日本画像学会誌
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45 巻, 6 号
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原著論文
  • 北野 賀久, 江前 敏晴, 磯貝 明
    2006 年 45 巻 6 号 p. 504-513
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/13
    ジャーナル フリー
    用紙表面形状が印刷物表面形状形成に大きく影響を及ぼすことが予想されるマットコート紙を用いて,定着工程のパラメータが用紙表面形状に倣う印刷物表面形状を形成するためにどのような影響を与えているか,またオフセット印刷では用紙表面形状に倣った印刷物表面形状を得るための主要因であった用紙の吸液力が,電子写真ではどのような影響を及ぼしているかついて検証した.
    その結果,定着工程のパラメータとしてローラ間荷重,定着温度,定着速度を変化させて印刷前後の表面形状の変化を検証したところ,すべてのパラメータで与える定着エネルギーを小さくすることが,印刷物表面形状が用紙表面形状に倣う方向であることがわかった.また定着後の印刷物表面形状に比べて未定着像の表面形状の方が,用紙表面に存在した特徴的な起伏に対応する周波数は保持できている.以上のことから,感光体や中間転写体上に形成されたトナー像は,用紙表面に存在する特徴的な起伏にある程度倣って転移するが,圧力と熱を加えることで用紙表面形状とは異なる形状に変化していると言える.
    一方溶融したトナーの毛管吸収の影響を調べるため,異なる吸液力の用紙を用いて印刷前後の表面形状変化を比較したところ,それらの差は小さく,本研究で検証した2ロールで挟持する定着装置の構成では,印刷物表面形状形成における用紙の吸液力の影響は小さいことを明らかにした.
  • 島田 昭, 斎藤 雅彦, 宮坂 徹
    2006 年 45 巻 6 号 p. 514-520
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/13
    ジャーナル フリー
    非磁性一成分現像方式における現像ローラ上のトナーの帯電量と付着量について,規制ブレードの押し圧,現像ローラの表面粗さ,および外添剤の種類と添加量の影響について検討した.現像ローラ上のトナーの帯電量と付着量は,現像ローラ上のトナーを直接,吸引式の帯電量測定装置で吸引して測定した.その結果,次のことを明確にした.(1)規制ブレードの押し圧,現像ローラの表面粗さを変化させた場合,現像ローラ上のトナーの付着量が減少すると,現像ローラ上のトナーの帯電量は上昇する.そのため,両者の積で定義される面積帯電量は,ほぼ一定である.(2)外添剤として用いた小粒径シリカの添加量を増加した場合のみ,上記(1)の関係から外れ,現像ローラ上のトナー付着量と帯電量は共に増加する.その結果,面積帯電量も増加する.(3)面積帯電量は,非磁性一成分現像方式において,トナーの帯電性を知る指標として重要である.
  • 藤山 高広, 杉本 賢一, 関口 未散
    2006 年 45 巻 6 号 p. 521-525
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/13
    ジャーナル フリー
    我々はナフタレンテトラカルボン酸ジイミド構造を有する新規な電子輸送材料を開発した.これらの化合物はポリカーボネート樹脂への相溶性に優れ,また汎用溶剤への溶解性も良好であった.これら化合物の電子輸送特性を通常のTime-of-flight法にて評価した.電子移動度は濃度と電界の関数として測定した.電子移動度は,20から60wt%の濃度範囲で10—8から10—4cm2/Vsの範囲であった.これらの移動度は,トリフェニルアミン誘導体であるTPDの正孔移動度に匹敵するものである.
  • 中島 久志, 望月 賢, 佐々木 文浩, 小番 昭宏, 朝比奈 安雄, 松岡 園生, 内野倉 理, 中山 慎也, 石川 正彦, 坂田 宏一
    2006 年 45 巻 6 号 p. 526-531
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/13
    ジャーナル フリー
    エステル伸長重合法による新規オイルレスフルカラートナー(カラーP×Pトナー)を開発した.ポリエステル樹脂を用いたエステル伸長重合法による分子量分布制御と,ワックスの分散性制御により,低温定着性と貯蔵安定性に優れ,適度な光沢を持つオイルレスフルカラートナーを得た.また,小粒径且つシャープな粒径分布により,高画質な画像が得られ,トナーの形状を制御することで,ブレードクリーニングシステムを実現した.さらに,従来製法の粉砕トナーと比較し,転写性の向上,および小粒径化により,十分な画像濃度が得られるため,トナー層厚を薄くできることから,約26%のトナー消費量が削減できた.また,同一粒径のトナーを生産した場合の製造時のCO2排出量は,約35%削減でき,環境負荷の低減が可能となった.
  • 橋本 雄一, 湯浅 俊哉, 宮町 尚利, 内藤 泰裕, 石山 竜典, 西田 俊一郎, 浅野 正, 土屋 太祐
    2006 年 45 巻 6 号 p. 532-539
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/13
    ジャーナル フリー
    放電プロセスによる新規のリライタブルシステムに用いることが可能な色素として,食用,化粧品用,染物用色素について消色性の検討を行った.これらの色素の消色性はイオン化ポテンシャルの低い色素ほど高くなる傾向を示したことから,色素の消色は放電で生成した酸化性ガス(オゾン)による色素分子の共役結合の開裂反応に起因した現象と考えられる.また,これらの色素を適宜選定すれば本リライタブルシステムにおいてモノカラー•フルカラー化への応用が可能である.一方,消色性に関る無機微粒子の作用について検討を行った結果を基に,新規のリライタブルシステムに用いる用紙の設計を行った.色素の消色プロセスを効率的に行うためには,多くの色素をアルミナ,シリカ等の無機微粒子表面に選択的に吸着させることが重要であり,受容層内,又は基材での凝集を引き起こさないインク受容層の設計が最も重要な課題である.
