近年, 注目を集めている
H∞制御は, ロバスト安定化やループ整形を直接的に扱える強力な設計法であるが, 線形制御理論であるため, 制御対象の線形近似モデルに基づいて補償器を設計せざるをえない.しかし, 元来非線形性が強い制御対象に対しては, その非線形モデルを基礎として制御系を設計すべきであろう.そこで, 本報告では, 制御対象の平衡点近傍での線形近似モデルに対して
H∞制御を適用したうえで, 非線形フィードバックによる厳密な状態空間線形化によってこの線形モデルの有効な領域を拡大する制御系設計法を提案する.後者においては, 本来の制御対象の特性を保存するという観点から, 平衡点近傍での線形近似モデルに一致させるような線形化を行っている.そして, 提案手法を磁気浮上制御系に適用し, 実験によってその有効性を確認している.
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