医療
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56 巻, 6 号
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  • 冨永 格
    2002 年 56 巻 6 号 p. 323-326
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    頭部外傷の中で, びまん性脳損傷に含まれるびまん性軸索損傷(diffuse axonal injury)は, 頭蓋内に粗大な限局性病変がないにもかかわらず高度の意識障害が遷延する症例についてAdamsらが提唱した概念で, 病理組織学的にはaxonal retraction ball(断裂した軸索の断端に形成される腫脹)の出現を特徴とする. しかし, いわゆるびまん性軸索腫脹に類似する自験例の検討と文献学的考察により, むしろAdamsらの言及していない脳腫脹の存在が重要であり, diffuse axonal injuryという用語の使用は慎重でなければならないと述べ, 大脳白質病変に注目することの重要性を強調した. 一方, 外傷と痴呆との関連で従来より知られている「ボクサー痴呆」について, 自験例を提示し, 臨床的に痴呆が出現する以前に神経原線維変化が出現していることを示し, さらに頭部外傷脳においては神経原線維変化以外にβ-アミロイド蛋白の沈着やpresenilin-1遺伝子の発現が認められるという最近の知見を紹介した.
  • 山谷 明正, 能村 涼子, 林 誠, 森 行雄, 鈴木 達男, 吉村 光弘
    2002 年 56 巻 6 号 p. 327-330
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    アンジオテンシンII受容体拮抗薬であるロサルタンカリウムは, 尿酸排泄作用を有することが認められている. われわれは, フロセミドによって引き起こされる尿酸値の上昇に対し, ロサルタンカリウムの併用による尿酸排泄促進作用の有用性を検証した.
    われわれは, 当院の入院患者から血清尿酸値に影響を与える薬剤を服用中の患者を除外し, 腎機能が正常な49人の患者をランダムにフロセミド単独群(Fグループ), フロセミド, ロサルタン同時併用群(FLグループ), ロサルタン単独群(Lグループ), フロセミド服用患者に対しロサルタンを追加投与した群(F→Lグループ), の4群を抽出した. 4群はロサルタンとフロセミド服用前後の血清尿酸値と変化率が比較された, その結果, FグループとFLグループの変化率はそれぞれ33.3%, 21.3%上昇した. Fグループの変化率はFLグループより上昇していた. しかしながら, 2つのグループ間に有意な差はなかった. LグループとF→Lグループの変化率はそれぞれ2.2%, 15.0%減少した. F→Lグループの変化率は他のグループより有意に減少した.
    これらの結果はフロセミドの投与による尿酸の上昇をロサルタンの尿酸排泄作用が抑制することを示唆した.
  • ―国内ハンセン病療養所における再発例での検討―
    並里 まさ子, 松岡 正典, 柏原 嘉子, 東 正明, 小川 秀興
    2002 年 56 巻 6 号 p. 331-337
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    国内での再発性ハンセン病患者14例における薬剤耐性について検討した. 過去の多様な治療歴を薬剤耐性獲得関連遺伝子領域における変異(以下, 遺伝子変異)の検索結果と照合した. 皮膚生検組織よりらい菌DNAを調製し, DDS (diaphenylsulfone), RFP (rifampicin), OFLX (ofloxacin), の3薬に対する遺伝子変異を検索した. 薬物の使用歴がある場合, DDSでは11例中10例, RFPでは11例中9例, OFLXでは3例中2例に遺伝子変異を確認した. またこのうち7例では, 2剤以上の薬物に遺伝子変異を認めた. 多くの症例で, 1回の投与量が少なく, 単剤または単剤に近い投与が長期間続いていた. 一方RFPやOFLXの使用歴がない6例では, それぞれに対する遺伝子変異を認めなかった. 遺伝子検索による薬剤耐性検査は, 信頼性の高い検査方法と考えられる. 国内の再発例では治療方針をたてる上で, また新患者の減少傾向が見られない多発国では, 今後のハンセン病コントロールを考える上で, 大きく貢献すると思われる.
  • (1) ALSとともに生きる人から見た現状と告知のあり方
    湯浅 龍彦, 水町 真知子, 若林 佑子, 川上 純子, 吉本 佳預子
    2002 年 56 巻 6 号 p. 338-343
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    筋萎縮性側索硬化症(ALS)の病名告知(以下はALS-ICと略す)は告げる側にも, また, それを告げられる患者や家族にとっても, その後の一生を決める重要な作業である. そのALS-ICのあり方についてわが国でもようやくさまざまな立場から論議されるようになり, 厚生科学研究「筋萎縮性側索硬化症の病態の診療指針作成に関する研究班」(今井班)が発足した.
    私共は昨年度からALS-ICについての問題点を患者と家族の視点から検討している. 本年度は, ALSと共に生きる人(患者)の立場からALS-ICの現状を明らかにし, 本研究班の提言作成に告知を受ける側の意見を反映させたいと思う.
