日本画像学会誌
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46 巻, 1 号
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原著論文
  • —片側電極上に紙が配置された場合—
    周 曄, Ketepe Kankanamalage Chamili KUMAR, 星野 坦之
    2007 年 46 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    静電気的に粒子を制御する技術の応用を発展させるために,電界中での粒子の挙動を観察することは重要である.この論文では,電圧を印加した平行平板電極間での導電性粒子の挙動が高速度カメラで観察されている.片側電極上に紙を敷くと,導電性粒子の電極間の上下運動において,紙側で粒子の停留が観察された.これは,紙の導電性が金属に比べて小さいので,導電性粒子の電荷の極性が変わり,飛翔可能となるのに時間を要するためと考えられる.その停留時間は印加電圧が増大するにつれて,短くなることが見出された.この電圧によって停留時間が変化する現象が,粒子の電荷が飛翔に必要な電荷に到達する時間と印加された電界強度の関係から説明されている.
  • 井出 収, 龍岡 静夫
    2007 年 46 巻 1 号 p. 9-13
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    電子写真プリントの高画質化において露光像の高精細化は重要である.レーザスキャナを使った場合,感光体面に結像するビームの小径化が検討されている.小径化には回折を抑制する必要があり,ビームの収束角を広げることになる.しかし収束角を広げると焦点深度が浅くなるため,感光体面全域にわたってビームを結像させることが難しくなる.また構成部品の取り付け精度の要求も厳しくなる.本報告では,スキャナ光学系における回折と収差を考慮して感光体面上のビーム形状を算出するシミュレーションをおこなった.このシュミュレーションを適用して,ビーム形状に対する開口のサイズや形状やの影響を議論した.
  • 中山 信行, 岡本 英樹, 町田 義則, 酒巻 元彦
    2007 年 46 巻 1 号 p. 14-19
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    紙媒体の特長と,デジタル情報を扱う機能をあわせ持つ書換え可能な表示媒体のひとつである絶縁性トナーを用いた摩擦帯電型トナーディスプレイに関する三次元数値シミュレーション手法を提示した.本手法による数値シミュレーション結果をL8直交空間で実験結果と対比し,相関係数0.83の定量的精度を得た.また,この検討過程で,表示特性に電極間隔や電極表面に設けた誘電膜の材質が寄与し,特に誘電膜の付着特性の影響が大きいことを示した.さらに,パッシブ駆動プロセスのシミュレーションから,この駆動方法における表裏面での表示画像品質の差異を良好に再現できることを検証した.これらの結果から,本手法がトナーディスプレイの表示特性を検討する有力な手法となることを示した.
  • 橋本 雄一, 石山 竜典, 宮町 尚利, 湯浅 俊哉, 内藤 泰裕, 西田 俊一郎, 浅野 正, 土屋 太祐
    2007 年 46 巻 1 号 p. 20-24
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    最近,我々はバイオ技術を用いたインクと紙に加え,電子写真で広く用いられている放電技術を組み合わせた新規のリライタブルプリンティングシステムを開発した.インク色素の消色は,放電で生成した酸化性ガス(オゾン)による色素分子の二重結合の開裂であり,酸化性ガスの生成方法としてコロナ,沿面,誘電体バリア放電という異なる放電処理における消色性能を調べた.オゾナイザープレートを用いた沿面放電処理は,コロナ放電処理に比べてオゾン生成量が約2倍であり,短い放電域暴露時間で色素の消色が可能となった.また放電処理中に光照射を行うと消色プロセスが促進されることが明らかとなった.一方,誘電体バリア放電に用いる誘電体材料は,比誘電率及び二次電子放出係数が大きい材料が高い消色性を示した.更に,誘電体バリア放電を用いれば消色時間が1秒以内の高速消色プロセスが可能であることが明らかとなった.
  • 須賀 淳, 竹内 学, 菅波 敬喜, 小口 寿彦
    2007 年 46 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    Trianilino-triphenylmethane(TATPM:正帯電型CCA (P))をスチレン-アクリル樹脂系モデルトナーTの表面に被覆したTP,あるいは球形フェライトキャリアCの表面に被覆したCPのそれぞれと,キャリアCあるいはトナーTとを混合して2種類の二成分現像剤TP-C,およびT-CPを調整した.これらのブローオフ帯電量を測定したところ,トナーTPあるいはトナーTはいずれも正帯電性を示し,帯電量はTATPMの被覆量の増加とともに増加した.振とう混合後,TP-C混合体から採取したCの表面,あるいはT-CP混合体から採取したTの表面上には,微量のTATPMが検出された.これらの結果をもとに,両混合体におけるトナー帯電では,混合操作によりTPあるいはCPの表面から剥離した正帯電のTATPM微粒子が正電荷のメッセンジャーとして働いていることを述べた.
