医療
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58 巻, 10 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 堀 宏治, 冨永 格, 織田 辰郎, 金 廣一, 小西 公子
    2004 年 58 巻 10 号 p. 563-568
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    アルツハイマー型痴呆(AD)患者における血清抗コリン活性(SAA)測定の意義とその測定についての実際を総説した. レセプターバインヂングアッセイを用いて簡便測定法の報告以後, SAAは血清中の抗コリン機能を持つ薬物およびその代謝産物の抗コリン活性の総和を表したものとされ, 主に, 薬剤起因性のせん妄との関係あるいは非痴呆症例を対象として認知機能との関係で論ぜられてきた. しかし, 白血球の上昇, 感染, 発熱性疾患で上昇することなどから, SAAは疾患に関する非特異的ストレス反応と関係が示唆されている. ADにおいては内因性の抗コリン活性が上昇すること, 免疫系の異常が示唆されることから, 内因性の抗コリン活性がアセチルコリン系の機能低下を引きおこし, ADの認知機能のみならず精神症状, 行動症候などの行動心理学的症候と関係していると判断され, ADを対象としてSAAを測定することの意義があると考えられる.
  • ―免疫組織化学を用いた病理組織学的検討―
    岩永 彩, 豊岡 辰明, 館 裕一, 竹ノ下 由昌, 一瀬 俊介, 内藤 慎二
    2004 年 58 巻 10 号 p. 569-572
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    子宮体部に認められた比較的まれなadenomatoid tumorの1例を報告する. 症例は44歳, 女性, 過多月経, 月経困難症を主訴に当院産婦人科を受診. 子宮筋腫の診断で腹式単純子宮全摘術が施行された. 子宮体部には, 境界明瞭な約5mm大の結節と境界不明瞭な2.5cm大の結節が認められた. これら2つの病変は白色―灰白色調, 弾性硬で, 組織学的には5mm大の結節は平滑筋腫であった. また, 2.5cm大の結節は扁平な上皮細胞に被われた大小, 多数の管状構造とその周囲の筋線維性組織の増生から成る腫瘍性病変で, 管状構造にはAlcian blue染色陽性の粘液様物質が認められadenomatoid tumorと診断した. 免疫組織化学では, 腫瘍細胞はCK7, calretinin, vimentin, CA125陽性で, CK20, Factor VIIIが陰性であり, この腫瘍の発生起源が中皮細胞である可能性を示唆していると考えられた.
  • 山西 文子, 佐藤 次子
    2004 年 58 巻 10 号 p. 573-574
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    行政・医療全体がますます経済性を追求し, 医療・看護もその効果性と効率性が求められる現在, 国立病院療養所においても独立行政法人化移行を直前に控え, その使命である政策医療を基盤に長期的展望に立った運営計画(中期計画)を作成している段階である.そこで今回のシンポジウムのテーマである「看護における役割」を考えるにあたっていくつかのキーワードが考えられる.
    (1) 医療, 看護と経営(診療報酬体系), (2) 政策医療(臨床評価指標), (3) 看護の質の向上…目標管理(人材育成, 人事考課, 適正処遇), 専門性の追求(専門・認定看護師, 看護研究, 教育の高学歴化), EBN, (4) 看護の機能と役割の変化…チーム医療, 連携(地域・院内), (5) 看護の質の評価…看護の質(評価)指標, 患者満足度
    国立病院・療養所のみならず, 他のあらゆる設置主体の医療機関・看護部門においても同様の問題・
    課題を抱えている状況にあり, 上記キーワードにあるようなさまざまな切り口・視点での論述・議論・取り組みがなされ報告されている. 独立行政法人化に向けての計画作成・取り組みに, 私達看護管理者が経済性・効率性と表面的な問題解決に終始するような参画の仕方をすれば,看護の質の低下につながることが危惧される.
    看護本来の役割と機能を基本に, いかに患者にとってプラスとなるような, また, 看護の価値が見えるような参画の仕方があるのか, 各シンポジストにその一端をご紹介いただき, 議論する中で明確にしていきたいと考える.
