ディスプレイにおいては,近年標準色空間sRGBへの対応が進み,従来CRTディスプレイに比べ色域の狭かった液晶ディスプレイにおいても,sRGB対応のものが増えつつある.加えて,デジタルカメラやインクジェットプリンタ等のイメージングデバイスの性能向上と普及に伴い,それらを応用する産業分野においてワークフローの変革が起こりつつあり,これに伴ってディスプレイへの色再現性への要求も高まっている.
本稿では,ディスプレイにおける色再現性の向上をテーマに,携帯端末等を対象とした信号処理による色再現向上技術および,DTP,印刷やデザイン等のアプリケーションを対象としたディスプレイデバイスの物理的な色域の拡大技術について,そのニーズの背景および開発技術に関してCRT,LCDの2種のAdobe RGB対応広色域ディスプレイの開発実例について述べる.
尚,本解説記事の一部はNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のH14年度基盤技術研究促進事業(民間基盤技術研究支援制度)の成果に基づくものである.
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