻 3 号 p. 131-136
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    重症筋無力症(MG)は免疫性神経疾患のなかではもっとも病態の解明が進んでいる疾患であるが, 胸腺異常が疾患の発生機序にどのように関わっているのかは未解決のままである. MGの治療として胸腺摘出術が奏効することはよく知られているが, その理論的背景は不明確であり, とくに非胸腺腫例では何らかの理論的根拠が示されることが望ましい. MGでは胸腺myoid cell上のアセチルコリン受容体(AChR)が自己免疫反応の引き金になると考えられてきたが, その後の研究ではこの仮説を支持する結果は少なく, 代わって胸腺上皮細胞の役割が注目されてきている. MGの胸腺には, 病因に関わるすべての要素(抗原, 抗原提示細胞, 抗原特異的T細胞, 抗体産生細胞など)が存在することがわかっており, 胸腺摘出術の有効性を裏付ける一つの根拠となっている. MGの胸腺異常はとりもなおさずMGの発症機序と深く関わる問題であり, この難解なパズルを完成させることにより他の自己免疫疾患の理解も深まるものと考えられる.
  • 清水 美代子, 田中 司, 関塚 永一, 石引 久彌
    2002 年 56 巻 3 号 p. 137-140
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    近年抗菌薬吸着物質含有の血液培養ボトルを用いた全自動血液培養システムが使用されてきているが, われわれは, 国内で広く用いられている2種の血液培養システムおよび培養ボトルBACTEC 90000システム/好気96Fボトル・嫌気用97Fボトルーレズン含有(Becton Dickinson), BacT/Alert 120システム/FANボトルー活性炭含有(Organon Technica)について菌検出率, 検出時間を細菌, 真菌各6, 1菌種と抗菌薬10種を組み合わせた18群について実験的に比較検討を行った. 培養システムおよび吸着物質の種類により菌検出率, 検出時間に有意な差を認めたが, いずれのボトルでも血中に存在する抗菌薬の影響を免れられない場合があり, 抗菌薬によっては低血中濃度時点での採血を配慮する必要がある.
  • 饗場 郁子, 河合 多喜子, 沼崎 ゆき江, 齋藤 由扶子, 今井 尚志, 山田 孝子, 久保 裕男, 神野 進
    2002 年 56 巻 3 号 p. 141-145
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    厚生省長寿医療共同研究「高齢者難病介護のガイドラインに関する研究」(班長 神野進)において, 国立療養所5施設(千葉東, 中部, 刀根山, 南九州, 東名古屋)に入院中の筋萎縮性側表索硬化症患者31名について, 実際のケアに要する時間(ケア時間)を測定し, 要介護度(一次判定)との関連を調査した. 入院中の筋萎縮性側索硬化症患者は9割が要介護度4と5で要介護度の高い患者がほとんどであり, 全対象者の1日のケア時間は平均197分で要介護認定等基準時間を大きく上回っていた. 要介護4と5の患者ではケア時間に差はみられず, 食事のケア時間および医療行為については要介護4の方が長時間であった. 介助で経口摂取をしている場合は経管栄養よりもケア時間を要していた. ケア時間で大きな比重を占めるのは医療行為であり, 中でも吸引は昼夜を問わず時間を要しており, 要介護度の認定に反映されることが望ましい.
  • 武藤 正樹, 高島 シノブ
    2002 年 56 巻 3 号 p. 146-148
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    いまや, クリティカルパスは国立病院においても急速に普及しつつある. たとえば本シンポジウムのなかで向原の発表によると, 普及が早かった九州地方医務局管内の国立病院・療養所で施設アンケート調査をしたところ, 1999年には作られたクリティカルパスは種類で330であったものが, 2000年に入ると600以上と倍増したという. このようなクリティカルパスの導入の効果を同じアンケート調査でみると, 医師, 看護婦とも診療の質の標準化をまずあげていた. 次に医師は業務の効率化, 看護婦は患者の安心と満足をあげたという.
    また, クリティカルパスの普及の背景には保険診療報酬の支払い体系との関係もある. シンポジウムのなかで吉田は, 九州医療センターで試行中のDRG/PPSとクリティカルパスの関係に言及し, DRG/PPSにクリティカルパスは必携であることを述べている. また, 吉田はDRG/PPSそのものの効果について, ICDコードの普及, 無駄な検査や処置の減少, 在院日数の短縮化, 精度の高い退院サマリーの作成外来治療の増加, 在宅支援システムの活用, 医療従事者のコスト意識の向上, チーム医療の向上, 医療費の伸びの鈍化などをあげている. しかし, 同時にDRG/PPSは人工股関節置換術などの特定材料使用例には出来高払いより減収とも述べている. また, 2000年4月の保険診療報酬改定で急性期特定病院加算の要件に詳細な入院診療計画としてクリティカルパスの様式が採用されたことも, クリティカルパスの普及を促進した要因となっている.
    さらに最近ではクリティカルパスの臨床効果も指摘されるようになっている. シンポジウムのなかで, 飯田は糖尿病患者でクリティカルパスを使用しなかった患者群よりクリティカルパス使用群が6カ月後のHBAICが有意に低かったと述べている. 同様に鶴見はコメディカルチーム, 特に栄養士の栄養アセスメントが体系的になったことや, 患者の疾患理解度がアップした結果, 退院時の空腹時血糖はクリティカルパス導入群で有意に低かったと述べている. また山崎は肺切除の術式が変化してきたこともあるが, 肺切で, クリティカルパスの導入前後の50例を比較したところ, パス導入後には入院期間, 肺活量, 術前後の6分間歩行距離ではいずれもクリティカルパス導入後のほうが成績はよく, 患者の身体機能の改善につながっていたと述べている.
