医療環境が激変して行く中, 病院に対し良質で効率的な医療が求められている. そこで質の高い医療, 多職種間の連携によるチーム医療, 標準化による医療事故防止, 顧客に対し満足度の高い医療の提供が求められている. 一方, 病院経営の面からは医療技術の発達と高齢化による医療費の高騰は各国の共通の課題であり, 質の確保とコストの抑制をどのようにして両立させて行くかは大きくクローズアップされてきている. そこで本邦でも医療保険制度の抜本的な見直しの具体的施策として包括支払い制度が急性期入院医療の定額払い方式(いわゆる日本版DRG/PPS)の名称で1998年11月1日より10病院で試行され2001年4月からは制度を新しく見直し, 新方式が導入され, さらに新しく対象疾患も増やし, 約60施設を加え包括支払いを伴わない診断群分類を検証中である.
また平成15年度からは特定機能病院(大学病院, ナショナルセンター)にも診断群分類を活用した一日定額払い方式が暫時導入されている. 以上のように包括支払いの有無, その方式にも違いがあることからDRGという言葉の意味の誤解を避けるためにDPC (diagnosis procedure combination)という名称に改めたことも注目すべき点である.
今回のシンポジウムはDPCの正しいあり方を検討されている松田氏, DPC検証の基礎データに携わる診療録の立場より柴田氏, DPCおよび包括支払い診療および収益に携わる病院管理者の立場より宮入・飯田氏, DPCに対する病院管理学のご専門の立場より橋本氏, この制度の立役者でありよりよい制度へ向けて努力されています矢島氏の6名より忌憚のない声を聞かせていただいた. 本シンポジウムが日本人の国民性や日本の医療システム, 医療提供体制などに合った, そして現在までわが国が施行して来た素晴らしい保険制度のよい部分を取り入れた保険制度作成のための示唆に富むご意見を戴けたと考えている.
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