医療
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57 巻, 1 号
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  • 楠岡 英雄
    2003 年 57 巻 1 号 p. 3-6
    発行日: 2003/01/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    国立病院・療養所では, 他の医療機関に比し, 治験の円滑な実施を妨げる要因がより多く存在するとの指摘があった. 平成13年8月に, 国立病院等治験推進検討会が設置され, 平成14年6月に報告書が出された. 同年11月, 諸通知により, できる範囲において報告書に沿った方向への改善が図られ, 国立病院等における治験は進めやすくなったと考えられる, しかし, 国立システムであるために現状では変更できない会計上の事柄や, 市販後臨床試験にまつわる事柄など, 依頼者や行政サイドとともに検討を必要とする項目がまだ残されている. 今後, 治験のみならず, 臨床試験の実施のためにも, 治験の実施基盤を構築することが重要である.
  • 浦山 隆雄
    2003 年 57 巻 1 号 p. 7-9
    発行日: 2003/01/20
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    平成10年6月の国立病院部長通知によって, 国立病院・療養所における新GCPに対応した治験等の受託研究の体制整備方針, 契約手続き等を示した. また, その後の状況に対応するため, 国立病院等治験推進検討会報告を受けて, 平成13年11月に国立病院部長通知の改正等を行った. 国立病院・療養所における治験の状況を見ると, 平成10年の新GCP完全施行以後, 実施数はいったん減少したが, その後増加傾向にある. 契約金額で, 平成11年度が25億6千万円, 平成12年度が27億7千万円, 平成13年度が34億2千万円となっており, 平成13年度における伸びが顕著である.
    このような治験実施数の増加の要因は, 1つではなく, いくつかの複合であると考えられるが, 平成12年10月から本格的に配置された治験薬剤師・治験看護師(CRC)の果たした役割が大きいのではないかと推測される.
  • 三島 正彦
    2003 年 57 巻 1 号 p. 10-14
    発行日: 2003/01/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    平成10年に新GCPが完全施行されて4年が経過したが, 以前から懸念されていた「治験の空洞化」と呼ばれる状態は一段と進行し, 国内企業が開発した新薬の, 国内での治験実施件数は平成5年時の3分の1にまで減少してきた. また, 企業主導であるがゆえに, 欧米では標準薬になっていながら国内では使えない薬品や適応外の状態にある薬品が多数存在する. このような状況を踏まえ, 厚生労働省は「治験ネットワークの構築」・「医師主導型の治験を含む臨床研究指針の整備」・「CRCの養成」等薬事法改正をも視野に入れての対応に取り組んでいる.
    このような行政サイドの動きとは別の視点から, すなわち, 医療機関として治験管理室を立ち上げて4年が経過した中での問題点等を考えてみたい.
  • 野呂 岳志
    2003 年 57 巻 1 号 p. 15-18
    発行日: 2003/01/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    平成13年11月の国立病院部長通知により, 国立病院療養所の治験体制の変化についてアンケート調査を実施した. その結果, 治験管理室やCRCの拡充により治験実施体制は整いつつある. しかし, 医療法や国の会計法などの制限が治験の円滑な実施の障害となっているので, 行政と製薬企業がともに問題解決に努力する必要がある.
  • 小原 泉
    2003 年 57 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 2003/01/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    近年, 治験実施体制の整備を目的に治験管理室の設置が進められてきた. 当院では, 平成11年5月の治験管理室開設以降に開始されたすべての治験および市販後臨床試験にCRCが派遣され, 実際の業務を評価しながら治験管理室の体制を整備してきた. 中でもCRCの増員と定着の促進, 現任教育と業務の質の向上は重要な課題として取り組み, CRCは開設当時の2.5倍に増員され, 現任教育プログラムの充実, 看護師・薬剤師などの専門性を考慮したCRC間での業務分担体制が図られた. 治験管理室内の体制整備が進むにつれCRCの役割は他職種より徐々に認知され, 治験業務の円滑化, 治験の推進に対する認識の向上につながっている. 院内の体制整備において, 実施される治験の特徴に合わせたCRCの配置や教育, 治験管理室内の業務体制づくりは優先されるべき課題と考える.
  • ―国立病院で必要なこと―
    吉野 英
    2003 年 57 巻 1 号 p. 24-28
    発行日: 2003/01/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    平成14年7月に改正薬事法が公布されたことにより, 医師が自ら治験を行うことが可能となった. このような医師主導型臨床試験を行うにあたり, 科学性, 倫理性を示す指針がほぼ新GCPと同じ基準となっている. 医師主導型臨床試験を国立病院・療養所のネットワークで行うことの重要性を述べた. これを行うに必要なインフラストラクチャーは早急に整備されなければならない.
