日本画像学会誌
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46 巻, 6 号
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原著論文
  • 松井 利一
    2007 年 46 巻 6 号 p. 432-442
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/13
    ジャーナル フリー
    ウィナースペクトルに基づく画像ノイズ評価法及び協調視覚モデルに基づく画像ノイズ評価法の基本性能の違いやその適用可能範囲を明確化する為,同一評価画像に対する両画像ノイズ評価値を比較検証した.評価画像は,出力解像度一定で画点構造が異なる均一濃度モノクロパッチ画像(ディジタルカラー複写機出力画像)と画点構造が同一で出力解像度が異なる均一濃度モノクロパッチ画像(インクジェットプリンタ出力画像)であった.その結果,以下の基本特性が明らかになった.(1)出力解像度一定で画点構造が異なる画像では,主観的判断との一致性に於いて協調視覚モデル法はウィナースペクトル法よりもかなり優れている.(2)画点構造が同一で出力解像度が異なる画像では,両評価法共に主観的判断との一致性に優れているが,協調視覚モデル法の方が相関係数値は多少高い.(3)協調視覚モデル法は,画像ノイズの目立つ位置の特定も可能である.以上の結果は,協調視覚モデル法がウィナースペクトル法よりも主観的判断を広範囲に説明可能な汎用性を有することを示唆する.
  • 香川 敏章, 前田 智弘, 山地 博之, 朝倉 建治, 難波 豊明, 木田 裕士
    2007 年 46 巻 6 号 p. 443-449
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/13
    ジャーナル フリー
    カラー複合機において高速化と省エネ化を両立するには,カラー定着システムでのウオームアップ時間の短縮と温度追従性の向上が課題となる.従来のカラー定着システムでは熱抵抗の大きな定着ローラがウオームアップ時間の短縮と温度追従性の向上を阻む原因であり,我々は定着ローラの表面に効率的に熱エネルギーを供給する外部ベルト加熱定着技術を開発することで,この課題を克服した.
    具体的には,定着ローラの加熱手段として外部加熱ベルトを用いて加熱ニップ幅の拡大を図ることで,加熱能力を大幅に向上すると同時に,電力制御や温度制御の最適化を行った.
    これにより,カラー定着システムの高速化(70枚/分),省エネ化(従来比44%減),短ウオームアップ化(従来比67%減)を達成した.
Imaging Today
  • 多田 達也
    2007 年 46 巻 6 号 p. 451-458
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/13
    ジャーナル フリー
    電子写真技術の開発は,電子写真の各々のプロセスでトナー特性に起因して生じる現象を観察し,次にその現象をひきおこしているトナーの挙動を推察し,それからトナーが画像形成時において好ましい挙動を示すような構成条件を仮定し,試行錯誤をくりかえしながらトナーも含めた構成条件を合わせこむという手順で行われてきている.そのため,より開発の効率化を行い,更に高精度・高安定なシステムを構築していくためには,トナー挙動を決めているトナー物性の詳細な把握が出来ることが望まれている.従って,本稿では,トナーに望まれる電子写真特性と把握したいトナー物性に関して述べる.
  • 高野 正雄
    2007 年 46 巻 6 号 p. 459-464
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/13
    ジャーナル フリー
    一般的に粉体(粒子)の基本的な物性パラメータは,粒子径(粒度分布),形状,比表面積などが挙げられる.中でも粒子径を計測するための技術は非常に重要であり,昨今のナノテクノロジーを始めとする微細化,高機能化への追及に伴い,ナノ粒子測定のニーズの高まりと,より微小サイズの粒子に対する粒度分布測定装置が求められるようになってきている.一方,粉体材料改質のための造粒,コーティング技術の発展もめざましく,より広い粒子径範囲で測定ができる装置が望まれている.現在,粒子径を計測する手法は,測定対象の粒子の大きさによって一様ではない.また,得られる粒子径情報の意味合いも様々であり,測定者も対象粒子の大きさや目的に応じた適切な計測技術の選択が必要である.本稿では,このような現状を踏まえて,粒子径(粒度分布)に重点をおきながら,粉体粒度分布計測技術の原理や特徴および最近の動向について解説する.
