医療
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61 巻, 6 号
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  • ―Duchenne型筋ジストロフィーと筋強直性ジストロフィー―
    野崎 園子
    2007 年 61 巻 6 号 p. 381-388
    発行日: 2007/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    筋ジストロフィーの摂食・嚥下障害は疾患によって病態が異なる. ここでは, 小児と成人においてそれぞれ最も有病率が高いDuchenne型筋ジストロフィー(DMD)と筋強直性ジストロフィー(MD)の摂食・嚥下障害の現時点における知見について述べる.
    DMDでは, 10歳代より咬合障害や巨舌などによる準備期・口腔期の異常が出現し, さらに20歳頃より咽頭残留などの咽頭期障害が出現する. 口腔・咽頭の通過障害は固形物の方が強く, 咽頭残留は液体の方が多い. 対策として, 咬合訓練による咬合力の改善や口腔周囲筋のストレッチによる可動域の拡大, 食道入口開大不全に対するバルン法の有効性について報告がある. 摂食による疲労を考慮した食事介助やポジショニング対策も重要である.
    MDでは, 誤嚥が予後に影響を及ぼしていると考えられる. 摂食行動異常などの認知期障害・不正咬合などの準備期障害・鼻咽腔閉鎖不全などの口腔期障害・咽頭残留や誤嚥などの咽頭期障害・食道拡張などの食道期障害など, すべてのプロセスにおいて障害されるが, 病識が乏しい場合が多い. 液体の嚥下障害の方が重症である. 自覚のない誤嚥が多く, また, 食事中の窒息のリスクが高いため, 十分な観察が必要である.
    呼吸筋力低下による呼吸不全は嚥下状態を悪化させる. 呼吸不全初期には, 呼吸管理は夜間のみで日中は呼吸器を装着しないことが多いが, DMDにおいては, 食事中の経皮的酸素飽和度が低下する場合は, 呼吸器を食前または食事中に装着することが望ましい. MDでは気管切開後の嚥下状態の変化にも注意する.
  • 藤原 清宏
    2007 年 61 巻 6 号 p. 389-395
    発行日: 2007/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    2005年1月1日から2006年7月31日までに静岡富士病院で肺感染症のため入院加療した深在性真菌症を疑う症例で, 血清(1→3)-β-D-グルカンが20pg/ml以上の高値を示した6例を対象とした. 抗真菌薬の投与による効果と経時的に測定した血清(1→3)-β-Dグルカンとの関連について検討した. 抗真菌薬投与後において(1→3)-β-D-グルカンが低下したのは4例であった. そのうち治癒したのは3例で, 1例は多臓器不全を併発し死亡した. 一方, 抗真菌薬投与の前後で(1→3)-β-D-グルカンに変化がなかったのは2例で, 特発性肺線維症を合併していた.
  • ―その現状と役割―
    小林 良三
    2007 年 61 巻 6 号 p. 396-397
    発行日: 2007/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 中島 百合, 中川 栄二, 高橋 晶, 中林 哲夫, 長田 裕次, 太田 勝美, 平井 久美子
    2007 年 61 巻 6 号 p. 398-403
    発行日: 2007/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    国立精神・神経センター武蔵病院(以下武蔵病院)では, 平成16年4月に感染制御チーム: Infection Control Team (ICT)が発足し, 組織横断的な活動を戦略的に実践した. これまでの活動の中で, ICTラウンドにおいては精神科病棟における患者の私物や飲食物等に関わる管理方法の問題や廃棄物分別の不徹底等の問題が浮き彫りになった. また, ノロウイルスによる急性胃腸炎のアウトブレイク事例からは, 感染症発生時の患者の精神面への配慮と, 手指衛生や環境整備の徹底がとくに重要であることを痛感した.
    個人衛生管理能力の乏しい患者および重症の長期入院患者を多く抱える当院において, 手指衛生をはじめとした標準予防策に加え環境整備に重点をおいた日頃からの感染防止対策の徹底, さらに, 患者や家族の理解と協力を得ながら施設全体で感染防止に取り組むこと, それが精神・神経専門病院としての感染管理上の課題であると考える.
  • 一戸 真由美, 石田 憲英, 横山 千尋, 栗山 陽子, 山上 みどり, 田村 純子, 磯部 宏
    2007 年 61 巻 6 号 p. 404-409
    発行日: 2007/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    国立病院機構北海道がんセンターは, 易感染状態の患者や血管留置カテーテルを使用する患者が多いが, 以前は慣習に従ったケアを続けていることが多かった.
    そこで, 感染対策チーム: Infection Control Team (ICT)およびリンクナースによって感染対策を見直し, 血流感染防止マニュアルを作成することで, 感染率の低下を目指した. 評価方法: (1)血液科病棟のカテーテル関連血流感染: Catheter-Related Blood Stream Infection (CR-BSI) サーベイランスによる感染率の比較. (2)看護師対象の自己チェックリストによるマニュアル導入前後の実施状況を比較し, それぞれの結果をスタッフヘフィードバックした.
    結果: (1)注射薬混合時の手袋着用等の介入により, 感染率が3.2から1.0へ有意に減少した(フィッシャー正確確率検定0.0316<P<0.05). (2)マニュアル導入後, 自己チェックリストの「できている」回答の割合が76%から84%に増えた. ICTと連携しリンクナースが主体的に改善策を検討したことや, 成果が数値で示されたことが, スタッフの意欲向上につながったと考える.
  • 富永 春海, 小関 萬里, 畑中 信良, 黒住 和史, 清水 洋祐, 寺本 成一, 片山 晃子, 吉岡 大輔, 石橋 幸四郎, 阪 龍太, ...
