日本画像学会誌
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43 巻, 3 号
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論文
  • 寺尾 和男, 新井 和彦, 吉野 大典
    2004 年 43 巻 3 号 p. 128-133
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    2値記録方式のプリンタではハーフトーンスクリーン線数,解像度は再現可能な階調数と密接な関係にあるが,濃度階調性をもつ電子写真方式では,階調性よりも出力画像の粒状性との関係を議論することが重要となる.本報告では面積・濃度階調モデルからトナー粒子径,走査レーザのビーム径と粒状性との関係を予測し,線数が大きくなるに従って濃度階調領域が広がり,これによる粒状性の悪化が高精細な記録の制約条件になることを明らかにした.さらに,200線/インチ,400線/インチの場合について,粒状性の制約条件となるトナー粒子径,レーザビーム径の設計指針を提供した.
  • 日暮 久乃, 江藤 桂
    2004 年 43 巻 3 号 p. 134-141
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    省エネルギーを目指した電子写真方式の画像出力機器は電源制御によりエネルギー消費効率を高めている.さらなる省エネルギーへのアプローチとしてはマイクロカプセル化技術を利用した耐ブロッキング性(トナー同士の融着防止)の優れた低温定着トナーが上げられる.本稿では,まず固体(トナー)を封入物としたマイクロカプセル化方法を確立し,次にマイクロカプセルにした様々なトナーの耐ブロッキング効果を評価した.そして低温定着するトナー原料をマイクロカプセル化することで耐ブロッキング性が向上し,低温定着トナーの可能性を確認したので報告する.
  • Rattanasakornchai Pranchalee, 星野 坦之
    2004 年 43 巻 3 号 p. 142-147
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    画像システムの特性に大きな影響を与える照明光変動に対する補正法について,研究している.カラーチャートをカメラの視野に配置し,カラーチャートの自動認識,およびカメラからのカラーチャート信号がカラーチャートの所期の信号となるような変換処理を研究している.一般的な光源である窓から入る自然光,蛍光灯および白熱ランプに対して,自動認識,および2次の項まで考慮した最小2乗近似で誤差5∼7%となることが得られている.この手法は,動き検出の照明光変動に対する精度向上に寄与すると共に,好ましい色再現を実現し,テレビ電話等のビデオ通信におけるコミュニケーション性の向上に寄与する.
  • 島田 昭, 宮坂 徹, 保志 信義, 上原 利夫
    2004 年 43 巻 3 号 p. 148-154
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    トナーを吸引分離する吸引ノズル部,分離トナーの電荷量を測定・表示する本体表示部と二成分現像剤の帯電量測定に用いる現像剤サンプル容器の3つから構成される吸引式の小型トナー帯電量測定装置を開発した.本装置は,吸引ノズル部が帯電量測定のファディーケージになっているため,帯電量測定を安定にかつ簡単に実施できる特徴を持っている.また,本装置は,吸引ノズルを直接測定対象に接触させ,本体表示部に内蔵された吸引ポンプで直接トナーを吸い込み,ファディーケージに導くため,一成分および二成分,どちらの現像剤に対してもトナーの帯電量測定ができるだけでなく,さらに感光体上,中間転写体上,用紙上に付着したトナーの帯電量,付着量も測定することができる.本論文では,本装置を用いて各種現像剤および電子写真装置各部のトナー帯電量測定を行い,その有用性が検討されている.
Imaging Today
『電子写真機器開発におけるシミュレーション技術の活用』
  • 日高 重助
    2004 年 43 巻 3 号 p. 156-163
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    粉体トナーの帯電挙動と電子写真システム内での現像剤流動挙動のシミュレーション例について述べた.高分子粒子と高分子板あるいは金属板との単一球形粒子衝突実験によって得た電荷移動に関する実験式を用いて粉体トナーの帯電挙動シミュレーションを行った.このシミュレーションは粉体トナー組成と帯電特性の関係を与え,粉体トナー設計に利用することができる.粒子要素法による二成分現像剤の流動挙動ならびに現像挙動のシミュレーションを行った.これらのシミュレーションは,現像部の設計に極めて有益な知見を与える.
