医療
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58 巻, 3 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
  • 工藤 宏一郎
    2004 年 58 巻 3 号 p. 129-132
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    わが国はこの度のSARS outbreakの直撃は幸い免れたが, われわれはこのことから多くのことを学んだ. まず, ヒトが生存している限り多くの感染症と今後とも対峙していかなければならない. とくにSARSのように致死的な急性新興感染症は, 適切な対処を怠ると短期間に広範な地域に伝幡しpandemic感染症となり, 生命を脅かすだけでなく, 社会に深刻な影響を及ぼすことになる. これを防止するには, 国際的医療協力と情報公開, 国内的には防疫の強化や医療・行政組織の迅速な対応が重要となる. 基幹病院としては, 感染症に対するサーベイランス, トリアージ体制, 必要に応じて隔離病室の設置など, 迅速な対応が迫られる. それには, 医療スタッフの教育・研修などを通じて院内感染防止の視点を持った医療が日常的に実践されることが肝要である.
    またSARS診療にあたっては, 迅速な診断法や予防・治療法の確立が強く望まれる.
  • 岡部 信彦
    2004 年 58 巻 3 号 p. 133-137
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    2003年3月頃からその存在が明らかになったSARSに対して, WHOは地球規模での調査を行い対策を講じた. 症例の探索にあたっては, 症候群サーベイランスの手法がとられた. 早くも4月には, 新種のコロナウイルスが病原であることが特定され, SARS corna virusと名付けられた. 臨床像, 感染様式, 感染力, など次第に明らかになり, 対策がとられた. 2003年7月, 一応の終息を見たが, その起源は未だに不明であり, 再発生が懸念されている. しかしこれまでの知見の集積と対策の経験は, 当初の不明疾患であった時とは異なり, 大規模な拡大は防ぎ得る可能性があり, また防がなくてはならない.
    SARSの出現は, 現代の医療体制, 感染症対策, 公衆衛生, 保健行政, などの分野に多くの問題点を投じた. ある部分は早急に, ある部分は遅ればせながら改善したが, 未解決の課題も多い. SARSのみならず幅広く感染症全体の対策の底上げを行うことが, 感染症の拡大予防という点でもっとも重要である.
  • 切替 照雄
    2004 年 58 巻 3 号 p. 138-142
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    SARSの原因は, 新型のSARSコロナウイルス(SARS-CoV)であることが明らかにされた. SARS-CoVはこれまで知られているコロナウイルスと同様に特徴的なスパイクを持ち, エンベロープを有するRNAウイルスである. ゲノム構造解析から, これまで知られているコロナウイルスとは異なるグループのウイルスであることがわかった. SARS-CoVの受容体がアンギオテンシン変換酵素2 (ACE2: Angio tensin-converting enzyme 2)であることが明らかとなってきたが, いまだウイルスの起源やワクチン開発など大きな課題が残されている.
  • 小原 博
    2004 年 58 巻 3 号 p. 143-148
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    2002年11月に中国広東省で発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)はベトナムと中国で流行を起こし(最終的な患者数はベトナム63例, 中国5,327例), その後多くの国々に拡散し合計8,439例の患者が発生した. ベトナムは徹底した隔離と適切な院内感染対策を迅速に実施し, 正しい情報のもとに外国の支援を受け入れ, 世界に先駆けてSARS制圧に成功した. 中国では初期対応の遅れや情報の非公開などの理由により院内感染が多発し感染が拡大したが, 後に国家の指導下に有効な施策を強力に展開し制圧に至った. 日本政府もベトナム・ハノイ市及び中国・北京市・広東省に対し緊急援助隊を派遣するなどして主に院内感染対策の面から協力した.
    本疾患は患者発生の初期段階から速やかに有効な対応策を講じることが重要である. そのためには, 流行が起きてから院内感染対策を開始するのではなく, 普段から医療従事者の訓練を行い, 基本を充実させるとともにシステムを構築しておくことが大切である.
  • 川名 明彦
    2004 年 58 巻 3 号 p. 149-152
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    SARSの流行は全世界で8,000人以上の感染者と700人以上の死者を出して2003年7月に終息した. しかしSARSは再び流行することも懸念されている. 本項ではSARSの臨床像について概説した. 典型的なSARS症例は発熱, 咳嗽, 呼吸困難ならびに胸部X線写真上肺炎像を認める. 検査所見は非特異的である. SARSには不顕性感染や非典型例もあることが示唆されている. とくに高齢者では診断に苦慮する例も報告されている. SARSの臨床像はインフルエンザと類似しているため, 同時に流行すると混乱が予想される.
  • 照屋 勝治
    2004 年 58 巻 3 号 p. 153-158
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    今後, SARSは不可避な院内感染として国内発生する可能性が考えられ, 現場の医療従事者がSARSの可能性をいち早く認識し, 適切な感染対策を開始することが重要である. 医療従事者はSARSの犠牲者となるリスクがもっとも高く, かつSARS制圧においてももっとも重要な役割を果たす. SARS対策でもっとも重要なのは院内感染対策なのであり, すべての医療従事者は, 良くも悪くもSARS制圧の最前線にいるのだということを忘れてはならない. 飛沫感染が主要な感染経路であると考えられており, 感染力はそれほど強くないと考えられている. 正確なトリアージを含む, 適切な感染防御対策により2次感染をおこすことなく診療が可能であることを示すエビデンスが集まりつつあり, 各施設が十分な対策を行って慎重かっ冷静に対応することが望まれる.
