医療
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59 巻, 8 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 中村 幸夫, 中島 正勝
    2005 年 59 巻 8 号 p. 409-414
    発行日: 2005/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」は, 平成15年7月に施行された. それからすでに1年以上が過ぎた今, 独立行政法人化した国立病院機構等における適正な輸血管理への取り組みについて見直してみた. 116施設から寄せられたアンケート調査の結果, 年間の輸血使用量が1万単位以上の施設はわずか20ヵ所だけであり, これらの施設だけで116ヵ所における合計使用量の70%以上を使用していることが明らかになった. しかも, これら20ヵ所の大規模施設でさえ, 適正な輸血医療を実施するための十分な管理体制がとられているとはいえなかった. この現状を解決するため, 病院全体の業務支援ナレッジベースの構築を見据えて, 全国規模の仮想輸血管理室の構築を提案したい. 日本全体の輸血医療のオピニオンリーダーとして, 国立病院機構「仮想輸血管理室」が運用されることを願うものである.
  • 吉村 力也, 赤星 隆一郎, 蛯原 賢司, 三城 真由美
    2005 年 59 巻 8 号 p. 415-419
    発行日: 2005/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    心エコー図法による心機能指標と脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の関係について検討し, 以下の結果を得た. 1) 心房細動では洞調律よりもBNP, 左房径が大きかった. 洞調律ではBNPと左房径は相関したが, 心房細動では相関がなかった. 2) 洞調律と心房細動に共通したBNPの予測因子は左室収縮能と左室重量で, さらに洞調律では左室拡張能と体表面積が, 心房細動では体重が予測因子となった. 3) 洞調律において収縮能と拡張能障害が共にあると, それぞれ単独の障害よりも有意なBNPの上昇をみた. 4) 洞調律では肥大型心筋症のBNPは高血圧性心疾患, 陳旧性心筋梗塞に比して有意に高値であったが, このBNPの相違には左室重量, 左室の収縮と拡張能, 左室径の関与はなかった.
  • ―国立病院機構政策医療呼吸器ネットワーク九州ブロックアンケート調査―
    岩永 知秋, 高田 昇平, 宮城 茂, 川畑 政治, 大津 直也, 北原 義也, 川上 健司, 東賢 次, 小江 俊行
    2005 年 59 巻 8 号 p. 420-426
    発行日: 2005/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪はCOPDの重症度のマーカーの1っであり, 増悪の頻度が高いほど不可逆的な肺機能の低下や気道炎症の進展が生じ, QOLの低下や予後不良の結果を招くものと考えられることから, 適切な増悪時の管理が重要となる. 今回我々は九州ブロックの政策医療呼吸器ネットワーク8施設の呼吸器科担当責任者を対象に, 増悪時の管理に関するアンケート調査を行った. 増悪の診断基準は特に膿性疾, 呼吸困難, 低酸素血症の3項目を, また重症度の判断基準は低酸素血症, 次いで呼吸困難, 炎症所見の順に重要視するとの回答であった. 増悪に占める感染の割合は70-95%とほぼ一致し, 感染の判断基準は発熱, 膿性痰, CRP上昇の3項目が重視された. 吸入の第一選択は短時間作用性β2刺激薬(SABA)で一致したが, 吸入頻度は軽症, 重症の増悪の両者とも施設によりかなりの相違が見られた. また, 外来における全身性ステロイド薬の投与は, 投与量, 投与期間ともばらつきが見られ, 入院時の全身性ステロイド薬については薬剤の種類, 投与期間に関して施設により差異が見られた. 外来での使用抗菌薬の頻度はニューキノロン系薬, 次いでマクロライド系薬, ペニシリン系薬の順であり, 入院では第3, 4世代セフェム系薬, カルバペネム系薬の選択順位が高かったが, 投与期間にはばらつきが見られた. 増悪時のSABA吸入, 全身性ステロイド薬, 抗菌薬の至適な投与方法に関して今後さらに細かい検討が望まれる.