Imaging Today
  • 崔 〓鎬, 金 京煥, 朴 奇柱, 安 承徳, 金 容根
    2006 年 45 巻 6 号 p. 541-545
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/13
    ジャーナル フリー
    2006年8月,三星電子は世界初の最小•最軽量のcolor laser printerを発売した.これまで,SOHOをはじめ,個人用color laser printerの拡大•普及に最大のネックであったsizeとpriceを同時に解決することができ,名実ともに新たな市場を創り出すことができた.さらに,低騒音化,使い勝手の良さ,高画質化及びDesktopに適したデザインにいたるまで,これまでのprinterとは差別化した全く新しいcolor laser printerを提供することができた.
  • 鎌田 政則, 尾崎 透, 田島 典幸, 醒井 雅裕, 寺尾 健司
    2006 年 45 巻 6 号 p. 546-552
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/13
    ジャーナル フリー
    当社が開発したフルカラーデジタル複合機DP-C322/C262は,可動式の「ななめパネル」や「音声ガイド」などによるユニバーサルデザインに配慮した操作性の向上と,さらに大きな特長として独自のIHベルト定着方式の採用でA3カラー複合機で世界最速のウォームアップタイム15秒を達成し,待機時の定着器保温電力が不要となり大幅な省エネも実現した.本機で達成した技術について報告する.
  • 大石 登, 麻場 武, 村田 好隆, 矢治 雅夫, 小森 智裕
    2006 年 45 巻 6 号 p. 553-558
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/13
    ジャーナル フリー
    プロフェッショナルDTP(Desk Top Publishing)用途や企業内のオンデマンド出力用途の高品位•高速カラープリンタのニーズに応えるべく開発されたMICROLINE 9600PSシリーズ,MICROLINE 9800PSシリーズを紹介する.
    1ドットあたりの階調表現を世界で初めて最大32階調まで高め,オフセット印刷を超える表現を実現したVDC方式のDigital LEDヘッドを搭載し,新開発の重合トナー,新定着ユニット,等の新技術を搭載する事で,最終印刷物としても利用できる高品位印刷を可能にした.
    また機構面においても,バスケット機構,信頼性の高いマルチパーパストレイ,廃棄トナー機構,等の技術により,ユーザビリティの向上を実現した.
  • 矢加部 豊
    2006 年 45 巻 6 号 p. 559-566
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/13
    ジャーナル フリー
    一般オフィスにおけるカラー複写機は白黒機に比べ,ウォームアップタイムが長い•1枚目のコピー排出時間が遅い等,利便性に欠ける面が多く,導入が進展しなかった.DocuCentre-II/ApeosPort-IIC4300シリーズでは,生産性や画質といったカラー機としての基本性能に加え,「白黒機並の利便性」を開発段階から徹底的に追求し開発を行った.本報告ではその前身であるDocuCentre Color 400CPを含め,このヒット商品がどのような経緯で誕生し,また進化して行ったか,技術概要と共に紹介する.
  • 松本 健太郎, 高橋 裕, 網田 晃康, 上野 智志
    2006 年 45 巻 6 号 p. 567-572
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/13
    ジャーナル フリー
    imagio MP C3500/4500シリーズは共通のプラットフォームのもと開発され,高生産,高信頼性,高画質,高いアプライアンス性とユーザビリティ性を追求した,中高速デジタルフルカラー複合機である.主な特徴は以下の通りである.
    1)重合トナーを使用した高画質,高信頼性の作像システム
    2)リコー最高レベルの色ずれ精度を達成する色ずれ補正技術
    3)高生産性を達成する本体システム
    4)アプライアンス性(使い易さ)の高い給紙トレイ,ジャム処理方式
    5)ユーザビリティ(操作性)を配慮した操作パネル表示
    6)従来機比約1/4にウォームアップタイムを短縮するIH定着技術
  • 陣在 誠, 神谷 裕二, 青木 一暁
    2006 年 45 巻 6 号 p. 573-578
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/13
    ジャーナル フリー
    キヤノンが本年,7月から発売している電子写真フルカラー複合機iRC-5180シリーズは,世界初の上,下共にベルトを使用し,かつ加熱源として,IH方式を使用した,〈TBF定着器〉を搭載している.iRC-5180シリーズの基本コンセプトは,オフィスでの多様なドキュメントワークフローを快適なものにすると同時に,「高速化」,「小スペース化」,「高画質化」などの十分な基本機能を兼ね備えていることである.
    本報告では〈TBF定着器〉を中心に,投入した主要技術について概説する.
  • 市原 美幸
    2006 年 45 巻 6 号 p. 579-585
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/13
    ジャーナル フリー
    KONICA MINOLTA bizhub Pro C6500は,A4サイズで毎分65枚の生産性を持つ高速カラーMFPで,様々なオプションのインライン仕上げ機と接続する事により,フルカラーオンデマンド高速印刷システムとして多様な製本や加工まで含めた形で一貫して出力する事を可能とした.本機には軽印刷用途への適応性を高めるために,多くの技術対応が盛り込まれている.ここでは,システム構成と概要を説明し,軽印刷用途における記録用紙として特にニーズが高いコート紙への適応力を高めるために,給紙搬送,定着,画像形成等の作像プロセスにおいて,開発した技術を解説する.
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