妊娠中の母体に抗SSA/Ro抗体, 抗SSB/La抗体が生じると胎盤を通過して胎児に移行し, 亜急性皮膚ループス様皮疹や先天性心ブロックを発症する. 中でもSSA/Ro抗原は52kd蛋白と60kd蛋白に分けられ, 抗SSA/Ro抗体52kdが陽性の場合, 児のリスクが高く, 母体の抗SSA/Ro抗体をさらに52kd蛋白と60kd蛋白に対する抗体に分けて検索することは, 影響を受ける児を出産する可能性の予測と出生前ならびに出生後の治療にきわめて重要である.
我々は先に, 自己免疫性肝炎の母親から生まれた乳児ルポイド肝炎の1例を報告した. その後母親は第2子妊娠中の管理を受け, 健康な男児を出産した. 我々は同じ母親から生まれた2人の児に注目し, 出産後であったが了解を得て母体血を採取し, 危険因子に関わる抗SSA/Ro52ならびに抗SSA/Ro60抗体を測定した.
その結果, 母体の抗SSA/Ro60抗体は陰性であったが, 抗SSA/Ro52抗体が陽性(124.26)であり, 児のリスクが高い症例であったことが判明した. 健康な第2子を出生し得たのは胎児期18, 20, 21, 22, 23および24週に注意深い超音波画像診断が行われ, ステロイド療法により管理されたためと考えられた.
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