  • 陳東 克彦, 桜井 智宏
    2007 年 46 巻 6 号 p. 465-471
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/13
    ジャーナル フリー
    トナー製造においては帯電性や流動性,粒子径,形状など様々な物性を制御する必要がある.各種評価項目の中でも,トナーの形状は感光体ドラムへの付着性や転写後にドラム上に残ったトナーのクリーニング性に大きく影響することから,印刷品質を改善するためにトナーの形状を評価することは重要である.しかしながら,従来の顕微鏡を用いた方法では手技による誤差や評価に長時間必要であるなどの課題があった.本稿では,画像解析法を利用したトナー形状の測定原理の概要を説明すると共に,従来の画像解析法における課題を解決する技術としてシスメックス株式会社が提案するフロー式画像解析法をトナーの測定事例と併せて紹介する.
  • 松坂 修二
    2007 年 46 巻 6 号 p. 472-477
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/13
    ジャーナル フリー
    粉体の流動性は,個々の粒子の相対的な位置の変化に関係する特性であり,付着力,静止摩擦力,動摩擦力,重力,慣性力,粒子充〓率,配位数,粒子径,粒子形状,表面粗さ,粒子密度など,影響因子が多いので,粉体の流動性を理論的に予測することは難しい.正確に流動性を評価するには,実際に使用する粉体を用いて,適切な方法で試験を行わなければならないが,粉体の流動性は,流れに関する現象のどの部分を捉えるかによって結果が異なるので,いろいろな流動性測定法が提案されている.本稿では,流動性測定法を機構別に分類し,これらの特徴,測定法および評価法を解説する.
  • 島田 泰拓, 王 亮, 砂田 久一
    2007 年 46 巻 6 号 p. 478-481
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/13
    ジャーナル フリー
    粉体層せん断力測定装置(NS-200)は粉体層の縦方向圧縮力と横方向せん断力を同時に測定することによって,様々な力学的な粉体物性を評価できる.トナー,医薬品,化粧品などに用いられる粉体原料や中間製品の流動性(内部摩擦角),付着性,成形性,応力緩和性について高精度で再現性の良い評価ができる.
  • 鷲尾 一裕
    2007 年 46 巻 6 号 p. 482-488
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/13
    ジャーナル フリー
    トナーやその構成材料の表面物性,特に微細な構造を全体的に評価するには,比表面積や細孔分布が有効である.顕微鏡などで観る直接的な情報と異なり,試料全体の平均的な情報を効率よく得ることができる.比表面積や細孔分布を求める代表的な手法が,ガス吸着法と水銀圧入法である.本稿では,この2つの手法の概要,解析法,その適用限界などを解説する.
  • 上原 利夫
    2007 年 46 巻 6 号 p. 489-494
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/13
    ジャーナル フリー
    トナーまたはキャリアの単位重量に対する静電電荷量の測定(q/m測定)は電子写真現像剤の重要な測定項目である.簡便な吸引型測定システムは二成分及び一成分現像剤のq/m測定に極めて高い汎用性がある,本測定装置はファラデーカップを二系統有し,二成分現像剤ではトナーとキャリアの其々の電荷量を同時測定できる.更に個別のファラデーカップからなるノズルユニットは最適な操作性が確保できるように設計されており,一成分トナーでは帯電ローラー,或いは感光体から直接トナーを得ることができる.本装置は簡便で扱い易く,研究開発及び生産現場において高精度q/m測定を容易に実現できる.
  • 島田 泰拓, 王 亮, 砂田 久一
    2007 年 46 巻 6 号 p. 495-500
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/13
    ジャーナル フリー
    微小粒子間付着力測定装置PAF-300Nは1個粒子を対象とする高精度な粒子付着力測定装置である.接触針を用いて,微小粒子間(5Fdm以上)或いは平面と粒子の付着力を直接に測定することが可能となる.遠心法付着力測定法は遠心分離により,微小粒子の平面や曲面に対する平均付着力を測定する方法である.本稿では微小粒子の付着力を評価する高性能化の測定手段を解説し,その応用用途の一例を紹介する.
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