  • ―治験依頼者の立場として―
    小居 秀紀
    2003 年 57 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 2003/01/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    平成12年8月に, 国立病院・療養所における治験の円滑な推進を図ることを目的として国立病院等治験推進検討会が設置された. そこでは, 国立病院・療養所における治験の問題点の整理と解決策の検討がなされ, 平成13年6月にはその報告書が発表された. この報告書を受け, 同年11月には, 諸通知により, 医療機関における治験実施体制整備の方策や契約書等の統一様式が発出された. その結果, 国立病院・療養所の治験の進捗が改善されているのか, それは何か, あるいは, 不十分な点は何かを, 治験依頼者に対して実施したアンケートの結果を基に報告する. また, アンケートの結果を踏まえ, 治験依頼者の立場から, 国立病院・療養所のネットワークを活用した治験システムの構築等, 国立病院・療養所における治験の円滑な進捗のための期待, 可能性についても述べる.
  • 伊藤 澄信
    2003 年 57 巻 1 号 p. 35-37
    発行日: 2003/01/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    国立病院には17の政策医療ネットワークがあり, 臨床研究・治験に積極的にとりくんでいるが, 問題点も指摘されている. 製薬企業はまず, 早くGCP違反のない症例が集積され, 次いで達成症例あたりの費用が安いこと, 手続きなどが煩雑でないことを希望している. 国立病院のネットワークによる難病治験症例の集積, センター病院による症例数確保のための連携, 医師主導の治験の実施などの機能を担えば魅力的なものとなる. 国立病院治験推進検討会報告書とそれに基づく通知によって, 種々の改善がなされているが, 薬事法改正後の医師主導の治験に関連して治験コーディネーター養成, 費用などの解決すべき問題が残っていると思われる.
  • 吉川 広子
    2003 年 57 巻 1 号 p. 40-46
    発行日: 2003/01/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    精神科病棟に勤務する看護者の身体拘束中の看護に対する意識を把握し, 拘束中の適切な看護を提供する素材とするため, 看護者109名を対象とし質問紙法による調査を行った.
    その結果, 拘束時の看護者の気持ち・考えにさまざまな感情の揺れ動きが認められるとともに, 医師―看護者間で共有されるべき, 早期の拘束解除に向けてのシステム作りが必要とされていることが明らかとなった. さらに看護者の意識や感情のあり方が, 患者―看護者関係に影響し看護ケアの質を左右することも再認識できた。
    看護者は日常的に行っている看護実践を時には意識化してその意味を見きわめ, 単なる技術提供者にとどまらず患者の立場に立った高度な判断力を身につける必要があることが示唆された.
  • 山内 英生, 手塚 文明
    2003 年 57 巻 1 号 p. 47-57
    発行日: 2003/01/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    臨床研究とは一般的に日々の診療に寄与するものと定義されるので, 国立病院における臨床研究部はしたがって常に臨床と密接にリンクしているべきである. 国立病院における臨床研究はその広範なネットワークを使用して臨床研究の専門家によって指導されるべきである.
    本シンポジウムの目的は独立法人化を間近に控えて国立病院ではどのような研究がなされるべきかまた, その評価はいかになされるべきかである. 研究の内容に関してはネットワークを利用した新薬の開発のための治験, EBMを作成する臨床試験などは取り扱い易いテーマであり, 効果も期待できる. また, 基礎的なテクノロジーや基礎医学者などとの連携を要する研究も十分に施行が可能であり, 既に本シンポシストの発表のように成果を上げている施設もあるが, 全体として人材, 予算などのインフラストラクチャーは十分であるとはいえない.
    一方, 評価に関しては無作為試験を手段にしたEBMが現在広く“goldstandard”とされる中, EBMが関与する評価手法が用いられるべきである. しかし, EBMには幾つかの制限もあり, 現行ではrandomized trial, nonrandomized prospective cohort study, retrospective cohort study, cahort with nonparallel comparisonなどのような評価のランク付けをした手法が使用されている. 国立病院における臨床研究の評価も基本的にEBMの関与による評価が望ましい. 英文に対するインパクトファクターは国際的に認知されたピアレビュー制度に基づく評価手法であるが, 邦文に対する評価手法は全くないといえる状況である. 現在司会者は厚生労働省の基盤研究において, 邦文論文の評価方法のルールを作成中である.
  • ―動脈硬化の超音波診断―
    豊田 一則, 藤本 茂, 岡田 靖
    2003 年 57 巻 1 号 p. 60-64
    発行日: 2003/01/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
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