  • 菊池 嘉
    2004 年 58 巻 3 号 p. 159-164
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    SARSは原因不明の呼吸器感染症として報じられ, 平成15年初頭にアジアを中心とした流行が見られ, 後にコロナウイルスの1種によることが判明した. そしてその後数ヵ月にわたり, 世界各地に伝播した. 今や, 未知の感染症は, 地球規模の公衆衛生上の危機を招きかねない. 標準予防策のうえにさらに厳重な対策を要する場合があり, 原因が特定できない間はできる限りの予防策をとって対応することが望ましい. 平成15年春先のIMCJでのSARS対応について具体的な方法を例示し, 実際の取り組みについて紹介する.
  • 浅沼 智恵, 小野 瀬友子
    2004 年 58 巻 3 号 p. 165-167
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    SARSの2次感染を防止するためには日頃の初期診療から, 医療機関, および医療者が感染防止の知識・技術を身に付け, 万全の体制を整えておくことが重要である.
    本稿ではSARS患者の看護を実践する看護師の重要な役割である, 感染防止策の実践, 患者家族の心理的サポート, 患者の人権の保護, 患者のセルフケア行動への支援, 多職種間の関係調整について説明する.
  • 田中 司, 永井 正樹
    2004 年 58 巻 3 号 p. 168-172
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    2002年11月, 中国広東省においてoutbreakした重症急性呼吸器症候群(SARS; Severe Acute Respiratory Syndrome)は, ベトナム, 香港, カナダなどを中心に世界的な感染の拡大を認めた. WHOによると2003年7月末までに8,088名の患者が報告され, そのうち774名の尊い命が奪われている. 迅速かつ正確なSARSコロナウイルス特異的病原体検査の開発が, 各国の研究者らによって進められておりますが, 未だに標準化された方法は確立されていない. 現時点ではPolymerase chain reaction (PCR)や免疫血清学的な抗体検査などが中心となっているが, どの方法も発展途上にあるため感度や特異性などの点で問題を残しているのが現状である. このような感染症における診断, 治療および感染対策を実施する上において, 臨床検査の果たす役割は非常に重要である. とくに感染対策においては診断確定が迅速かっ効率的に行われることが必要であり, 多様化した検査の選択, 実施体制等を入念に検討し実践することが重要と考える.
  • 吉田 晃治, 上田 京子
    2004 年 58 巻 3 号 p. 173-174
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    医療環境が激変して行く中, 病院に対し良質で効率的な医療が求められている. そこで質の高い医療, 多職種間の連携によるチーム医療, 標準化による医療事故防止, 顧客に対し満足度の高い医療の提供が求められている. 一方, 病院経営の面からは医療技術の発達と高齢化による医療費の高騰は各国の共通の課題であり, 質の確保とコストの抑制をどのようにして両立させて行くかは大きくクローズアップされてきている. そこで本邦でも医療保険制度の抜本的な見直しの具体的施策として包括支払い制度が急性期入院医療の定額払い方式(いわゆる日本版DRG/PPS)の名称で1998年11月1日より10病院で試行され2001年4月からは制度を新しく見直し, 新方式が導入され, さらに新しく対象疾患も増やし, 約60施設を加え包括支払いを伴わない診断群分類を検証中である.
    また平成15年度からは特定機能病院(大学病院, ナショナルセンター)にも診断群分類を活用した一日定額払い方式が暫時導入されている. 以上のように包括支払いの有無, その方式にも違いがあることからDRGという言葉の意味の誤解を避けるためにDPC (diagnosis procedure combination)という名称に改めたことも注目すべき点である.
    今回のシンポジウムはDPCの正しいあり方を検討されている松田氏, DPC検証の基礎データに携わる診療録の立場より柴田氏, DPCおよび包括支払い診療および収益に携わる病院管理者の立場より宮入・飯田氏, DPCに対する病院管理学のご専門の立場より橋本氏, この制度の立役者でありよりよい制度へ向けて努力されています矢島氏の6名より忌憚のない声を聞かせていただいた. 本シンポジウムが日本人の国民性や日本の医療システム, 医療提供体制などに合った, そして現在までわが国が施行して来た素晴らしい保険制度のよい部分を取り入れた保険制度作成のための示唆に富むご意見を戴けたと考えている.
  • 松田 晋哉
    2004 年 58 巻 3 号 p. 175-177
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 柴田 実和子
    2004 年 58 巻 3 号 p. 178-179
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 宮入 守
    2004 年 58 巻 3 号 p. 180-181
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • ―とくにCP導入によるDRG/PPSへの効果を中心に―
    飯田 さよみ
    2004 年 58 巻 3 号 p. 182-184
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 橋本 英樹
    2004 年 58 巻 3 号 p. 185-186
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 渡邊 王志, 西村 秀一
    2004 年 58 巻 3 号 p. 187-190
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
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