日本医真菌学会雑誌
Online ISSN : 2434-5237
Print ISSN : 2434-5229
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総説
  • 望月 隆
    2024 年 65 巻 3 号 p. 63-66
    発行日: 2024/07/31
    公開日: 2024/08/31
    ジャーナル フリー
     皮膚科医にとって医真菌学はきわめてアプローチしやすい研究分野である.皮膚の病原菌として知られる限られた菌種の基礎的知識,光学顕微鏡と真菌培養の技術だけで,皮膚科の臨床能力が高まると同時に,菌株があることで専門家へのアクセスが可能になり,また自身も専門家へのステップを登り始めることができる.このように門戸が広いこと,かつ研究と臨床が近接していることは皮膚科領域の研究分野のなかで特筆すべきであろう.本稿ではSporothrix属真菌とTrichophyton tonsuransを例に著者の研究を紹介したが,皮膚真菌症については未解決の疑問も多い.若手の皮膚科医には新たな方法を工夫しつつこの分野で大いに活躍してもらいたい.
  • 木村 俊一
    2024 年 65 巻 3 号 p. 67-72
    発行日: 2024/07/31
    公開日: 2024/08/31
    ジャーナル フリー
     侵襲性真菌感染症の診断において培養は基本かつ重要な検査であり,培養検査,病理組織学的な検査はその確定診断(proven diagnosis)に必要な項目となっている.一方で培養検査は感度が十分ではなく,結果判明までに時間を要することも多いため,モニタリングや早期診断に用いるには限界がある.そこで重要となるのが真菌の構造から産生される生物学的産物である真菌バイオマーカーを含む培養以外の菌学的検査,non-culture-based testsになる.国内の血液診療で広く用いられているのは真菌の細胞壁の構成成分を検出し,ムーコルなど一部の真菌を除く真菌全般のバイオマーカーとして用いられている(1→3)-β-Dグルカン(BDG),アスペルギルスの細胞壁の構成成分であるアスペルギルスガラクトマンナン抗原(GM)である.海外からは侵襲性アスペルギルス症の診断におけるlateral flow assayやpolymerase chain reaction(PCR),侵襲性カンジダ症の診断におけるT2カンジダなどの新しい真菌バイオマーカーの有用性も報告されている.本稿では,BDG,GMを中心に,新たな真菌バイオマーカーにも触れながら,血液領域の侵襲性真菌感染症診断における真菌バイオマーカーについてまとめる.本稿の内容は2023年10月の第67回日本医真菌学会総会・学術集会のシンポジウム12「血液領域の侵襲性真菌感染症診断におけるバイオマーカーの基礎知識」の内容に加筆修正したものである.
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