    また, 野村はクリティカルパス作成時にアウトカム設定と事後的なアウトカム評価が必要を強調した. とくに中間アウトカムの事前設定や退院基準の設定が重要で, それにより9人工膝関節置換術のクリティカルパスではクリティカルパス導入前と後では, 中間アウトカムの達成期間がそれぞれ短縮していて, 全体としても在院日数が短縮したという. また, 患者満足や業務改善, 材料費のコストダウンにもつながったとも述べた. 今後の課題としては, EBMをどれだけクリティカルパスに取り込めるか, 外来, 入院と一体化したクリティカルパス, 地域連携用のクリティカルパス, クリティカルパス使用例の長期予後の評価などをあげた.
    この他, 薬剤師としての立場から, 和田は, クリティカルパスによる薬剤の標準化はさまざまなメリットがあること, たとえば調剤過誤の防止や, 診療プロセスが標準化されているので, 異なる医薬品間の臨床効果や副作用, 医薬品の経済性の比較ができることを挙げた. また, 利光はデイサージャリーでのケアコーディネーターの立場から, クリティカルパスはデイサージャリーにもはや必携のツールであり, アンケート結果からもデイサージャリーでのクリティカルパスの有効性はケアの質の均一化やインフォームドコンセント, ケアコーディネーター自身の充足感につながっていると述べた.
    シンポジウムでは以上紹介したように, 医師, 看護婦, 薬剤師, 栄養士らがそれぞれの立場からクリティカルパスの現状に多角的に迫った. 現在, クリティカルパスは全国の病院の約40%で使用されているという. その数はますます増えつつある. クリティカルペスはもはや単なるブームではなく, 21世紀の医療のなかに確実に定着しつつある医療マネジメントのツールといえるだろう.
  • ―九州地区での取り組みについて―
    向原 茂明
    2002 年 56 巻 3 号 p. 149-150
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 野村 一俊
    2002 年 56 巻 3 号 p. 151-152
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 飯田 さよみ, 泉 かよみ, 池田 かおり
    2002 年 56 巻 3 号 p. 153-154
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • ―ケアコーディネーター導入による看護の質の変化―
    利光 涼子, 奥野 初子
    2002 年 56 巻 3 号 p. 155-157
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 和田 洋忠
    2002 年 56 巻 3 号 p. 158-159
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • ―糖尿病教育入院のクリティカルパスの成果と課題―
    鶴見 克則
    2002 年 56 巻 3 号 p. 160-161
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 山嵜 絆
    2002 年 56 巻 3 号 p. 162-164
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 吉田 晃治
    2002 年 56 巻 3 号 p. 165-166
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 村上 一生, 江田 良輔, 宮原 信明, 国近 尚美, 森山 道彦, 巻幡 清, 前田 忠士, 青江 啓介, 近森 研一, 小原 弘之, 竹 ...
    2002 年 56 巻 3 号 p. 167-170
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    症例は54歳, 女性. 主訴は咳漱, 血痰, 全身倦怠感. 入院時, 右耳下腺部腫大を認め, 胸部X線写真上, 空洞をともなう多発結節影を呈していた. 血沈亢進, 白血球増加, serum cytoplasmic antineutrophil cytoplasmic antibodies (C-ANCA)陽性であった. 鼻粘膜, 肺結節病変ともに病理組織所見で巨細胞をともなう懐死性肉芽腫性病変を認め, Wegener肉芽腫症と診断した. シクロフォスファミド, プレドニゾロン, ST合剤にて治療を開始し, 臨床症状, 肺結節影および耳下腺病変の著明な改善を認め, 臨床経過と画像所見などより耳下腺病変はWegener肉芽腫症によるものと考えられた. Wegener肉芽腫症の唾液腺病変合併はまれであり, 文献的考察を加えて報告する.
  • 本馬 周淳, 野村 謙, 山内 和雄, 大田 守雄, 川畑 勉, 国吉 真行, 石川 清司, 末原 雅人
    2002 年 56 巻 3 号 p. 171-174
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Duchenne型筋ジストロフィー症(DMD)の麻痺性イレウスは, しばしば経験される合併症のひとつである. しかし, 機械的イレウスに対して開腹術を行った報告はない. 今回われわれは, DMDにともなう反復性イレウスに対する開腹術を経験した. 症例は31歳, 男性で, 主訴は腹満, 腹痛, 嘔吐. DMDで25歳時から慢性臥床状態であった. 内科的治療で改善せず開腹術を行った. 腹腔は, 強度椎体彎曲にともなって右側が前方に突出して扁平化し, 左側は椎体を境に深く落ち込んで左横隔膜から腎臓にかけては壷状の形態を呈し, そのなかに拡張空腸を認めた. 腹腔変形がイレウスの原因と考えられた. 胃瘻および空腸瘻を留置し, 良好に経過したため, 胃瘻, 空腸瘻はクランプして徐々に細径化し, 1年半後に抜去した. 本症例では発症前6ヵ月間の体重減少率が10%を越えていて, DMDの強度の腹腔変形に, るいそうによる腹腔の扁平化が加わって発症したと考えられた.
  • 上松 一永, 小宮 山淳
    2002 年 56 巻 3 号 p. 175-179
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 熊谷 孝三
    2002 年 56 巻 3 号 p. 180-182
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 2002 年 56 巻 3 号 p. 183-185
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
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