BRCA-1, -2は家族性乳がんの原因遺伝子として知られており, 米国を中心として発症前診断を含む遺伝子診断への臨床応用が積極的に進められている. 遺伝子診断の方法は複数あるが, 現段階でもっとも確実なのは全領域直接シークエンス法と考えられる. しかし, この方法は金銭的および人的負担が大きく, どの研究室でも簡単に行えるものではない. それゆえ, これに替わる遺伝子変異の有無を調べるスクリーニング法の確立が求められている. スクリーニング法としてSSCP, TGGE, DGGE, PTT, DHPLC等が知られている. 現時点は, DHPLC法が他の方法と比較して変異検出率が高く, スクリーニング法としての有用性が期待されている.
乳がん患者の増加にともない, わが国においても家族性乳がんの遺伝子診断の機運が徐々に盛り上がりつつある. しかし, 現時点ではわが国における変異と浸透率との関係など明らかとなっておらず, 結果の解釈には慎重を要する. これらの基本的な情報をできるだけ早急に集める取り組みが是非とも必要である.
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