  • 世古 丈裕
    2004 年 43 巻 3 号 p. 164-170
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    現像プロセス・シミュレーション技術を商品開発業務に活用し,課題の解決を試みた二つの事例を示す.計算には個別要素法および有限要素法を用いて,磁性ローラの磁場下における現像剤粒子の挙動を解析した.第一の事例はプロセスユニット内で発生したトナーの吹き出しについて,実験データを用いたシミュレーションから原因を推定し,吹き出しトナーの動きを抑制できる現像器形状を提示したものである.また第二の事例はピックオフ時に現像剤が磁性ローラに再吸着されることにより,トナー像が欠落した画質欠陥が生じた問題(ピックオフ不良問題)への対応である.磁性ローラの磁束密度分布に関する実測データを基にシミュレーションを行い,ピックオフ不良問題を再現した.ついで磁束密度分布を計算機上で修正し,ピックオフ性を向上させ問題を解決する設計条件をシミュレーションから見出した.
  • 門永 雅史
    2004 年 43 巻 3 号 p. 171-179
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    コンピュータの発達によって近年シミュレーションによる解析が活発となり,転写プロセスにおいても多くの解析事例が報告されている.本稿では,転写プロセスにおけるシミュレーション技術について,転写電界計算とトナー挙動シミュレーションの2つに大別して解説を行う.転写とは,付着力に打ち勝ってトナーを転写部材に電気的に引き付けるため,転写電界を算出することは転写プロセスを考える上で大変重要である.電界計算の事例として,転写チリの原因について考察した結果を中心に紹介する.また,近年では粉体個々の挙動を解析可能な手法が用いられるようになり,転写領域でのトナー挙動が解析できるようになった.トナー挙動シミュレーションとして,トナーが塑性変形することで中抜け画像となる現象や,プレ転写によってチリが発生する現象をシミュレーションで計算した事例を紹介する.
  • 植木 平吾, 三矢 輝章, 詫間 康夫, 片岡 薫
    2004 年 43 巻 3 号 p. 180-185
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    高速レーザプリンタの開発プロセスにおいて,解析主導型設計とよばれるアプローチ手法を導入している.シミュレーション技術を用いた事前評価を行うことで,信頼性向上と開発期間短縮をめざすものである.この手法を導入するにあたって開発したシミュレーション技術を2テーマ紹介する.ひとつは,現像器内のトナーの流動性評価のための流体解析シミュレーション事例である.もうひとつは定着器の熱設計を行うための熱伝導解析シミュレーションである.
  • 秋山 修
    2004 年 43 巻 3 号 p. 186-192
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    MFPの製品開発において,副産物となる温度上昇を推測するのに数値計算が有益である.電子機器と本体に分類し,現状での手法を紹介する.電子機器の冷却に関しては,CFDツールの性能向上が著しい反面,境界条件である素子の発熱量を予測する術が定まらない.著者は発熱量に応じた系を数値計算で探求することで,実験を最小限に抑えている.本体の冷却に関しては,紙が熱伝達媒体となり,エンジン部や筐体領域内が温度上昇する非常に複雑な系である.局所的な冷却,排熱,オゾン排出量を考慮するだけでなく,低コストな部品構成を開発期間に併せて提案することが要求される.そこで,定着後の紙温度経過,トナー挙動が影響する領域温度等の,予測が困難な現象を,簡易な経験モデルとして取り扱う.
  • 竹平 修
    2004 年 43 巻 3 号 p. 193-201
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    用紙断面をはりモデル化した2次元的な搬送挙動シミュレーションを電子写真機器開発へ活用した事例を紹介する.電子写真機器開発の最上流では,安定した用紙搬送ができるレイアウト決定が最優先である.このプロトタイプ前に,シミュレーションを用いて多くのケースを評価する事が,開発日程の短縮やコスト低減に役立つ.2次元シミュレーションは計算負荷も少なく,実機内の用紙変形が2次元を基本としているので,このような用途に適している.本稿では最初に重力と搬送ガイド板との摩擦を考慮した過渡的な2次元シミュレーションの構築方法を示す.次にカール紙による紙ジャム予測,画像の読取精度評価,転写部での送り速度や,トナーの粘着力が作用する熱定着ローラへの紙巻き付き解析など,電子写真機器開発への適用例を解説する.
  • 平林 純
    2004 年 43 巻 3 号 p. 202-209
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    電子写真機器開発における可視化計測技術の活用例として,現像プロセスにおけるトナー粒子挙動の計測・解析を紹介する.実機中でのトナー粒子の可視化観察及び現像トナー像の三次元形状計測により,現像プロセスにおけるトナー粒子の動き及びトナー粒子像の形成過程を明らかにする.また,観測された可視化画像に対し粒子画像流速測定法を用いた定量評価を行う例を報告する.
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