日本画像学会誌
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43 巻, 5 号
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論文
  • —書換え型光ディスクのアーカイバル寿命評価方法の検討—
    入江 満, 沖野 芳弘, 久保 高啓
    2004 年 43 巻 5 号 p. 304-309
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    本研究は,電子画像記録の記録媒体として普及している高密度書換え形光ディスクの信頼性寿命を評価し,環境信頼性に対する標準測定手法を確立することを目的としている.本論文では,高密度相変化光ディスクを用いて,加速試験による環境温度,相対湿度 (RH)のストレス条件が光ディスクのアーカイバル期待寿命推定に与える影響を評価した.
     寿命評価には,指標として光ディスク再生信号のバイトエラー率 (BER: Byte Error Rate)を用い,光ディスクの任意領域のBER評価が可能な専用測定系を構築した.実験結果より,加速試験でのストレス値の増加に伴い,BER劣化が加速されること,温度ストレスに加え,湿度ストレスもBER劣化に大きな影響を与えることを明らかした.これにより,期待寿命推定には環境温度と相対湿度のストレス条件を同時に考慮したアイリングモデルによる解析が必要であることを確認した.
Letter
解説
  • —技術委員会第7部会活動報告—
    川居 秀幸
    2004 年 43 巻 5 号 p. 313-321
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    本報告は,日本画像学会・技術委員会第7部会において行なってきた討論を通して挙げられた各委員の意見を元に,電子新聞の将来像やロードマップについてまとめたものである.まず,委員へのヒヤリングを元に,新聞は『気楽に読めるもの』と『じっくり読むもの』という2面性を有すること,また,現行新聞の持つ問題点の多くは,情報と媒体とが一体化していることに起因し,それらは電子ペーパーの出現により解決され得ることを示した.そして,他の情報メディアと比較した場合の新聞の本質を考察した.さらに,電子新聞に使用する電子ペーパーへの要求特性について具体的な論点を整理して示すとともに,2年後,5年後,10年後における電子新聞の将来像を予想し,ロードマップを作成した.
Imaging Today
『なおも進化するトナー用材料』
  • 川崎 尚二
    2004 年 43 巻 5 号 p. 323-326
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    複写機やプリンターに使用されるトナーに求められてきた性能は,その印刷速度のアップや省エネルギー化への対応であった.この歴史は,トナー用樹脂においては分子量分布の歴史であった.近年はさらにカラー化への対応も求められ,この分野には重合トナーという新しい技術の参入もあった.三井化学はこの分野においてトナー用樹脂を独自の技術を用いて市場ニーズに応えてきた.
  • 清水 英一, 大槻 浩平
    2004 年 43 巻 5 号 p. 327-333
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    トナー用顔料には色相,着色力や透明性などの色彩特性を満たすことと同時に,優れた耐熱性と耐光性が必要とされる.また,トナー用顔料は,常に安定した帯電特性を示すことも求められる.更に,ケミカルトナーにおいては,それぞれのケミカルプロセスに合わせた適合性が要求される.顔料は,たとえその化学構造が同じであっても,製造方法の違いによって著しく異なる性能を示す.トナー用顔料は,特殊で最適化された合成反応やニーディング,粉砕工程を通じ,粒子形,粒子径分布,表面状態,物質中の不純物,結晶性などにトナー用途に合わせたさまざまな改良が加えられてきている.さらに,マイクロリアクター技術の適用は,近い将来,トナー用顔料の開発にとって画期的な打開策になることが期待されている.
  • 見勢 信猛
    2004 年 43 巻 5 号 p. 334-336
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    電子写真方式のトナーの黒色顔料として一般にカーボンブラックが用いられている.トナーに用いられるカーボンブラックは特に安全性に優れたものが必要とされておりこの安全性を確保するためには,カーボンブラック表面に存在する微量の多環芳香族炭化水素を極限まで低減する必要がある.また多環芳香族炭化水素の低減はカーボンブラックの粒子径の影響を受け,大粒子径カーボンブラックほど低減が難しい.その他カーボンブラックに要求される特性として,トナーに配合した時の導電性,帯電性,画像として紙に定着した際の画像濃度,と色調がある.この要求特性とカーボンブラックの特性につき解説をし,最後にトナーに用いられている三菱化学株式会社のカーボンブラックを紹介した.
  • 三輪 昌宏, 中島 貴志, 箕輪 光, 星野 智之, 馬渡 芳夫, 藤安 昇一
    2004 年 43 巻 5 号 p. 337-344
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    近年,磁性一成分トナーの構成材料に湿式合成のマグネタイト粒子が用いられている.この用途に必要な特性は,磁気特性(飽和磁化,残留磁化,保持力),顔料性能(黒色度,着色力,経時安定性),電気伝導性,分散性,表面性などがある.このような要求に対してマグネタイト粒子には色々な機能が付与されてきた.一例として,一次粒子径や形状のコントロールによる磁気特性の制御,亜鉛化合物の添加による磁気特性や耐熱性の制御,ケイ素化合物の添加による残留磁化の制御,カーボンブラックによる補色,アルミニウム化合物の添加による高抵抗化,粒子表面の電解質除去によるイオン電気伝導制御,チタン化合物被覆による耐酸性の向上,などがある.今後,マグネタイト粒子は更なる高機能化を達成し,かつその上で各国の物質規制に対する要求を満たすことが必要となってくる.
  • 大久保 正樹
    2004 年 43 巻 5 号 p. 345-350
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    電荷制御剤は電子写真用トナーを構成する材料の一つであるが,その役割はトナーに静電荷を付与するためで,電子写真方式のシステムを実現するために必要不可欠なものである.トナーや電荷制御剤についてはこれまで多くの検討がなされているが,静電荷(静電気)の発生メカニズムについては未だに物理的,化学的に諸説があり,単純な理論や現象では説明が難しいものとなっている.しかし,電荷制御剤の帯電性は実際の電子写真システムを構築する中で実にうまく使用されており,高画質,高速な印刷を可能にしている.今後,ますます高機能化していく電子写真に対応した電荷制御剤を開発するためにはトナー中での電荷制御剤の機能(帯電性)を多角的に理解する必要がある.
  • 天野 裕貴
    2004 年 43 巻 5 号 p. 351-355
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    トナーの部材の中でも最も少ない添加量のひとつである外添剤.しかし,トナー設計の上では非常に重要な役割を果たしている.ここではその外添剤として最も一般的に用いられている無機微粒子の製法と特徴を述べ,トナーに添加した時に必要とされる「帯電性」と「流動性」について,データを交えて紹介する.
  • 小林 弘道, 佐藤 祐二, 本庄 俊夫
    2004 年 43 巻 5 号 p. 356-364
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    2成分系現像法は,トナーの帯電安定性が得られ易いため,高速・高画質指向の強いオフィスユーザー向けの複合機や,画像維持の信頼性・耐久性の要求されるプリンター及び軽印刷用高速機の分野に広く使用されている.また最近は,ドキュメントのカラー化及び一般オフィスでのネットワーク化が進み,フルカラープリンターが認知されてきたこともあり,信頼性の高い2成分現像方式を採用している装置が急速に伸びている.2成分現像剤を構成するキャリアは,磁性を持つ芯材と表面の被覆樹脂からなり,それらの特性によって,トナーとの摩擦帯電性及び電極効果を制御している.本報告は,現在市場で使用されているキャリアの紹介,今後のキャリア設計と課題を通して,将来の展望を述べるものである.
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