医療
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60 巻, 8 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 庵原 俊昭
    2006 年60 巻8 号 p. 483-488
    発行日: 2006/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    近年, 小児期の感染症と考えられてきた麻疹, 風疹, 水痘, ムンプスに成人が罹患する例が注目されている. 院内感染を制御するためには, 適切な方法で職員の抗体検査を実施し, 抗体陰性者および疑陽性者にワクチンを接種することが大切である. これらの感染症に対する感度の高い抗体検査法は酵素抗体(EIA)法であり, 麻疹ではマイクロ中和法, 風疹では赤血球凝集抑制(HI)法, 水痘では免疫付着赤血球凝集(IAHA)法は, EIA法と同程度の感度である. 地域におけるこれらの感染症に対する感染制御の基本はワクチン接種であり, 移行抗体レベルから推定すると1歳早期に接種すると効果的な免疫が誘導でき, 集団免疫率の達成が期待される.
  • 下田 照文
    2006 年60 巻8 号 p. 489-494
    発行日: 2006/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    気管支喘息の病態の本態は気道炎症であり, それにともない気道のリモデリング, 気道過敏性の亢進, 気流制限がおこり喘息症状をきたすと考えられている. したがって, 気管支喘息の病態を探る上で気道炎症を評価することは重要であり, その手段として, 気管支鏡検査が喘息患者にも施行されるようになり喘息の病態解明が飛躍的に進歩した. しかし, 気管支鏡は侵襲的な検査であり喘息患者に繰り返し行うことは困難である. 一方, 高張食塩水吸入誘発喀痰検査は容易に安全に繰り返し施行でき, 喀痰中の細胞分画と上清を測定することにより気道炎症の評価に優iれている.
  • ―班研究を中心に―
    森 惟明
    2006 年60 巻8 号 p. 495-498
    発行日: 2006/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    1965年, AdamsとHakimにより提唱された「正常圧水頭症」(NPH)という疾患は, その症状としてみられる高齢者の痴呆が髄液シャント手術により改善できるという画期的なもので, 一躍脚光を浴びるようになった. 1978年から旧厚生省の水頭症研究班ではNPHの研究が開始されたが, 脳萎縮との鑑別が困難で, シャント手術の効果を術前に確実に予測することができなかったことから, 脳神経外科医には次第に注目されなくなった. 近年, わが国が高齢社会を迎えたことから, 特発性NPHが改めてクローズアップされるようになった.
    本稿では, これまでの班研究を中心に, その成果を振り返り, 今後の問題点につき述べる.
  • 後藤 淳, 荒川 千晶, 守屋 里織, 村井 麻衣子, 足立 智英, 浅田 英穂, 安芸 都司雄, 春原 則子, 高木 誠
    2006 年60 巻8 号 p. 500-503
    発行日: 2006/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    市中病院神経内科施設としての当院で経験された正常圧水頭症(NPH)とその関連疾患について, とくに非典型例を臨床的に検討し, 患者と家族のサイド, 医療者サイドから, 診療上のさまざまな課題の存在が示唆された.
  • 岩村 晃秀, 新村 核, 根本 英明, 西宮 仁, 湯浅 龍彦
    2006 年60 巻8 号 p. 504-509
    発行日: 2006/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    頭部画像所見やタップテストより, 特発性正常圧水頭症idiopathic normal pressure hydrocephalus(以下iNPHと略す)と診断した82歳の歩行障害女性例に頸椎症性脊髄症にともなう失立失歩(以下「頸椎症性失立失歩」と略す)が疑われたために, タップテストから十分時間をおいて頸椎牽引を行ったところ, 歩行障害の改善を得た. そこで治療として今回は, シャント手術よりも頸椎牽引を優先し, 自宅における1日3回の頸椎牽引を継続した. 牽引開始1ヵ月後には, 車椅子レベルから, 独力で杖歩行による通院が可能な状態となった.
    高齢者における特発性正常圧水頭症の診断と治療にあたっては, さまざまな合併症と, 本例にみられた頸椎症性失立失歩に十分な注意を払うべきであると思われた.
