嚥下障害の外科治療を行った筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者9名と, 健常コントロール群9名にvideofluorography (VF)検査と時相解析を行った. ALS群は術後にも嚥下状態を評価し治療効果を判定した. VF上, ALSで多くみられたのは, 食塊形成不全, 奥舌への移動不良, 喉頭挙上不全, 鼻咽腔閉鎖不全, 梨状窩の残留, 食道入口部開大不全で, 時相解析ではPRD, DOVPC, DOUESOで有意な短縮を認めた. 治療効果は, 喉頭全摘術の4名は著明改善, 気管食道吻合術と輪状咽頭筋切開術の1名はやや改善, 気管食道吻合術のみの1名と気管切開術の3名は改善を認めず経口摂取不能となった, ALSの嚥下障害の特徴は食道入口部開大不全による咽頭クリアランスの悪化で, 経口摂取を続けるためには喉頭全摘術が最良の方法と考えられた.
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