医療
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57 巻, 11 号
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  • 城 謙輔
    2003 年 57 巻 11 号 p. 637-638
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    末期腎不全医療のなかの透析医療の社会性に焦点をあて, 国費の削減に対応して医療の経済性と医療水準の維持の接点を模索するという観点から, 日々の診療の現場からの建設的な意見をこの特集に生かしたい. また, 次世代の医療形態への先取りした動きに向かって社会全体に流れを作るには, 問題意識に即した客観的なデータの集積が必要である. 政策医療腎ネットワークの各方面の専門家である内科医, 小児科医, 移植外科医が, 政策医療担当者を含めて透析医療の現状と今後の対応策について, 共通の紙面で論じ, 情報交換し, これまでのデータを検証し, それが明日の医療政策に用いられることを望む.
  • 河田 哲也, 山田 幹二, 宇根 良衛
    2003 年 57 巻 11 号 p. 639-646
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    透析医療は重度の腎機能障害の中心的な治療手段として社会に受け入れられて久しい. 我が国では, 比較的早期から透析医療制度がととのい, 国内の医療産業の発達や透析医療機関の増加に支えられて, 量的, 質的にも透析医療は全国ほぼ偏りの少ない状況で普及し今日に至っている. こうした技術・制度的な成熟を背景に透析患者数は年々指数関数的に増加し20万人を超した. その根底には我が国の疾病構造と人口構成の変化があり, 今後の更なる患者増は明白である. それとともに透析医療にかかる費用も増大しており, 国民医療費の抑制政策のなかで総量規制的対応の的となって患者一人あたりの透析のコストはここ20年で約3分の1に縮減された. 一方, 我が国の透析患者の死亡率は低く, 医療費削減の中でその効率をかろうじて保っている. 今後, 包括支払い制度導入などの更なる医療費削減の動きの中で, そうした医療の質を担保した対策を検討する必要がある.
  • 井上 裕司
    2003 年 57 巻 11 号 p. 647-653
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工透析という, まさに生命の存続に直結する医療については, これまで医療保険(概ね2年ごとの診療報酬改定)のほか, 自己負担額に対する身体障害者福祉法・児童福祉法による公費負担という2段構えの体制で, 患者の医療に係る経済的な負担の軽減措置が講じられてきたところである. 本稿ではこれらの見直しに係る経時的な変遷を詳説することで, 他寄稿者の議論の基盤としての基礎知識を提供することとしたい.
  • ―在宅血液透析や腹膜透析はなぜ浸透しないのか―
    吉村 光弘
    2003 年 57 巻 11 号 p. 654-658
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    高齢化社会に対応した在宅医療の流れは, 透析医療に関しても拡大されるべきであろうが, 家庭透析や腹膜透析(CAPD: continuous ambulatory peritoneal dialysis)は一向に浸透しないばかりかむしろ減少に転じている. 就業という点では透析施設で行う血液透析に比べれば生活の自由度は高く, 残腎機能や尿量が減少しにくいので初期に腹膜透析を導入するメリットは大きい. しかし, デメリットも多い. 自己管理を一人で行うストレスは大きく, 透析導入前と同じ仕事量をこなすのは心身両面で難しい. 長期腹膜透析は硬化性腹膜炎を生じる危険性が出てくる. 急増する糖尿病性腎症や腎硬化症の患者は高齢者が多く, 既存の障害のために在宅では自己管理が難しい. 長期入院となると腹膜透析のバッグ交換は看護師の負担が大きく, 長期療養型病院では受け入れてもらえない. 血液透析と腹膜透析との医療費に差がないようになっているのは日本だけであり, 腹膜透析の価格がもっと安くなって患者や家族の支援に還元されれば, 急増する高齢者の透析問題を解決する突破口になるかもしれない.
