日本画像学会誌
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43 巻, 2 号
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Imaging Today
『カラー画像出力の高画質化先端技術』
  • 小寺 宏曄
    2004 年 43 巻 2 号 p. 73-81
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    本稿では表色系の開発経緯を概観し,最近の動向について解説する.色彩は一種の共通言語であり,表色空間は,色彩を相互に正しく交換し共有する場として重要な役割を担っている.CIEの活動の中心は均等色空間の探索にあったと言ってもよい.画像通信の普及と共に色管理システムの標準化が進んでいるが,産業界ではさらに高精度の色管理が求められると共に,画像応用の分野では異なる観察環境の下での色の見えを反映した再現が要望されている.前者は新しい色差式CIEDE2000の提案,後者は色の見えモデルCIECAM02の開発へと発展してきている.CIE Division8ではImaging Technologyに関連する標準化を扱う8つのTC(Technical Committee)が活動しているが,新設のTC8-08では,Spatial Color Appearanceを取上げており,空間的な色の見えに踏み込もうとしている.視覚モデルの導入が,さらに優れた知覚的色空間の提唱に繋がっていくものと期待される.
  • 谷添 秀樹, 杉浦 博明
    2004 年 43 巻 2 号 p. 82-89
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    ディスプレイにおいては,近年標準色空間sRGBへの対応が進み,従来CRTディスプレイに比べ色域の狭かった液晶ディスプレイにおいても,sRGB対応のものが増えつつある.加えて,デジタルカメラやインクジェットプリンタ等のイメージングデバイスの性能向上と普及に伴い,それらを応用する産業分野においてワークフローの変革が起こりつつあり,これに伴ってディスプレイへの色再現性への要求も高まっている.
     本稿では,ディスプレイにおける色再現性の向上をテーマに,携帯端末等を対象とした信号処理による色再現向上技術および,DTP,印刷やデザイン等のアプリケーションを対象としたディスプレイデバイスの物理的な色域の拡大技術について,そのニーズの背景および開発技術に関してCRT,LCDの2種のAdobe RGB対応広色域ディスプレイの開発実例について述べる.
     尚,本解説記事の一部はNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のH14年度基盤技術研究促進事業(民間基盤技術研究支援制度)の成果に基づくものである.
  • 塚田 正人, 鈴木 哲明, 井上 晃
    2004 年 43 巻 2 号 p. 90-97
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    ディジタル映像機器にとって,その画質は非常に重要なファクタである.撮影条件や撮影シーンによって,画像の画質は大きく異なっており,あらかじめ設定された固定パラメータによる画質補正の手法では,安定した高画質映像を得ることは困難である.この問題を解決するためには,各入力画像の画像品質に応じて,コントラスト補正,彩度補正,あるいは,肌色,草木の緑など人間にとって重要な対象物に対する好ましい色再現といった補正処理技術を施すことにより,人間にとって望ましい画質に改善する技術が必要となる.本記事では,様々なシーンの入力画像に対してその画質を解析し,入力画像の画質に応じて適応的に補正処理を施すことによって,画質の改善を実現する自動高画質化技術について解説する.さらに,動画像に対する高画質化処理で必要となる補正量平滑化技術についても説明する.
  • 山下 春生
    2004 年 43 巻 2 号 p. 98-104
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    デジタルカメラの性能向上にともない,一般の人にとっての画質的な不満は無くなり,さらに従来の銀塩写真ではできなかったフォトプリンタによるホームプリントが実現されてきた.PCを用いないダイレクトプリントに適すプリント方式としては,銀塩写真に近い高画質が得られ,プリント画像の保存性が良く,装置がコンパクトでメンテナンス不要である昇華型熱転写方式が優れている.
     本稿では,昇華型フォトプリンタの画質に特に関連の深い高画質化技術として,環境温度やサーマルヘッドの蓄熱に関わらず安定した濃度を再現する温度補償技術と,フォトクオリティの色再現を実現する昇華方式に適したカラーマッチング技術を中心に解説する.
  • 角谷 繁明
    2004 年 43 巻 2 号 p. 105-111
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    濃淡インクドットや大中小サイズドットなど,複数階調のドットを出力可能なプリンタにおいて,それらを混在状態で最適配置して良好なドット分散性を得る,新しいハーフトーン手法2手法についての解説を行う.第1の手法は高画質な誤差拡散法ベースの手法で,2003年度の経済産業大臣発明賞を受賞している.第2の方法は高速なディザ法ベースで,両者を組み合わせて使用することも可能である.
  • —スムージングとハーフトーニング—
    石井 昭
    2004 年 43 巻 2 号 p. 112-118
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    レーザビームプリンタでは,ラスタライズと色変換によって各画素の階調値が生成される.ラスタライズはベクタデータをラスタデータに展開するとともに,画像の拡大・縮小,回転を行う.色変換は入力色空間をプリンタの出力色空間に変換する.階調値は,スムージングやハーフトーニングといった記録信号処理によって電子写真に適した記録データに変換される.スムージングは文字や線画像部のジャギー(がたつき)を軽減し,ハーフトーニングはドットの面積または密度を変調して画像の調子を擬似的に再現する.電子写真によるレーザビームプリンタでは,解像度やドット再現性が十分ではないことから,さまざまな記録信号処理が開発されてきた.本稿では,これらレーザビームプリンタ特有の記録信号処理と最新動向について解説する.
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