日本画像学会誌
Online ISSN : 1880-4675
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47 巻, 1 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
原著論文
  • 保坂 靖夫
    2008 年 47 巻 1 号 p. 3-9
    発行日: 2008/02/10
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    人の目の視覚特性は,アナログテレビ開発と並行して従来から詳細に調べられてきた.一方,記録紙上に[1,0]2値の記録ドット集合で画像を形成するカラープリンターやデジタルカラー複写機などの静止画像に対する視覚特性とその視覚特性を用いた画質に関する研究報告がなく,高画質化は銀塩写真をモデルにしてドットを微細化することで行われてきた.しかし,微細化に伴う画像メモリの増加やカラー演算処理の高速化などハード面での課題が多くなっている.本報告では,記録ドットをどこまで微細化すれば良質な画像として人が認識するかなど理論的目標値を明らかにするため,人が識別できる減法三原色のドットの大きさと空間周波数との関係を測定で求めた.また,二次元フーリエ級数に従来の視覚特性を導入して人が認識しているドットの再構成画像を作成し,新たに測定した記録ドットに対する視覚特性と比較した.その結果,人が視覚系を通して微細ドットを観測すると濃度に変換され,その濃度は従来から知られている識別可能な最小濃度と一致することを明らかにした.
  • 保坂 靖夫
    2008 年 47 巻 1 号 p. 10-17
    発行日: 2008/02/10
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    人の目の視覚特性はアナログテレビの開発と並行して詳細に調べられてきたが,デジタルカラー複写機やプリンターなど[1,0]2値の記録ドットで構成した静止画像に対する視覚特性の調査がなく,静止画像の画質は人の視覚的感覚量で判断されてきた.ここでは,ドットで記録したデジタル静止画像に対して人が識別できる最小ドットと空間周波数との関係を明らかにしたデジタル視覚特性を用い,人が認識しているドット画像を二次元フーリエ級数と従来の視覚特性から再構成した各種ディザパターンとの画質を比較調査した.さらに,分散型または集中型ディザパターンが中間調に及ぼす影響,記録ドットの断面濃度分布の効果,および誤差拡散法が画像に及ぼす影響などについて示した.
  • 成 紅梅, 星野 坦之
    2008 年 47 巻 1 号 p. 18-23
    発行日: 2008/02/10
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    画像システムにおいて,輪郭の表現は画質に大きな影響を与える重要な要素である.輪郭の扱いは視覚系でも重要であり,輪郭がどのような条件で知覚されるかを把握することは,意義が大きい.本研究では,段幅,段差を変えた階段状濃度変化パターンを作成し,そのパターンの段差を知覚できるかどうかの主観評価を自由観察条件から3mまでの7種の観察距離,2段階の明るさで,行った.それぞれの条件で,輪郭または段差を知覚できる比率を求めた.その比率は濃度の段差より,段幅が大きな影響を与えることが得られた.段差知覚の観察距離依存性を人間の視覚の空間周波数特性から考察し,視覚特性により処理された画像の段幅に濃度一定のところがなくなると段差と知覚しなくなることが得られた.
Imaging Today
  • 岸本 章弘
    2008 年 47 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 2008/02/10
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    1990年代初期の情報技術の進化とともに「オルタナティブ・オフィシング」として欧米から始まったオフィス革新.非定住型の多様なワークスタイルの支援に始まり,ビジネスモデルの変革を支えるインフラとしてのワークプレイスへの移行,そして知識創造を支援する高度な支援環境構築の取り組みに向かうワークプレイス革新の流れを概観し,次世代デザインの方向性についても言及する.
  • 戸崎 幹夫
    2008 年 47 巻 1 号 p. 32-37
    発行日: 2008/02/10
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    インターネットの普及に代表されるITの急速な進展は,日本企業の活動に大きな影響を与えている.ITの進化,さまざまな制度・慣習の変化,国際大競争の真只中にあって,産業全体がモノづくりを中心としたものから,膨大で多様な情報や知識から「新たな知」を創造する構造に変革をはかっていくことが必要となってきている.「新たな知」をベースに,価値の高い製品やサービスを提供していくこと,またそのプロセスでITをツールとして活用していくことの重要性が高まってきており,そのことが我が国の産業競争力の強化や新産業の創出に結びつくと期待されている.こうした背景を受けて,社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会では,次世代オフィスのあり方を検討し,その結果を「次世代オフィスコンセプトの提案(Ubiquitous workware and Collaboration)」としてとりまとめた.
  • 齋藤 敦子
    2008 年 47 巻 1 号 p. 38-45
    発行日: 2008/02/10
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    この20余年でワークスタイルは大きな進化を遂げた.その背景にはビジネス環境の変化とテクノロジーの進化があげられる.1980年代前後におこった情報革命と金融革命によって,多くの企業はビジネスプロセスの転換を迫られ,またマーケットニーズは成熟社会の到来により,モノの価値からコトの価値へと移行しつつある.働く個人が知識を創造し,新しい商品やサービスを生み出していくためには,効率性と創造性を両立させたワークスタイルと組織マネジメントが重要となる.このようなワークスタイルを支援するためにオフィス環境はどうあるべきか.先進事例を参考にしながら,未来のオフィス像を考察する.
  • 山岸 英明
    2008 年 47 巻 1 号 p. 46-52
    発行日: 2008/02/10
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    大~小規模オフィス向けセンタープリンタとして,また販促用途や印刷業用途として,社会環境やビジネス環境の変化に柔軟な対応を可能としたORPHIS HC5500を紹介する.
    ORPHIS HC5500は,インクジェット技術の特徴を活かし,A4横サイズの紙に片面毎分120枚(120ppm),両面毎分48枚(96ppm)のプリント速度と,A4判1枚2.5円(A4片面CKMY各色5%印字率時)という低ランニングコストを実現したライン型インクジェットプリンタである.本稿では,そのORPHIS HC5500の機能を紹介するとともに,搭載している主要な技術について解説する.
  • 美才治 隆, 今井 力
    2008 年 47 巻 1 号 p. 53-59
    発行日: 2008/02/10
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    C.F.カールソンが電子写真プロセスの主流となるカールソンプロセスの発明に成功して70年が経つ.
    オフィスワーカーの業務効率化を図るという要求から生まれた電子写真は,デジタル化を含む環境変化の中で様々な技術開発が行われ,オフィス環境では他の作像方式を凌駕し圧倒的なポジションを得ている.そして,現在においても,ソリューションを実現する必要不可欠な手段として更なる展開が進められている.また,デジタルカラー複写・プリンタアーキテクチャーである4ドラムタンデムシステムと中間転写システムの技術獲得により,印刷市場への積極的な展開も図られる技術として進化している.
    本稿では,電子写真の歴史を振り返り,他作像方式との比較や電子写真を革新するための技術,更には電子記録との関係を整理することで,オフィス視点を中心に電子写真の可能性と展開をまとめてみた.
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