    2007 年 61 巻 6 号 p. 410-414
    発行日: 2007/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    大腸癌手術症例の手術部位感染: surgical site infection (SSI) につき検討した. 対象は1999年の大腸癌手術症例49例, 2004年の手術症例72例である. 2005年6月~11月の手術症例46例のSSI発生率も提示した. 検討項目は性, 年齢, 腫瘍占拠部位, ASA (American Society of Anesthesiologists) スコア, 緊急手術, 出血量, 手術時間, 吻合法, SSIリスクインデックスである. 1999年の検討で有意差のあった項目はASAスコアとSSIリスクインデックスであった. 術前状態が悪く, SSIリスクインデックスの高い症例にSSIが多かった. 2004年では, 有意差のあった項目は吻合法であった. 腸吻合を行った症例に比べ人工肛門造設症例にSSIが多かった. SSI発生率は1999年: 32.7%, 2004年: 22.2%, 2005年: 8.8%と減少していた.
  • 藤田 秀樹, 白石 都, 星野 路弘, 西澤 修一, 田所 茂彦
    2007 年 61 巻 6 号 p. 415-419
    発行日: 2007/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    医療の現場で大きな問題となる各種耐性菌の対策には, 各医療スタッフの協力と連携, 情報の共有が必要であり, 抗生物質の適正使用を実施し, 感受性菌に耐性を獲得させないことが重要となる. 感染制御に大きな役割を果たす抗生物質の適正使用推進をはじめ, 薬剤師の業務は感染制御と深い関わりがある.
    米子医療センターの感染制御チーム(ICT)メンバーである薬剤師は, ICTの院内巡視への同行, 塩酸バンコマイシン注の薬物血中濃度モニタリング(TDM), 抗生物質の適正使用の指針となる抗生物質の年間消費量調査など, 薬剤師としての専門性を活かしながらICTの活動を支援している.
    今後もより一層の抗生物質の適正使用を推進するためには, パス作成チーム, Nutrition Support Team (NST) などの専門チームとの円滑な連携が必要であると考える.
  • ―患者にとって最善の選択とは―
    志真 泰夫, 丸口 ミサエ
    2007 年 61 巻 6 号 p. 420-423
    発行日: 2007/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ホスピスケアは医療における新しいアプローチとして国際的に知識や知見が検証され, イギリスのみならずヨーロッパ, 北アメリカ, アジアに広がった. 緩和ケアの概念は, 長い時間をかけてホスピスから進展してきた. 現在, 提唱されている定義は, 一般的には「苦痛を和らげQOLを改善する」ことに焦点が当てられている. 緩和ケアに関する定義は, すべて以下の3つの重要な共通点を強調している. 第1に, 生命を脅かす病気とともに残された時間が限られた人生を生きることの多面的で多次元的な本質, 第2に患者と家族を1単位としてサポートすることの重要性, 第3に苦痛を軽減し, 人生や生活の質を高めるためにチームとして優先度をもってアプローチする必要性, である. 過去10年間, 国際的にみるとがん医療では診断後早期から症状コントロールやサポートが必要な患者に対して, 専門的で標準的な医療を提供するために, 緩和ケアプログラムとコンサルテーションが発展してきている. 今回のシンポジウムは, このような問題意識に基づいて3人の演者によって発表が行われた.
  • ―緩和ケア外来の現状より―
    岡本 尚子
    2007 年 61 巻 6 号 p. 424-427
    発行日: 2007/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    当院の緩和ケア病棟は, 平成12年に開設され, 現在まで約720名の患者の緩和ケアに携わってきた. 当緩和ケア病棟は, 総合病院の中の病棟であり, 入院患者の8割が院内からの紹介患者である. 緩和ケアへの受診時期は, 治療開始早期から紹介されるケースと, 治療不能となった時期に緩和ケアを紹介されるケースがある. 前者の場合は, 緩和ケアへのギアチェンジは比較的スムーズに行える. 後者の場合, 症状もあることが多く, ケアの内容を理解しないまま, とりあえず症状緩和目的で入院されることになる. 急なギアチェンジは, 患者に「死」と捉えられ, 患者に衝撃を与える. そのような衝撃の中, 緩和ケア病棟へ入院した患者は, 「医師から見放された」孤独感を抱くのである.
    今回, アンケートにより, 緩和ケア病棟への移行期の患者・医療者間の問題が明らかになった. 当院の医師, 看護師の緩和ケア外来紹介時に生じる問題や, 現状より, 看護師としてのサポートがどのようにあるべきかを検討した.
  • ―デイホスピス―
    阿部 まゆみ
    2007 年 61 巻 6 号 p. 428-431
    発行日: 2007/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    緩和ケアにおけるケアの目的は, (1)症状緩和による生活の質(QOL)の改善と(2)患者と家族を支えるケア, である. 今日の医療現場では, 加速する在院日数の短縮化にともない施設医療から在宅医療ヘシフトしているが, 積極的治療を終え在宅療養している患者へのサポート体制はいまだ整備されていないのが現状である. 患者が治療から終末期に至る闘病生活のなかで, 社会的な孤独を生み出さずに精一杯生きるために生を支えるケアとしてデイホスピスが始まった. デイホスピスは患者と家族へのQOLに配慮したケアである. デイホスピスは在宅緩和ケアサービスの一環として施設から在宅という点を結ぶ包括的緩和ケアを推進するうえで貢献することが期待されている.
  • 佐藤 智恵子, 池田 美穂, 内田 裕子, 大塚 麻理子, 佐藤 徳子, 竹田 恵利子, 新藤 直子
    2007 年 61 巻 6 号 p. 432-436
    発行日: 2007/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • アレルギーを強力にブロック―その開発の歩み―
    協和発酵工業
    2007 年 61 巻 6 号 p. 437-438
    発行日: 2007/06/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
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