二成分現像剤の帯電現象をトナーとキャリア間における電荷移動の平衡過程とする速度論的帯電モデルの適用範囲とその限界を明らかにするため,本モデルから導出されたモデル式をこれまでに飽和帯電量(
qet)の逆数とトナー/キャリア比(
Ct)が直線関係(1/
qet ∝
Ct関係)を示さないとされた報告データのいくつかに適用した.その結果,試みた全てのデータにおいて,ごく小さな
Ctでは1/
qet ∝
Ct関係から外れ,1/
qetが一定に見えるが,それ以外の非常に広い
Ct範囲でモデル式の成立することが明らかになった.一方,現像剤の撹拌混合とブローオフ測定時におけるキャリア表面およびブローオフ測定用分離金網表面へのトナー材料固着は避けられず,
Ctの小さな領域では無視できないことが分かった.この時同時に,キャリアの一部が分離金網を通過し,その量は
Ctの小さな領域では無視できないことも判明した.これらの結果から,
Ctの小さな領域における
1/qet ∝
Ct関係からの外れはブローオフ測定時のこの様な実験誤差が原因である可能性の高いことが示された.
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