  • 寺澤 由佳, 和泉 唯信, 中根 俊成, 松崎 和仁, 永廣 信治, 梶 龍児
    2006 年60 巻8 号 p. 510-512
    発行日: 2006/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    患者は76歳男性. 74歳から小刻み歩行・右上肢優位の固縮を認め, パーキンソン病と診断され抗パーキンソン病薬にて加療された. 76歳から歩行困難が増悪した. 神経学的所見としては, 認知障害, 左右差の強い(右側に強い)上肢筋固縮, 右手肢節運動失行を認め大脳皮質基底核変性症と診断した. また, 頭部MRIにて左に強い前頭側頭葉の萎縮を認めるとともに, 側脳室拡大, シルビウス裂の開大, 高位円蓋部の脳溝狭小化を認め, 髄液排除試験陽性であったため特発性正常圧水頭症idiopathic normal pressure hydrocephalus (iNPH)の合併を考え脳室腹腔シャント術を施行した. 術後, 歩行の状態が改善し, definite iNPHと診断した. 本例では大脳皮質基底核変性症corticobasal degeneration (CBD)とiNPHが合併していると考えられた.
  • ―報告例の要約と最近経験した残尿の目立つ非典型例―
    榊原 隆次, 内山 智之, 服部 孝道
    2006 年60 巻8 号 p. 513-517
    発行日: 2006/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    正常圧水頭症(NPH)の排尿障害について, 関連疾患に触れながらレビューした. 排尿障害の内容として, 尿失禁は3徴の一つとしてよく知られており, 頻尿・尿意切迫感は早期症状として注目される. NPHの排尿障害の病態機序として, 前頭葉, および基底核の障害による排尿筋過活動と, 認知・歩行障害による二次的な機能性尿失禁が考えられる. 本稿ではNPHにともなう排尿障害を概説し, 最近われわれが経験した残尿が目立つまれな1例についても報告する.
  • 立石 明広, 石原 正浩, 林 淑文, 埜中 正博, 山中 一功, 森内 秀祐, 中島 伸, 山崎 麻美
    2006 年60 巻8 号 p. 518-524
    発行日: 2006/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    特発性正常圧水頭症idiopathic normal pressure hydrocephalus (以下iNPHと略す)が疑われる症例に対する手術適応決定において, 持続髄液ドレナージcontinuous spinal drainage(以下CSDと略す)の有効性を評価した. 対象は2003年6月-2005年3月にiNPHを疑われて入院した18人である. 最長3日間のCSDを施行して, 症状の改善を評価し, 手術適応を決定した. 18名中15名にCSDを行い, そのうち症状改善がみられた8名とCSDを施行できなかったが手術の希望が強かった3名の計11名に脳室腹腔シャント術ventricular peritoneal shunt(以下VPSと略す)を施行した. VPS後著明改善5名, 改善5名, 変化なし1名であった. 手術適応決定においてCSDは感度が高く有用だった. CSD後の評価方法としては痴呆テスト, 歩行障害の定量的評価に加え, 定量化できない症状の変化や家人の印象もふくめた総合的判断が必要であった. 症例によっては無理をせずタップテストにとどめるなど柔軟な運用も必要である.
  • 白木 照夫, 高橋 夏来, 佐藤 慎二, 片山 祐一, 湯本 晃久, 河野 晋久, 斎藤 大治
    2006 年60 巻8 号 p. 525-531
    発行日: 2006/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    1998-2001年の間に, 3例の劇症型心筋炎を経験した. 1例はインフルエンザ感染が疑われたが, 他の2例では原因ウイルスは特定できなかった. いずれも入院時より, 心原性ショックの状態であり, 2例で重篤な心室性不整脈をともなっていた. カテコラミン使用下でも血行動態は不安定であったため, 3例とも発症12-24時間で大動脈内バルーンパンピングintra-aortic balloon pumping (IABP)と経皮的心肺補助percutaneous cardiopulmonary support (PCPS)を開始した. 補助循環の合併症として局所の出血, 溶血をともなう貧血が認められたが, 下肢の虚血症状はみられなかった. 3例とも血行動態は安定し, 補助循環導入後7-9日で離脱が可能となった. 薬物治療として3例ともステロイドホルモンが投与された. 投与の目的は心筋炎への直接効果ではなく, 症例1では血行動態の改善, 症例2では肺病変の治療, 症例3では気管支喘息発作の予防と血行動態の安定であった. 内服治療としては2例ではさらにACE阻害薬が投与され, そのうち1例ではR遮断薬が併用されたが, 1例は無投薬であった. 3例とも早期のIABPとPCPSの導入が予後の改善に有効と考えられた.
  • 武山 茂, 岩下 淨明, 上條 敏夫, 山口 秀樹, 高須賀 康宣, 中島 哲, 水島 美津子
    2006 年60 巻8 号 p. 532-536
    発行日: 2006/08/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
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