日本画像学会誌
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43 巻, 6 号
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論文
  • —統計解析を用いた寿命評価法の検討—
    入江 満
    2004 年 43 巻 6 号 p. 422-426
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    本研究は,電子画像記録の記録媒体として広く普及している光ディスクの信頼性寿命の標準測定手法を確立することを目的としている.特に,ディジタル画像保存において主流となるDVD(Digital Versatile Disc)等の高密度相変化光ディスクのアーカイバル(再生性能)信頼性寿命についての環境信頼性に対する標準測定手法の実証的研究を行なっている.
     本論文では,加速試験による寿命データを用い,アイリング加速試験モデルと統計解析手法を適用した高密度相変化光ディスクの期待寿命推定法を検討した.高密度相変化光ディスクの寿命データの統計分布として対数正規分布を仮定し,国際標準規格に準拠した統計解析手法を用いた.
     その結果,アイリングモデルと統計解析にもとづく光ディスクの寿命推定法は,温度と相対湿度をストレス要因として考慮し,統計的信頼水準を規定して期待寿命の推定することができる寿命推定法として有用な方法であることを確認した.
  • Jin MIZUGUCHI, Yasuo IMURA
    2004 年 43 巻 6 号 p. 427-431
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    Triphenyl-pararosaniline (TPPR) and n-propyl gallate (PG) are charge-control agents (CCA)of the positive and negative type, respectively. Suganami et al. reported that a 1:2 complex of TPPR and PG (colored deep blue) is a powerful CCA of the positive type due to the formation of a charge-transfer (CT) complex. The electronic structure of the complex has been studied in the present investigation in solution and in the solid state in order to clarify the charge-transfer mechanism. Quite contrary to our expectation, the blue color is found to arise from protonation of TPPR by means of PG, not due to a CT transition between TPPR and PG. The charge-control ability of the 1:2 complex is then attributed to the property of protonated TPPR.
  • Jin MIZUGUCHI, Takashi MAKINO
    2004 年 43 巻 6 号 p. 432-437
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    3,5-Di-tert-butyl-2-hydroxybenzoic acid (TBS) and 3,5-di-tert-butylsalicylate zinc complex (SZC) are charge-control agents of the negative type used in electrophotography. Structure analysis of TBS and SZC has been carried out on single crystals recrystallized from solution in ethanol, acetonitrile, dimethylsulfoxide (DMSO) and dimethylacetamide (DMA). In TBS, there are two independent molecules A and B in the asymmetric unit. The molecules form centrosymmetric dimers A-A and B-B via pair of O-H…O hydrogen bonds between the two carboxyl groups. On the other hand, a variety of solvated SZC have been isolated: SZC/(ethanol)2, acetonitrile-solvated Zn-complex of TBS, SZC/(DMSO)2, SZC/(H2O)3(DMA)3 and SZC/(H2O)2(DMA)3. In these complexes, TBS molecules are coordinated to the central Zn as mono or bidentate ligands, depending on the recrystallization solvent as well as recrystallization conditions. These results suggest that the structural changes can also occur in the toner preparation process, resulting in scattered characteristics of the charge-control ability.
  • Jin MIZUGUCHI, Shohei IWATA, Akio HITACHI
    2004 年 43 巻 6 号 p. 438-443
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    n-Propyl gallate (PG) is a charge-control agent (CCA) of the negative type used for toners in the electrophotographic process. Suganami et al. found that PG enhances greatly the charge-control power of triphenyl-pararosaniline (TPPR: an electron donor due to amino groups) used as the positive type, where PG works as an electron acceptor (i.e. acid) due to three phenolic hydroxides to form a 1:2 charge-transfer complex of TPPR/PG. However, judging from the 1:2 ratio of the complex and the number of hydroxides in PG, the effective acidity of PG seems to be quite weak. For this reason, the present structure analysis has been carried out in order to characterize the acidity of PG from the structural point of view. Three kinds of solvated single crystals are isolated from solution in dichloromethane, chloroform and acetonitrile. In all crystals, there observed strong OH…O intramolecular as well as intermolecular hydrogen bond network throughout the crystal. These results lead us to conclude that the formation of OH…O intramolecular hydrogen bonds weakens considerably the acidity of PG toward surroundings.
