頭部白癬は衛生環境や生活スタイルの変化の影響を強く受け,皮膚糸状菌症に占める割合は歴史的に大きく変化し,原因菌種に変遷がみられ,国や地域によっても大きな差がみられる.本邦においては第二次大戦後,頭部白癬の発症数が激減し,黄癬も絶滅に近い状態になったが,数は少ないがステロイド使用者などに足白癬の主要菌種である
Trichophyton rubrumによる頭部白癬が発生するようになった.
T. rubrumによる頭部白癬は多くが鱗屑を付す紅斑であるが,黄癬を想起させるような厚い黄色痂皮をつける症例も報告されている.黄癬に特徴的な菌甲は菌糸胞子の塊であるが,
T. rubrumによる頭部の厚い鱗屑・痂皮は菌が増殖している鱗屑と滲出液などが堆積したものであり,患者は比較的高齢で手足や爪の病変を伴い,免疫抑制や認知症などによる適切な医療ケアを受けられない状態にあった.
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