  • 星井 桜子
    2003 年 57 巻 11 号 p. 659-664
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    小児の末期腎不全治療の最終目標は正常な成長発達である. 小児の透析法の主流は腹膜透析(PD)で, 小児PD研究会データでは15歳以下の新規PD導入数は毎年50-60例である. その1/3は6歳未満が占め, 乳幼児のPD選択率は高い. 生存率や継続率などのPDの成績は向上しているが, 6歳未満では年長児に比べ劣り, その管理に注意を要する. 主な死亡原因として心血管系合併症が多く, 体内水分の適正な管理による正常血圧の維持が重要である. また, 小児では精神心理面, 社会面の問題が起きやすく, 腎不全保存期から患者と家族へのサポートは必須である.
    QOL(生活の質)の点から, 小児の最善の治療は腎移植であり, 透析は腎移植を前提としなければならない. しかし, 献腎移植低迷から, わが国では小児でも腎移植の選択時期が遅く, ほとんどが生体腎移植である. そのため, わが国では諸外国に類をみない長期透析となる. 一番の解決策は献腎移植の増加であり, 腎移植推進は小児腎不全にかかわるものの責務でもある.
  • 坂本 薫
    2003 年 57 巻 11 号 p. 665-669
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    腎移植が成功すると患者の生活は一変し, 合併症や医学的リスクから解放され生活上の豊かさを十分に享受できるようになる. 我が国の年間腎移植実施件数は生体腎551例, 献腎151例の合計702件(2001年)にすぎないが, 約50%が10年以上生着する今日では血液透析に比して医療費が数千万円削減できる. 腎移植件数が十分とは言えない現状においても年間数十億円の社会負担の節約効果があり, 腎移植医療の透析医療と比較した経済的利点は明らかである. しかしながら, 腎移植数は低迷したままである. 臓器提供者を増加させ移植件数を伸ばすためには, 善意による死後の提供を前提とする献腎移植の飛躍的推進こそ唯一の道と言える. 社会の理解を広め, 国立病院・療養所の腎移植への対応と臓器提供への努力をさらに進め, そのための体制整備を行う必要がある.
  • 米山 威久, 小宮 山斎, 藤原 雅予
    2003 年 57 巻 11 号 p. 670-675
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    前立腺癌の診断について概説した. 前立腺癌の診断には直腸診, 前立腺特異抗原(以下PSA), 経直腸的超音波検査(以下TRUS), 前立腺生検が必要である。PSAは最も重要な指標ではあるが, 前立腺癌特異抗原ではないため幾つかの問題を有している. 特にPSAの特異度を向上させるため年齢別PSA, PSA密度(以下PSAD), PSA速度(以下PSAV)とPSAの分子型などが測定され成果を上げており, 中でもPSAVとPSAの分子型は今後最も期待される方法と考えられる.
    超音波ガイド下系統的前立腺生検には多少の異論もあるが, 現在最も汎用されている方法であり, 得られた生検組織は前立腺癌病期診断しいては前立腺全摘の適応のより正確な判断材料として有用である.
    前立腺癌の画像診断について簡単に触れた. 残念ながら現在のところ前立腺癌病期を正確に予想できるものはないが, PSA等と併用すれば直腸内コイルMRIが有望と思われる.
  • 白松 一安, 鈴木 一郎, 青木 靖雄
    2003 年 57 巻 11 号 p. 676-679
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    1989年から2000年までに, われわれは非浸潤性乳管癌57例中の27例(47.4%)に乳房温存手術を施行, 放射線照射併用3例を除いた24例の治療成績を検討した. 内分泌療法を1例に併用したが, 23例は手術単独で, 腋窩郭清施行は1例のみであった. 5年健存率は82.4%であった. 乳房内再発の有無が不明の術後所属腋窩リンパ節転移をきたした1例を除いた23例で乳房内再発率を検討した. 乳房内再発は3例(13.0%), 5年乳房内再発率は14.1%であった. 発見契機別にみると, 乳頭異常分泌群は6例中5例に乳管腺葉区域切除後, 癌巣辺縁から2cm以上の距離を取るため追加切除を施行し, 乳房内再発を認めなかった. 乳房内再発病巣の組織型は非浸潤性乳管癌が2例, 浸潤性乳管癌1例で, 浸潤部位は微小であった.
  • (2)脳動脈瘤塞栓術と頸動脈ステント留置術
    卯田 健, 井上 亨
    2003 年 57 巻 11 号 p. 680-682
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
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