日本医真菌学会雑誌
Online ISSN : 2434-5237
Print ISSN : 2434-5229
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総説
  • 田代 将人, 髙園 貴弘, 泉川 公一
    2025 年 66 巻 1 号 p. 1-16
    発行日: 2025/01/31
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル フリー
     イサブコナゾールは,第2世代のトリアゾール系抗真菌薬で,アスペルギルス症やムーコル症などの深在性真菌症の治療に有用である.本剤は水溶性プロドラッグであるイサブコナゾニウム硫酸塩として投与され,体内ですみやかに活性成分のイサブコナゾールに変換される.経口および静脈内投与の両方が使用可能であり,高いバイオアベイラビリティと安定した薬物動態をもつ.幅広い抗真菌スペクトルを有し,特に侵襲性アスペルギルス症に対してはボリコナゾールと同等の有効性を示す一方,ムーコル症にも適応可能な点が特長である.また,腎機能障害患者においても用量調整が不要であり,TDM(治療薬物モニタリング)をルーチンで行う必要がないことが示されている.さらに,QTc延長のリスクがない点や,他のアゾール系薬剤と比較して薬物相互作用が少ない点も,臨床的に評価されている.イサブコナゾールは,安全性の面でも優れており,忍容性が高いことから,他のアゾール系抗真菌薬からの切り替えも多い.本総説では,イサブコナゾールの作用機序,抗真菌活性,薬物動態,耐性機序,臓器移行性,臨床適応に関する最新の知見を概説し,深在性真菌症治療におけるイサブコナゾールの有効性と臨床での利便性を示す.
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