湿度制御下で,高分子フィルムと鉄粉および金属メッキキャリアの摩擦帯電実験を行った.高分子フィルムの飽和帯電電位(
Vs)と湿度依存性(
S)は,金属メツキキャリアの仕事関数
φと相関し,
φの減少とともに
Vsおよび
Sは負方向に増大する.これは,水の侵入によりフィルム表面近傍に形成される内部電界と鏡像力の電位プロフィールと,ポリマー固有の電子受容準位を考慮したモデルにより解釈可能である.なお
φの値としては,メッキ金属の文献値ではなく,測定値を用いた場合にのみ相関性が成立する.
またキャリアおよび高分子フィルムはいずれも周囲の水の影響を受けるが,そのいずれの場合も
Vsおよび
Sはは負方向に増大することが示唆された.そして少なくともポリエステルのような比較的極性の大きな高分子の場合には,湿度の影響は主として高分子フィルム側に及ぶことがわかった.
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