日本画像学会誌
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37 巻, 3 号
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論文
  • —湿度に依存した帯電の機構論的検討—
    小池 寿男, 大岡 青日, 星野 勝義, 小門 宏
    1998 年 37 巻 3 号 p. 225-233
    発行日: 1998年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    湿度制御下で,高分子フィルムと鉄粉および金属メッキキャリアの摩擦帯電実験を行った.高分子フィルムの飽和帯電電位(Vs)と湿度依存性(S)は,金属メツキキャリアの仕事関数φと相関し,φの減少とともにVsおよびSは負方向に増大する.これは,水の侵入によりフィルム表面近傍に形成される内部電界と鏡像力の電位プロフィールと,ポリマー固有の電子受容準位を考慮したモデルにより解釈可能である.なおφの値としては,メッキ金属の文献値ではなく,測定値を用いた場合にのみ相関性が成立する.
     またキャリアおよび高分子フィルムはいずれも周囲の水の影響を受けるが,そのいずれの場合もVsおよびSはは負方向に増大することが示唆された.そして少なくともポリエステルのような比較的極性の大きな高分子の場合には,湿度の影響は主として高分子フィルム側に及ぶことがわかった.
  • 水口 仁
    1998 年 37 巻 3 号 p. 234-242
    発行日: 1998年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    表題化合物(PDCと略記)は既に上市されている黒色のペリレン顔料である.PDCをガラス基板上に真空蒸着すると鮮やかな赤色(吸収極大:500nm)を示すが,これをアセトンの蒸気に曝露するか,あるいは100℃で数秒加熱すると本来の黒色(吸収極大:473&610nm)となる.赤色相は分子が無秩序に配列した非晶質であり,分子間相互作用が無視し得る為,光学吸収(500nm)は主として孤立分子の吸収に起因する.これに対し,黒色相は分子がほぽ秩序化した結晶相(quasi-ordered system)である.このような中間状態では分子の吸収(473nm)に加えて,遷移モーメント間の相互作用(励起子結合効果)に基づく新たな吸収が610nm近傍に出現する.さらに,分子が完全に規則正しく配列した単結晶では,473nmの吸収は消滅し,励起子結合効果のみの吸収(610nm)となる.上記の事から,分子を秩序正しく配列すれば610nmの吸収が出現し,分子配列を乱せば吸収が消滅する事が判る.この610nmの光学吸収の出現・消滅をAlGaInPレーザー(発振波長:635nm)の光ディスクに応用した.
  • 飯野 浩一, Roy S. BERNS
    1998 年 37 巻 3 号 p. 243-254
    発行日: 1998年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    四色オフセット印刷を出力としたカラーマネージメントシステムにおいて,測色的色再現を満足した場合の色分解アルゴリズムによる空間画質の評価を行った.製版スキャナのコンベンショナルな特性を近似し測色的色再現を満足する墨量決定方法と,測色的色再現において最大墨量と最小墨量に基づく墨量決定方法を用い,自然画像とCG合成画像にっいて,墨量決定処理の煩雑さと空間画質のトレードオフを検討するため,知覚限界,許容限界の視点から視覚実験を行った.教育機関に所属する一般的な被験者グループと,印刷工場での実務により日頃から画質評価をしている被験者グループに対し,計6画像を用い評価を行った.実験結果から,許容限界では空問画質にあまり差がない色分解アルゴリズムが,知覚限界では明らかに差が認知されていることが示された.自然画像に対する結果では,最小墨量を用いた色分解方法が最も高い空間画質と評価されたが,この方法は合成画像においては偽輪郭を生じた.一般的な画像に対しては,コンベンショナルな方法または最小墨量に近い色分解方法が推奨される.
Imaging Today
『有機顔料 —色材と電子材料—』
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