医療
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58 巻, 1 号
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  • 山本 初実, 多喜 紀雄
    2004 年 58 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 2004/01/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    最近, 医療改革, 医療過誤等の問題が大きくクローズアップされ社会から病院を見る目も厳しくなり, 患者から病院が選択される時代を迎えた. 昨今の, 我が国全体が沈滞しているように思われる中においても一部企業においては, 強力なリーダーシップのもとに戦略的目標を打ち立て, 組織全体が一丸となってそれを達成していく様を目のあたりにすることを経験した. 病院は非営利組織体ではあるが, 組織に活力を見出し, 健全な経営体かつ患者指向の病院になることが社会から要請されている. それを実現する為に情報技術(information technology;IT)化はなくてはならないツールであるが, その導入にあたっては, 組織の経営戦略を明確にした上でシステム構築目的を明確にすることが重要である.
    国立三重中央病院は, 国立病院の独立行政法人化を目前に控える中で, 現行のオーダリングシステムをベースとする病院情報システムに対し次期システム構想を取りまとめるに当たって, バランスト・スコアカード(balanced scorecard;BSC)を適用することによって経営戦略を再確認するとともに, システム構築目的を明確にした. BSCは組織の目標を「顧客満足度」, 「財務指標」, 「業務プロセス」, 「学習と成長」の4つの視点より定量的に定め, 全組織内で共有し, かつ目標を達成する「戦略指向の組織体」となる為の手法である. その適用結果, 患者の視点からの患者サービスおよび患者情報共有化による「患者中心の医療」, クリティカルパスによる「医療の標準化」, そしてコスト削減と生産性向上による「病院経営の健全化」を次期システムの構築目的とすることを決定した.
  • 小島 靖彦
    2004 年 58 巻 1 号 p. 9-12
    発行日: 2004/01/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    頭膵十二指腸切除後の重篤な合併症の1つは膵空腸縫合不全であり, その発生頻度は尾側膵の状態と関係し, 非線維化例では頻度が高い. したがって, 確実な術式が必要となり, これまで端側吻合による膵管嵌入法と膵管粘膜縫合法が行われてきた. しかし, 膵管嵌入法では縫合不全の発生頻度は多く, そのため尾側膵の線維化に関係なく膵管粘膜縫合法のみが広く行われるようになった. 膵管空腸粘膜縫合法の要点は, (1) 膵切離では断端からの出血は確実に止血する, (2) 約3週間は全膵液を体外にドレナージする, (3) 膵管粘膜縫合では膵実質を拾うように膵管に深く針を刺入する, (4) 2層目の縫合では空腸壁で膵断端を完全に被覆する, (5) 腹腔内に漏出した膵液を体外に誘導するためにドレーンを適切に留置する, などである. 膵管粘膜縫合法のみの施行により, 縫合不全の発生頻度は減少した. 膵管粘膜縫合法は致命的な合併症を回避できる優れた吻合術式であると思われた.
  • 高原 誠
    2004 年 58 巻 1 号 p. 13-16
    発行日: 2004/01/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    65歳以上の年齢層は, 現在の日本の肺結核患者の主たる部分を占め, その臨床的特徴を明らかにすることを目的とした. 対象は平成11年-12年の2年間に国立療養所西甲府病院結核病棟に入院した108例の結核患者の内65歳以上の60例(高齢者群)で, 残りの64歳以下の48例を対照群とし, 両群の臨床的特徴を比較検討した. 全身状態は高齢者群でPS(performance status)が有意に高値を示し, 血清アルブミン値は対照群が高い傾向を示したが有意差を認めなかった. 合併症を有する頻度は高齢者群が有意に高く, 高血圧, 腹部手術後, 悪性腫瘍, 脳血管障害は高齢者群の方が多かったが, 糖尿病は対照群の方が多く, 肝疾患は差を認めなかった. 生活歴では, 1人暮らし, 不規則な生活, 周囲に結核患者のいる割合は対照群が有意に高かった. 副作用のため薬剤を変更する比率は高齢者群で高かったが, 標準治療が可能な率には差を認めず, 予後もほぼ同様であった.
  • ―ネットワーク構築による政策医療の推進―
    大塚 次男
    2004 年 58 巻 1 号 p. 17-18
    発行日: 2004/01/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    平成11年3月に国立病院療養所再編成計画の見直しがなされ, 政策医療として19分野の特定疾患に対し, 診療はもちろんのこと, 「臨床研究」, 「教育研修」, 「情報発信機能」も含めた一体となった医療提供体制の整備を行うことが明示された. その中には総合情報ネットワークシステムの整理充実も謳われている.
