医療
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58 巻, 8 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 藤原 建樹
    2004 年 58 巻 8 号 p. 443-446
    発行日: 2004/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    国立病院のてんかん医療ネットワーク構成施設は安定した高水準の診療を全国最大規模の患者で行っている. 1万人を超すてんかん患者がネットワーク施設を受診している状況が明らかになっており, 今後のデータの蓄積, およびこのデータの活用により, てんかんの疫学診断・治療研究等において多くのエビデンスが集積されることが期待される.
    てんかん医療ネットワーク構成施設は, てんかん患者のための詳細なデータベースフォーマットを作成し, ホスプネットを利用してこれまで5,500名のてんかん患者の情報を集めた. 今後, 難治てんかんの疫学的実態調査をはじめとして多くの研究が可能であり, またこれらの課題はてんかん医療ネットワークが責務として果たさねばならないものである.
    この特集には, 本年1月に東京で行われた「てんかんネットワーを用いた難治性てんかんの疫学・臨床研究班」の平成15年度研究報告会で発表された演題から4つの演題を選定し, 演者の先生から原稿を頂いた. さらに, 藤原がてんかんネットワークの現状と展望を述べた.
  • 長尾 雅悦, 若井 周治
    2004 年 58 巻 8 号 p. 447-451
    発行日: 2004/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    先天代謝異常はてんかんの合併率が高くその病像も多彩であるが, 遺伝性疾患としててんかん症候群の中で特異な位置を占める. 発育途上の小児の中枢神経系は代謝異常により容易に障害を受けやすい特徴があり, その1つの表現型がてんかんである. 先天代謝異常には数多くの疾患の種類があるが, 発症時に十分な代謝スクリーニングが行われていないと『原因不明のてんかん症候群』として経過観察されていることが多い. 抗てんかん薬による治療に抵抗する難治てんかんでも, 代謝異常の是正により劇的な改善をみることがあるので, データベースを用いた症例の把握は重要である.
  • ―小児例を中心に―
    遠山 潤, 亀山 茂樹
    2004 年 58 巻 8 号 p. 452-456
    発行日: 2004/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    てんかんの検査や治療のために入院した小児195例を対象にして, てんかん症候群および基礎疾患について検討し, 小児てんかん患者の難治例の成因について分析した. てんかん症候群ではWest症候群や, 症候性全般てんかん, 未決定てんかんが多く, 基礎疾患では皮質形成異常症と結節性硬化症, 脳炎脳症後遺症が多かった. これらの正確な診断と外科手術を含めた早期の適切な治療が, 小児難治てんかんの予後やてんかん発作頻度を決定する上で重要と思われた.
  • ―成人例を中心に―
    川崎 淳
    2004 年 58 巻 8 号 p. 457-459
    発行日: 2004/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    国立療養所宇多野病院におけるてんかんデータバンクの症例1,000例の解析を行った. てんかん大分類をみると症候性部分てんかんが最も多く全体の63%を占めていた. ついで潜因性/症候性全般てんかんの14%, 特発性全般てんかんの12%となった. 78%の症例は発作が持続しており, 月単位以上の発作を有するものは全体の約半数であった. これらのうち227例について推定病因を解析した. 多くの症例(67%)では推定病因は不明であった. 推定病因としては中枢神経系の感染症が最も多く見られた(23例).今後もてんかんのデータバンクによる研究を推進していくことが重要と考えられた.
  • 西田 拓司, 井上 有史
    2004 年 58 巻 8 号 p. 460-464
    発行日: 2004/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    難治てんかん患者の一部に染色体異常がともなうことが知られている. 当院にて染色体検査を行ったてんかん患者のうち染色体異常が見られた頻度, およびその部位とタイプを明らかにした. また染色体異常をともなうてんかんの発作症状とその他の臨床像を検討した. その結果, 245名中26名(10.6%)で染色体異常が認められた. 染色体異常をともなうてんかん患者の臨床上の特徴として, 精神運動発達遅滞, 先天性奇形, 染色体異常の家族歴に加えて, 非定型な発作症状が見られた. 今回得られた結果から, 臨床上非定型な発作症状をともなう症例では染色体異常の可能性も考慮する必要があると思われた. 文献上の報告例の多くは臨床像の記載が不十分であり, 今後十分なデータをもった症例の蓄積が必要である. また, てんかんにともなう染色体異常は多様であり, 個々の頻度は多くないため, てんかんと染色体異常との関連を明らかにするには, ネットワークを介した多施設での共同研究が有用と思われる.