  • 増田 えみ
    2004 年 58 巻 10 号 p. 575-576
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 平山 妙子
    2004 年 58 巻 10 号 p. 577-578
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 高橋 久美子
    2004 年 58 巻 10 号 p. 579-580
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 矢加部 茂, 山内 健, 村中 光
    2004 年 58 巻 10 号 p. 581-584
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    【目的】鼠径ヘルニアにおいて対側予防手術の決定のための客観的判定法としてスケール付きゾンデによる腹腔鏡下対側検索を行った. 【対象と方法】1997から2003年までの1歳以上の鼠径ヘルニア89例(男42, 女47)に対して従来の腹腔鏡下対側検索に加えて反対側上腹部に14G静脈留置針にて穿刺し, 簡単な目盛りを入れたゾンデを挿入して腹膜鞘状突起の長さを測定した. 【結果】10mm以上を陽性と見なした場合, 腹腔鏡検索89例において36例(40.4%)で陽性であった. 特に症例の多い1歳から4歳まででは1歳代が陽性率が高く25例中15例(60%)が10mm以上であった. 続いて2歳代24%, 3歳代36%, 4歳代で36%の症例で陽性と判定した. 【結論】われわれの行っているスケール付きゾンデによる腹腔鏡下対側検索は従来の腹膜鞘状突起の開存の有無を見るだけでなく, 長さが測定可能で, 一定基準に達した長さの症例に対しての予防手術が可能のみならず判定困難な症例にも有用であった.
  • ―病理組織および細胞所見を中心に―
    岩永 彩, 館 裕一, 豊岡 辰明, 青木 伸樹, 山口 真紀, 竹ノ下 由昌, 一瀬 俊介, 内藤 愼二
    2004 年 58 巻 10 号 p. 585-588
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    背景: 擦過細胞診で豊富な黒褐色穎粒を有する類円形多核異型細胞が認められ, 免疫組織化学を加えた生検組織標本にて確定診断したまれな膣原発悪性黒色腫の1例を経験したので報告する.
    症例: 69歳女性, 性器出血を主訴に当院産婦人科を受診した. 膣壁右側面上1/3に有茎性ポリープ状の腫瘤が認められ擦過細胞診と生検を施行した. 細胞診では, 核小体の目立つ大型の核を有する類円形異型細胞と多量の茶褐色穎粒が認められ, class V, suggestive of malignant melanomaと診断した. 生検組織では, 著明な炎症細胞浸潤をともなう壊死性問質組織を背景に, N/C比の高い過染性の類円形異型細胞が小集塊状あるいは個々バラバラに増生していた. また, 腫瘍細胞内および周囲間質組織にはFontana-Masson染色陽性のメラニン穎粒が多量に認められた. これらの異型細胞は免疫組織化学にてS-100, HMB45が陽性, LCA, keratin, EMAが陰性であり悪性黒色腫と確定診断した.
    結論: まれな膣原発悪性黒色腫の1例を経験した. 擦過細胞診の特徴的腫瘍細胞像が, その診断に有用であった.
  • 福留 隆泰, 松尾 秀徳, 松田 美子, 大平 志穂美, 下野 修, 渋谷 統壽
    2004 年 58 巻 10 号 p. 589-594
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    平成14年12月から平成16年3月まで, 在宅療養している2名のALS患者に対してインターネットを利用した医療支援システムを導入しその効果を検討した. 支援システム用のホームページに患者は自分自身の健康状態を入力し, 後に医師と看護師が患者の健康状態を閲覧した上でそれに対するコメントを記入した. このやりとりを約28ヵ月間行ったが, インターネットを利用したことで時刻や場所に制限されることなくほぼ連日入力できた. 患者・家族へのアンケート調査の結果, 患者や家族は安心感を得ておりシステムに満足していることが示された. 患者個人情報の漏洩はなかった. 患者QOLの評価はALSAQ40を用いて経時的に行った. 患者の重症化とともに合計点は増加したが, emotional functionの点数は他のドメインと比較して増加していなかった.
    これらの結果から本支援システムは在宅支援に有用であると考えられた. 今後はより多数の患者を対象として, システムの有用性や個人情報の安全性にっいての確認が必要である.
  • 永井 英明
    2004 年 58 巻 10 号 p. 595-598
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
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