    情報化により放射線診療の質, 効率が高まれば, 国立病院療養所の局面の1つでもある政策医療の推進にも大きく貢献すると考えられる. 本シンポジウムでは政策医療を推進するために放射線技師が情報技術とどのように関わっていくべきかを多方面から検討した.
    国立京都病院上垣氏, 国立療養所村山病院田仲氏からは, 国立病院, 療養所というそれぞれの立場からIT化の現状と問題点, 各政策医療分野への取り組みについての報告がなされた. 国立病院岡山医療センター小倉氏からは, 意義ある病院情報システムを構築する手順として, 病院のコンセプトに基づいたシステム設計, 業務内容の見直しと標準化を計ることの重要性が述べられた. 国立小倉病院田上氏は, インターネットを利用した病診連携システムの構築と運用経験について報告し, 地域医療及び病院経営に貢献できる可能性を示した. 国立がんセンター中央病院塚田氏からは, 多地点テレビカンファレンスの紹介を中心に, がん診療施設情報ネットワークを政策医療推進のために活用する方法について提言があった.
    IT化への取り組みは施設によって大きく異なっているが, 本シンポジウムの発表内容は, 今後ネットワークを構築あるいは拡充する施設において大変参考になったと考える. 施設としての明確なコンセプトを軸に取りこぼしないネットワークを構築されるよう願う.
  • 上垣 忠明
    2004 年 58 巻 1 号 p. 19-21
    発行日: 2004/01/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 小倉 裕樹
    2004 年 58 巻 1 号 p. 22-23
    発行日: 2004/01/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 田上 俊一
    2004 年 58 巻 1 号 p. 24-29
    発行日: 2004/01/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 田仲 隆
    2004 年 58 巻 1 号 p. 30-31
    発行日: 2004/01/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 塚田 勝
    2004 年 58 巻 1 号 p. 32-33
    発行日: 2004/01/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 浜口 欣一, 城謙 輔, 鈴木 理志, 川村 研, 前島 基志, 大矢 良之, 山崎 正明, 上杉 健治, 宍戸 英雄, 土田 弘基
    2004 年 58 巻 1 号 p. 34-40
    発行日: 2004/01/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    国立佐倉病院が平成16年3月国立療養所千葉東病院に統合されるに当たって, 過去22年間に取り扱った腎生検組織の内容を分析し記録に残しておく必要性を感じたのでまとめた. 腎生検の検索方法は光顕, 免疫蛍光抗体, 電顕検索を行って分析した. 対象検体は3,363検体で, その結果IgA腎症1,158(34%), その他の1次性疾患1, 507(45%), 膠原病関連腎炎その他の2次性疾患627(19%), 尿細管間質病変71(2%)であった.
    腎内科医の腎生検に対する考え方に多様性が明らかになった. 血尿, 蛋白尿, ネフローゼ症候群などの臨床症状は腎生検を行って初めて病理形態像が明らかにされる.
    主な疾患であるIgA腎症, 微小変化型ネフローゼ症候群, 巣状糸球体硬化症を含むネフローゼ症候群, 半月体形成性糸球体腎炎, 糖尿病性腎症等の年次別推移では特異的な傾向は無かった. 微小変化型ネフローゼ症候群, 巣状糸球体硬化症を多施設集計結果と比較すると, 前者は少なく後者は多かった. 大腸癌にともなう膜性腎症, サルコイドーシスによる間質病変など貴重な症例が含まれていた.
  • 中村 幸夫, 稲葉 孝
    2004 年 58 巻 1 号 p. 41-45
    発行日: 2004/01/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」は, 2002年7月31日に公布された. それから1年になろうとする今, 国立国際医療センターにおける適正な輸血管理への取り組みについて見直してみた. 輸血療法委員会が2000年3月に発足して以来, 輸血管理室では適正な輸血療法に関するキャンペーンを協調して実施してきた. その結果, 新鮮凍結血漿の使用量は1999年の10,348単位から2002年の4,240単位まで半減しており, 全血は1999年の1,686単位から2002年のゼロまで減少した. その一方では, 深夜帯の病棟とICUにおいて3件のABO型不適合輸血が発生していた. これら輸血過誤の原因は, 看護師による血液バッグの取り違えと医師による血液型判定ミスであった. 適正な輸血管理のためには, 輸血管理部門の設立整備が最も効果的である. したがって, 輸血管理業務は臨床検査技師による24時間体制で実施されるべきである. さらに, 人的ミスを予防し業務効率を向上させるためにも, コンピュータによる病院内輸血管理システムの実現が必須である.
  • 川名 明彦
    2004 年 58 巻 1 号 p. 46-48
    発行日: 2004/01/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
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