  • Kazuhisa YANAKA, 春日 秀雄, 星野 坦之
    2004 年 43 巻 6 号 p. 444-452
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    各ドットの濃度が2値のプリンタで擬似的に連続階調画像を再現するデジタルハーフトーニングに関しては,誤差拡散法など多くの方式が提案されているが,その多くは,各ドットのサイズとピッチが等しいことを基本としている.しかし例えばインクジェットプリンタに電気的偏向を適用すれば,ドットのサイズは一定でかつドット位置をドットサイズよりも細かい単位で制御することが原理的に可能である.その場合ドットの間隔がより細かく制御できるので,画質の向上が期待できる.本論文ではドット位置がドットサイズよりは細かい単位で離散的に可変である処理アルゴリズムとして,従来の誤差拡散法を自然に拡張することにより実現する方式を提案する.この単位を細かくしていけば,離散的なレベル数を増やすことができ,限りなく連続に近づけることができる.さらに,この方式を実現するために,ハイライト部やシャドー部のように少数ドットが疎に分布する領域でもワームを生じにくいエラーフィルタとして,1つのパラメータを与えるだけで任意の大きさのフィルタを生成できるスケーラブルエラーフィルタを提案する.本方式の有効性について,主観評価により画質が向上することを確認した.
解説
  • 大庭 忠志, 塚原 茂樹, 神山 雄二, 佐藤 孝幸, 坂田 昌一
    2004 年 43 巻 6 号 p. 453-458
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    オフィスにおけるカラープリントが進む中,モノクロとカラーを同じ生産性で出力したいという要望がますます多くなってきており,タンデムカラープリンタが,市場で受け入れられるようになってきた.また,オフィスへの本格的な普及を促すためには,本体の低価格化と共に,モノクロプリンタと同等の印刷速度,設置面積,操作性,低ランニングコストの実現,さらには,カラープリンタとしての高い画質レベルがユーザから要求されている.京セラミタ(株)は,新規開発の小型タンデムエンジンにより,カラー,モノクロ共にA4縦毎分16枚のFS-C5016Nを開発した.この機械は,新規デバイス開発によって高画質なカラー画像,デバイスの長寿命化による印字コストの低減,さらにコンパクト設計による*クラス世界最小/最軽量の小型化を達成した.
     * 2004年9月現在.A4対応電子写真方式のカラープリンタ
  • 高木 修, 木野内 聡
    2004 年 43 巻 6 号 p. 459-465
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    デジタル複合機はオフィスを中心として文書複写,プリンタ,FAX,スキャン,ファイリング装置として広く利用されている.近年,各種の環境基準への対応とともに,省エネ化の要求が高まっている.
     当社はこのようなニーズにこたえるために,装置全体の約7割のエネルギーを消費している定着装置に着目し,効率向上を目的として,加熱源として業界で初のIH(電磁誘導加熱)技術を採用し,ウォーミングアップタイムの大幅な短縮を実現し,待機時の消費エネルギーを削減することによる大幅な省エネ化を実現した.さらに高速機やカラー機へ応用するため,複数のIHコイルを持つ誘導加熱定着装置を開発した.必要な部分だけに必要な熱量を与える複数IHコイル方式を採用することでさらなる省エネ化を可能とした.
  • 谷川 耕一, 竹内 昭彦, 真野 宏, 阿部 篤義, 林崎 実
    2004 年 43 巻 6 号 p. 466-471
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    カラーレーザプリンタの定着技術は,オイルレストナーの登場を受け,定着部材の低熱容量化により大きな変革を遂げつつある.カラー省エネのトップランナーとして登場したカラーIH定着器は,モノクロのオンデマンド定着器を母体としつつ,電磁誘導加熱による高効率の定着を実現した.その主要技術は(1)励磁コア・コイル,(2)定着スリーブ,(3)高周波電源であり,いずれも困難な課題をブレークスルーして製品化に至った.その結果,従来技術に比べて,約70%減の大幅な省エネが達成された.