  • 多田 羅勝義, 石川 悠加, 今井 尚志, 神野 進, 西問 三馨, 福永 秀敏
    2005 年 59 巻 8 号 p. 427-432
    発行日: 2005/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    国立病院機構施設における長期人工呼吸の実態調査を行った. その結果, 80施設に2,055名の該当者が入院中であることが判明した. その内訳は, 筋ジストロフィ―; 1,114名, 筋萎縮性側索硬化症; 410名, その他の神経難病; 236名, 重症心身障害; 265名, その他; 30名であった. 使用人工呼吸器は53機種で, 一施設平均4.9種と, 多数の機種が混在しており, 安全管理上大きな問題となっていた. またポータブル型が51%であったが, クリティカルベンティレーターが使用されているケースも148例(7.2%)あった. 人工呼吸実施期間をみると, 10年以上使用者が288名(14.2%), うち11名は20年以上使用者であった. 対象者2,055名中, 1,215名は気管切開, 801名が非侵襲的陽圧人工呼吸であった. 外出経験は, 筋ジストロフィーで54,9%, 筋萎縮性側索硬化症で23.2%, 重症心身障害で20.8%であった. 全体的に生態情報モニタリング実施率は低く, パルスオキシメトリーによるモニタリングは筋ジストロフィーで35.4%, 筋萎縮性側索硬化症では40.7%で行われているに過ぎなかった. 一方, 重症心身障害では92.8%と大多数で実施されていた. 多機種混在と同様, 安全管理上大きな問題と考えられた. 国立病院機構における長期人工呼吸患者は増加が予測されるが, 内在する諸問題解決に当たっては, 今後とも正確な情報収集が必要である.
  • 渡辺 祐子, 岩本 一亜, 島村 弘宗, 石山 秀一, 横田 隆, 齋藤 俊博, 山内 英生, 菊地 秀
    2005 年 59 巻 8 号 p. 433-435
    発行日: 2005/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    S状結腸癌の治療のために入院中に肝膿瘍を併発した症例を経験したので報告する. 症例は81歳女性, 近医よりS状結腸癌の診断にて紹介された. 手術5日前, 突然悪寒戦慎をともなう高熱と腹痛を発症し, 腹部CT検査では肝両葉に多数の膿瘍を認めた. ただちに抗生剤を投与, 症状は軽快した. 2週間後に腹腔鏡補助下S状結腸切除を行った. 大腸癌が原因と考えられる肝膿瘍の報告例は, 過去10年間に19例で, 本例は20例目にあたった. 肝膿瘍の診断, 治療においては, 原因疾患として大腸癌の可能性も念頭においた下部消化管検索の必要があると考えられる.
  • 辻 隆男, 京谷 征三
    2005 年 59 巻 8 号 p. 436-439
    発行日: 2005/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    蜂窩織炎は化膿性炎の一型で疎性結合組織にびまん性, 進行性の急性化膿性炎症が生じたものである. 膿が組織内, 体腔などに限局する膿瘍, 蓄膿とは区別される. 皮下組織に生じることが多いが, 腸管壁, 縦隔, 骨格筋などの深部にも生じる1).
    今回われわれは7歳の女児に両側頬粘膜咬傷が原因の両側頬粘膜の潰瘍性病変と両側頬部蜂窩織炎を認めた症例を経験した.
    頬部蜂窩織炎は歯性感染が原因となって片側性に発生することが多い. 歯性感染以外では殴打等の外傷, 歯列矯正, 習慣的な咬み癖などによる2)3). 未治療糖尿病のため爪楊枝による些細な頬粘膜の小外傷により頬部蜂窩織炎を生じた報告もある4).
    本症例では激しい疼痛, 口腔内に上顎第1大臼歯に一致した両側外傷性潰瘍, 両側頬部蜂窩織炎を認めた. このような報告はなく, 珍しい. 原因となった歯牙は萌出途上の永久歯で抜歯することもできず, 疼痛を繰り返し訴えた. 抗生剤投与で蜂窩織炎は改善し, マウスピースを終日装着することで疼痛は短期間で著明に減少し消失した.
  • ―卒後研修プログラムの第三者評価の重要性―
    浜田 久之, バティー ヘレン, タンネンバウム デビッド, 江崎 宏典, 向原 茂明, 米倉 正大
    2005 年 59 巻 8 号 p. 440-443
    発行日: 2005/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    カナダにおける医学部とその関連病院のすべての卒後臨床研修プログラムは第三者機関により(カナダ家庭医協会とカナダ内科外科協会), 厳正に審査し認定される. カナダ家庭医協会は, カナダの医師の約50%を占める家庭医のボランティア組織であるが, 家庭医の卒後研修プログラムに関して, 家庭医協会の目的, 原則に合致しているか, また, 現実的に機能しているかを書類審査かっ実地調査にて評価をおこなう. 家庭医協会は, 模範的なプログラムを示し, 研修医の学術活動, 指導医の生涯教育をも含む明確な評価基準を掲げ, 各病院のプログラムの改善と発展を図っている. 日本の新しい卒後研修プログラムも2004年よりはじまり, 今後のプログラムの評価などにおいて, カナダの制度は参考になると考えられ, 報告する.
  • 北村 正幸, 正木 英一, 岡田 良行, 野坂 俊介, 宮崎 治, 鹿島 恭子, 宮坂 実木子, 堤 義之, 大楠 郁子, 岡本 礼子
    2005 年 59 巻 8 号 p. 444-446
    発行日: 2005/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
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