  • 正岡 悟, 辻尾 唯雄, 柳田 育久, 溝川 滋一, 木村 浩朗
    2004 年 58 巻 8 号 p. 465-469
    発行日: 2004/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    国立療養所における転倒の危険性を入院時の簡単な調査項目から後ろ向きに調べた. 内的因子46項目について調査し, ロジスティックモデルへのあてはめを行った. 転倒危険性は, 事前に入院時の一般的な病歴, 現症, 服薬, 検査値等のカテゴリーより選ばれた13項目から推測可能であったが, R自乗値は41%であった. 易転倒性に影響する項目は影響の大きい順より, ふらつきの現症, 男性, 見当識障害, 下剤使用, 鎮痛薬使用, 動脈血酸素飽和度, であった. 本回帰式を用いると, 感度74%, 特異度91%で, 事前に易転倒性を推測することができた.
  • 甲田 徹三, 北條 慎太郎
    2004 年 58 巻 8 号 p. 470-476
    発行日: 2004/08/20
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    シアル酸は糖蛋白や糖脂質の糖鎖末端に存在する炭素9個の酸性糖で, シアル酸を含む糖鎖は細胞間認識や細胞と病原体の認識に関与することが知られている.哺乳類において最も代表的なシアル酸はN-アセチルノイラミン酸とN-グライコリルノイラミン酸(NeuGc)である. NeuGcはヒトとニワトリ以外の動物には存在するが, ヒトおよびニワトリの正常組織には存在せず, 強い免疫原性を有することが知られている. 従来から知られている胎児性癌抗原などの癌抗原とは異なる腫瘍関連抗原として注目されるようになった. 本研究では, 糖脂質型NeuGcを認識する抗NeuGcニワトリモノクローナル抗体(HU/Ch6-1)と糖脂質型および糖蛋白型の両NeuGcを認識する抗体(HU/Ch2-7)を利用し, 免疫組織染色法による肝細胞癌におけるNeuGcの発現解析を行った.
    その結果, 肝細胞癌患者から手術摘出された肝細胞癌組織37例中17例(45.9%)に糖脂質型NeuGcの発現が認められた. 肝細胞癌患者血清中で高頻度(67.6%)にNeuGc抗体(IgMまたはIgG)の上昇が確認された. これらの抗体は肝細胞癌細胞に発現したNeuGcの刺激によるものと思われる. NeuGc抗体(IgMまたはIgG)とAFP, PIVKA-II値との相関は認められなかった. 血清中NeuGc抗体(IgGまたはIgM)の測定が肝細胞癌の腫瘍マーカーであるAFPおよびPIVKA-IIと同様に肝細胞癌の腫瘍マーカーとして有用である可能性が示唆された.
  • 島田 昌明, 岩瀬 弘明, 都築 智之, 半井 圭子, 貝田 将郷, 土居 礼子, 桶屋 将之
    2004 年 58 巻 8 号 p. 477-480
    発行日: 2004/08/20
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    多血症をきたしたエリスロポエチン産生肝細胞癌の1例を経験したので報告する. 症例は73歳の男性で, 上腹部腫瘤を主訴に来院した. 血液検査で赤血球677万/mm3, Hb 19.8g/dlと多血症を認め, 血清エリスロポエチン値は123(正常値: 8-36) mU/mlと高値であった. 画像診断では, 肝左葉に直径10cm大の腫瘍を認め, エリスロポエチン産生肝細胞癌と診断した. 肝左葉切除術後, エリスロポエチン値は正常値となり, 多血症は改善した. 術後10ヵ月で残肝再発のため死亡した.
  • 照屋 勝治
    2004 年 58 巻 8 号 p. 481-484
    発行日: 2004/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
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