日本画像学会誌
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42 巻, 1 号
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論文
  • 坂谷 一臣, 伊藤 哲也
    2003 年 42 巻 1 号 p. 4-9
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    物体色を測定するための分光測色計は通常45度タイプ(0/45)と積分球タイプ(d/8)に分類され,さらに積分球タイプは正反射成分を含むモード(SCI: specular component include)とそれを除去するモード(SCE: specular component exclude)に分けられる.しかし,これらの幾何学的条件の違いに応じて,試料表面で正反射した成分の影響によって,同一試料に対する測色結果はかなり異なってしまう1).特に,試料が暗くその光沢が高い場合には,測色結果と視感的な判断結果とが一致しないことがある.本論文では,これらの幾何学的条件の違いによる明度の実測値について調査し,一般観察条件として通常オフィス内の照明条件下における明るさの視感と一致させる方法について検討を行っている.また,物体色の測色において,幾何学的条件に依存せず実際の視感と一致した明度を視感明度として,それを求めるための計算モデルを提案する.
  • 金澤 祥雄, 上原 康博
    2003 年 42 巻 1 号 p. 10-16
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    従来の熱ロール対定着方式に代わる新しいカラー定着コンセプトであるフリーベルトニップフューザーを開発した.このフューザーは従来の加圧ロールの代わりに固定パッドと張架していないベルトを採用し,低圧でワイドニップを形成するとともに,ニップ出口で局所的に高圧力にする.このニップ圧力分布の最適化により,良好な定着性能を得ている.この圧力分布は,ニップ出口で定着ロールとトナーの界面でマイクロスリップを生じさせ,良好な剥離性能も達成している.さらに,パッドによる定着ロールのたわみ補正を行うことにより,小径で薄肉の定着ロールを使用可能としている.そして,この固定パッドにストレートベルトを組み合わせることにより,薄肉ロールにおいても良好な用紙搬送性能を得ている.これらの技術を導入することにより,フリーベルトニップフューザーはウォームアップタイムを大幅に短縮し,省エネで小型・低コストのカラー定着技術を実現した.
  • 平原 修三, 渡辺 猛, 齋藤 三長, 飯田 敦子, 石井 浩一, 細矢 雅弘
    2003 年 42 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    液体トナー電子写真では転写プロセスでの画質劣化という課題があった.新たに開発した転写方法は,感光体上に順次,現像,多重された液体カラートナーを,溶融してフィルム化することなしに,ずり応力と圧力を働かせて中間転写媒体上に移し取り(一次転写),さらに転写媒体上で加熱された液体カラートナー自身の粘着性と圧力の働きで記録媒体へ転写する(二次転写).この全く電界力を使わない転写方法により,微粒子,高濃度という液体トナーの特徴を活かした高画質の出力が可能になった.しかし,その現象と特性には,いくつかの謎があった.筆者らは有限要素法を使い,中間転写媒体である弾性体の挙動を解析した.その結果,この転写方法のメカニズムは転写媒体のタック力(あるいは粘着力)の作用ではなく,主に,弾性力と摩擦力の作用であることが分かった.
  • 飯田 敦子, 真常 泰, 額田 秀記, 吉川 紀夫, 平原 修三, 細矢 雅弘
    2003 年 42 巻 1 号 p. 24-31
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    本論文は,液体トナーを用いた電子写真プロセスの非電界転写において,転写特性とトナー画像の乾燥状態との相関を考察したものである.現像直後,感光体上に形成された画像は余剰現像液を含み,転写前の乾燥工程で余剰液の除去を行う.良好な転写特性を得るためには乾燥状態の把握が必須で,我々は画像にレーザ光を照射し,反射光量を測定する方法で乾燥状態がモニター出来ることを見出した.この方法でトナー電着試料の乾燥過程を観察した結果,高い転写効率が得られる乾燥率の範囲は,画像の大部分のトナー粒子が溶媒の薄い層に覆われた状態であると推測される.画像の乾燥状態に着目し,トナー粒子と感光体,及び転写体界面との付着力を見積もった.画像に接線方向の力が加わるシアリング転写において,画像が濡れた状態と乾燥した状態ではどちらも転写は不安定となる.一方,転写可能領域では,画像は感光体表面から剥離しやすく,転写体界面との付着力も大きく,かつトナー粒子同士も凝集体をなすことから,高い転写効率が得られることが分かった.
  • 林 宏憲, 星野 坦之
    2003 年 42 巻 1 号 p. 32-36
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    コロナ放電の応用において放電の安定性は重要な問題であり,コロナ放電特性・安定性は,雰囲気の影響を受けることが知られている.本研究では,空気流が炭化水素(CH3(CH2)n-2CH3: n = 10, 11, 12)を含んだ場合のコロナ放電への影響を調べている.空気流に炭化水素が含まれると,正放電の場合も,負放電の場合も,放電が阻害され,一定電流流すのに必要な電圧が上昇することが観察された.放電の主な阻害要因として,負放電の場合はワイヤへの炭化水素から生成された堆積物のため,正放電の場合は炭化水素による紫外線の吸収のためと考察されている.
解説
Imaging Today
『ネットワークと画像』
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