Imaging Today
『インクジェットプリンタの最新技術動向』
  • 中島 一浩
    2004 年 43 巻 6 号 p. 473-479
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    デジタルフォトを主軸として展開するインクジェットプリンタのコンシューマ市場においては,さらなる高速高画質化に加え,プリント物の高堅牢化が大幅に進みつつある.また,普通紙で高速出力を目指す技術開発によりオフィス市場への挑戦も始まっている.一方,産業用インクジェット分野でも特にインク技術の革新によりその応用範囲が確実に拡大しつつある.最近のインクジェットのさまざまな技術の中から代表的な技術についてその特徴と今後の方向性について概観する.
  • 太田 善久, 亀井 稔人, 永井 希世文, 水木 正孝
    2004 年 43 巻 6 号 p. 480-487
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    GELJETプリンタIPSiO G707/G505はリコー独自の3つのGELJETテクノロジーを搭載することにより,これまでインクジェット方式では難しいとされていた普通紙高画質,高速両面印刷を実現し,ビジネス用途としての快適印刷を提供する新しいタイプのインクジェットプリンターである.本製品の主な特徴は以下のとおりである.
     1) 高粘度高浸透性顔料インク (GELJETビスカスインク)の採用による普通紙画質の向上
     2) 高速印刷を実現する最大印字幅1.27インチヘッド (GELJETワイドヘッド)の搭載
     3) 静電吸着ベルト搬送方式 (GELJET BTシステム)による安定した高速高精度な用紙搬送
       本報では,これらの特徴を実現したGELJET技術を中心に解説・紹介する.
  • 江口 武夫
    2004 年 43 巻 6 号 p. 488-493
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    A4サイズの用紙幅ヘッド(ラインヘッド)を持ったサーマル式インクジェットプリンタが開発商品化された.通常のインクジェットプリンタでは複数ノズルを使用することによるノズルの吐出ムラ(細かいスジ状の濃度ムラ)を緩和する手段として重ね書きを行うのが常識だが,ラインヘッドでは記録ヘッドが固定され記録用紙はヘッド下を一度しか通過できない構造のため,液滴がノズルから吐出される際に左右に振ることが出来る技術を開発した.本文ではそのヘッドの基本構造と効果等につき紹介する.
  • 小金平 修一
    2004 年 43 巻 6 号 p. 494-501
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    一昨年までのインクジェット顔料インク(PX-Pインク)では,出力物の光沢感が不十分であった.よって,我々はこの性能を向上させたインクジェット顔料インク(PX-Gインク)を開発した.我々は,インクジェット顔料インクの乾燥皮膜の表面を平滑にする技術によって,光沢が向上することを見出した.本稿で,筆者は,まず,光沢と発色の両立について解説し,次に,光沢だけではなく,粒状性と色再現性を両立するのに最適な色材顔料について解説する.
  • 田沼 千秋
    2004 年 43 巻 6 号 p. 502-508
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    産業用インクジェットの最新技術について解説した.圧電方式インクジェットヘッドの特徴を述べ,シェアモード・シェアウォール方式のインクジェットヘッドの動作原理について述べた.続いて,高速化,高画質化を両立する多値記録技術について述べた.また,インクジェットの開発に不可欠なシミュレーション技術についても述べた.製品化された産業用インクジェットヘッドの特徴,性能について述べ,応用製品を紹介した.
  • 竹内 良夫, 西 眞一
    2004 年 43 巻 6 号 p. 509-514
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    近年インクジェット技術の用途が産業分野にも拡大しつつある.産業用ではインクやメディアの自由度と生産性が重要な要求項目となる.使用するインクの制限を受けにくいピエゾ型のインクジェットヘッドの中でも,高密度化が可能なシェアモードピエゾヘッドの構造と動作を解説し,コンピュータシミュレーションを用いた駆動効率の向上化設計法,各種用途への応用が期待されるヘッドの性能と特長について紹介する.
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