皮膚糸状菌(白癬菌)とそれによる疾患の頻度は時代とともに移り変わる.1950年代以降,頭部白癬患者の頻度は激減し,それとともに
Microsporum ferrugineumやそれについで分離されていた
Trichophyton violaceum,
Trichophyton schoenleiniiによる黄癬なども,ほとんどみられなくなった.
これらの菌はその後も散発的に発生していたが,1970年以降は高度成長期にペットに付着した輸入真菌症として
Microsporum canisによる頭部,体部の白癬が流行した.
M. canisは現在,猫などのペットに保持され,それを感染源とする,主として小児や女性の頭部白癬,体部白癬から少数ながら分離されている.今後も猫などとの接触者における感染症としてわが国に定着するものと考えられる.
Trichophyton tonsuransは,アメリカ大陸における小児の頭部白癬原因菌として知られていた.わが国へは柔道競技者からの接触による感染症として2000年ごろから全国的に流行した.現在,一時のような爆発的な流行は終息したものの依然として,より若年層への拡大も含めて柔道競技者における重要な感染症となっている.
新たな輸入真菌として,ペットがもつ
Trichophyton erinaseiなどによる感染症があげられる.
現在最も重要な菌は
Trichophyton rubrumである.全病型で70%以上を占める原因菌となっている.また耐性菌の出現も報告されている.
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