Imaging Today
  • 三宅 洋一, 中川 慎司
    2007 年 46 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    In recent years, many kinds of digital imaging systems have been developed and achieved high accurate color reproduction and image quality. Color reproduction of these imaging systems are based on the three primary color mixture, namely additive color mixture RGB and subtractive color mixture CMY. In this paper, those conventional color reproduction and spectral based color reproduction are described.
  • 岩城 康晴, 蔵本 昌之, 卜部 仁, 杉浦 博明
    2007 年 46 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    近年,シーン画像からの画像処理ワークフローを構築する動きが盛んである.本稿では,撮影シーンの測色画像を取得できるカメラシステムを開発し,そのシステムを使った一般シーンの色の存在範囲に対する調査結果,及びシーン画像からの画像再現方法の検討について報告する.
  • 川田 育孝
    2007 年 46 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    デジタル機器によるカラー画像出力環境は急速に普及しカラーモニタ,カラープリンタ等の機器により誰もが簡単に色を確認できる環境になってきた.そして印刷物作成ワークフローにおけるカラー入出力機器のデジタル化は,印刷業界に対して色に対する新たな問題や要求をもたらしている.こうした印刷物作成ワークフローにおける色の問題を解決すべく現在制定されている印刷の色標準について,その必要性や現状を紹介するとともに,印刷物に対する印刷発注者からの新たな要求に応えるべく実施されている各種広色域再現技術(高濃度印刷,高精細印刷,多色印刷,広色域インキ,特色インキ)ついて各々の特徴と色再現域について解説する.
  • 笹沼 信篤
    2007 年 46 巻 1 号 p. 50-55
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    電子写真方式プリンタにおいてモノクロからフルカラーへの移行比率が年々増加している.フルカラー化は印刷・デザインの分野から広がり,事務機分野においても,フルカラーシングルファンクションプリンタのみならず,多機能化したフルカラーマルチファンクションプリンタへと拡大しており,各プリンタメーカーは主力製品としてラインナップをそろえるに至っている.本報では,フルカラー化にともなう電子写真の特徴と最近の課題に関する技術対応についてまとめた.
    電子写真の色創りのポイントを大別すると,「色安定性」,「色空間確保」,「色再現性」であり,用紙の使用量で先行するオフセット印刷における要求仕様を一つの基準としながら,写真調出力やパーソナルコンピュータで扱うモニター表示で観察する静止画さらには動画といったマルチメディア系の画像データへの対応まで考慮していかなければいけない.
  • 北岡 弘至
    2007 年 46 巻 1 号 p. 56-60
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    広告における画像処理,デジタルレタッチとはフォトショップ等のアプリケーションを使用して写真原稿等を修正,色変換や変形等の加工,合成をする事で,近年広告やファッション写真等では必須の作業となっている.パソコンとアプリケーションの進化により個人レベルでの作業も出来るようになり,今まで製版現場で対応していた色のコントロールまでデザイナー達の手におりてきた.それゆえに「モニターで見ていた色と違う」「出力したものと印刷の刷り上がりの色が違う」と言った問題も多く見受けられる.実際の場面では,場所によって環境は千差万別で,蛍光灯,白熱灯,自然光,モニターのメーカー等々,見る場所,見るものによって人が感じる色は違って見える.その問題をどう解決していくか? より自然に,より美しい画像を表現するために,自然に違和感無く修正合成し,色のトーンをコントロールし,写真の粒子をコントロールする事によって,人間の記憶にあるリアリティを追求していく.そして,実際のデータとモニター上の色,そして色見本となるプルーフまでのカラーマネージメントをおこないクライアントからデザイナーまでのイメージを統一し,最終行程である製版印刷の現場に渡していく翻訳者としての仕事.それが専門職としてのデジタルレタッチャーである.
  • 谷添 秀樹
    2007 年 46 巻 1 号 p. 61-67
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    イメージングデバイスであるスキャナー,デジタルカメラやプリンタにおいては,従来はsRGBに準拠した製品が主流であったが,sRGBを超える拡張色空間に対応したものが既に製品化されている.
    一方,近年のディスプレイ関連部材とその応用技術の進歩により,従来困難とされたsRGBを超えるディスプレイの広色域化が可能となり,広色域ディスプレイの開発・製品化が進んでおり,ワークフローにおける具体的な応用についてのスタディも行われている.
    本稿では,上記広色域ディスプレイの開発の背景,等色関数との関係,カラーマネジメント上の課題等の技術解説に加え,現在開発されている広色域ディスプレイの事例や,応用上の課題についての概要を述べる.
  • 田嶋 信介, Dan BLONDAL
    2007 年 46 巻 1 号 p. 68-73
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    超高解像度CTP方式でのイメージングが進展するのに伴い,マイクロドットの安定した出力が可能となり,FMスクリーンでの印刷が世界的に普及し始めました.本稿では,各種のFM, AM, ハイブリッドスクリーニング方式の特徴,長所と短所,印刷に対するメリットなどを考察します.
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