  • ―療養環境改善にむけて―
    湯浅 龍彦, 木村 格
    2002 年 56 巻 6 号 p. 344-345
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    21世紀を迎え, 国立病院・療養所の役割が様々な観点から問い直されている. 昨年度から神経ネットワーク関連の35施設(本年度37施設)からなる神経臨床研究班がスタートし, 政策医療ネットワークの中に共通の論議の場が設営されたことは, 画期的なことであり喜ばしいことであった. これらの施設での神経難病入院患者数に関し, 班員に調査を行った. その結果, 各神経難病の一日当たりの入院患者数は, 筋萎縮性側索硬化症300名, パーキンソン病400名, 脊髄小脳変性症300例, 多発性硬化症100例, 慢性期脳血管障害400例であり, 当初の見込みを遥かに越えた数であった. このように国立病院・療養所が神経難病医療に果たすべき役割の重要性が改めて明らかになった. そのような中で神経難病医療に携わる医療スタッフとしては, 従前とは異なった新たな視点で, 神経難病の人々や家族が抱える問題に立ち向かって行かなければならない.
    神経難病医療の質の向上を目指す時のキーポイントは, 診断や治療の技術的革新のみならず, 慢性進行性の疾病を抱えて生きている人々に対して医療スタッフがどのような人間的な繋がりを確立して行けるのかということにある. そのためには, 医療者のスタンドポイントを患者と同じ面に置くところから始めなければならない. その上で情報開示, 病名告知, 終末医療, 緩和医療, 尊厳医療など各々のテーマに対して知識を深め, 技術の向上をはかって行かなければならない.
    本シンポジウムは, 神経難病医療に携わるいろいろな職域の代表者が集まり, 互いの壁を取り払って, 病める人々と共に語り共に生きる医療を確立することを目指して設定された.
  • ―看護の立場から―
    照井 洋子, 西山 順子, 塚部 喜美, 佛川 亜樹, 菅野 美保, 飛田 宗重
    2002 年 56 巻 6 号 p. 346
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • ―家族の立場から―
    川上 純子
    2002 年 56 巻 6 号 p. 347
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • ―ソーシャルワーカーの立場から―
    植竹 日奈
    2002 年 56 巻 6 号 p. 348-349
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • ―緩和医療の視点から―
    難波 玲子
    2002 年 56 巻 6 号 p. 350-351
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 木村 格
    2002 年 56 巻 6 号 p. 352
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 樋口 裕美子
    2002 年 56 巻 6 号 p. 353-354
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • ―筋萎縮性側索硬化症をモデルとして―
    今井 尚志
    2002 年 56 巻 6 号 p. 355-356
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 安間 文彦, 高井 輝雄, 松岡 幸彦, 小長谷 正明, 久留 聡, 南谷 昌弘
    2002 年 56 巻 6 号 p. 357-362
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    うっ血性心不全の男性患者4例(心エコー上左室駆出率<30%)に睡眠ポリグラフィを行ったところ, 全例に中枢型無呼吸をともなうチェーン・ストークス呼吸が認められた. その治療として, 3ケ月間, 4-6cmH2Oの持続気道陽圧(CPAP)を行ったところ, 無呼吸・低呼吸指数は減少, 徐波睡眠の割合は増加, 左室駆出率は全例30%以上まで増加した. CPAPは, うっ血性心不全患者のチェーン・ストークス呼吸を緩和し, 心機能を改善すると思われ, うっ血性心不全の非薬物的アプローチとしてCPAPの有用性が示唆された.
  • 佐々木 理恵, 川崎 純子, 古川 勤, 重藤 紀和, 切替 照雄
    2002 年 56 巻 6 号 p. 363-370
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(以下MRSA)を中心とする院内感染防止対策として当院では1999年12月より強酸性水を用いた院内環境整備に取り組んでいる. 当院の2000年4月の平均入院患者数(75名)に占めるMRSA保有率が約30%にも及んでしまったことを契機に院内で統一された環境整備マニュアルを作成し, 細菌学的環境調査を行ってその成果を確認した. 気道内吸引後のカテーテルの処理など看護手順についても実際に培養検査を行って検討し, 改善している. 院内で分離されたMRSA株の分子疫学的検討では, 2000年度はまさしく院内感染が示唆されたが, 引き続き院内感染対策に取り組んだ結果, 院内環境からMRSA菌は消失した. 2001年9月のMRSA株の検討ではアウトブレイク型のMRSAは9株のうち2株にまで減少し, MRSA院内感染がようやく終息に向かっていると考えられる結果が得られた. MRSA院内感染対策としては, ウエルパスによる手指消毒を含めた衛生学的手洗いの励行が最も重要と考える.
  • 神崎 仁
    2002 年 56 巻 6 号 p. 371-375
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 丸岡 貴弘, 須井 修
    2002 年 56 巻 6 号 p. 376-380
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
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