日本画像学会誌
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47 巻, 5 号
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原著論文
  • 鄭 京模, 管野 琢也, 小関 健一, 日暮 久乃, 江藤 桂
    2008 年 47 巻 5 号 p. 414-418
    発行日: 2008/10/10
    公開日: 2008/10/13
    ジャーナル フリー
    低温定着への応用を目指す電子写真システムの一部として,マイクロカプセルトナーの評価を行う.測定方法として,EAトナーとカプセルトナーを比較しながら評価を行った.測定内容としてはすべてのサンプルトナーに対してDSCとTGAの測定を行う.そして,幾つかのレオロジー特性を評価するため,サンプルトナーに対して流動特性を評価する.特に,測定温度やメラミン膜の影響について検討した.また,流動性についても評価を行った.
    トナー同士の凝集が起らないように粒子表面をマイクロカプセル化することは有効であると判断される.周波数及び歪み依存性の測定において,メラミン膜の存在はトナーに弾性的な性質を付与するので,カプセルトナーの方がEAトナーより高い弾性率や損失正接の数値を示した.更に,流動性の結果においてもカプセルトナーは良い結果を示した.
  • 江 松, 黄 敬〓, 星野 坦之
    2008 年 47 巻 5 号 p. 419-424
    発行日: 2008/10/10
    公開日: 2008/10/13
    ジャーナル フリー
    電子写真記録において,画質に大きく影響を与えるものにコロナ放電の安定・均一性がある.ここでは,放電安定性に着目して,温度・湿度の放電への影響,および放電初期の立ち上がり特性について研究されている.放電状態で相対湿度が上昇すると,正負放電とも放電が抑制されることが観察された.これは相対湿度の上昇によるイオンのモビリティの減少が主な原因と論じられている.正負放電とも,放電状態で温度が上昇すると,放電が促進されることが観察された.これは,電子エネルギーの増大によるイオン化の促進のためと解釈されている.放電の初期特性については,正放電では,放電直後から一定電流を流すのに必要な電圧が下降することが観察された.負放電は,放電直後に,一定電流を流すのに必要な電圧が一時下降を示し,その直後上昇することが観察された.これらは,放電域の温度上昇による放電の促進と,負放電の場合はオゾンによる放電の抑制のため生じていると論じられている.
解説
Imaging Today
  • 小野 記久雄
    2008 年 47 巻 5 号 p. 433-438
    発行日: 2008/10/10
    公開日: 2008/10/13
    ジャーナル フリー
    液晶ディスプレイは冷陰極管(CRT)の市場であったデスクトップモニタを置き換え,さらにテレビ用途でもその市場シエアを拡大している.液晶として困難と思われた視野角特性を改善することでこれを実現したのが,インプレーンスイッチング(IPS)技術を用いた液晶ディスプレイである.IPS開発の歴史をひも解き,この進化と現在のテレビ用IPS液晶ディスプレイの視野角および動画性能を解説する.
  • 冨沢 一成
    2008 年 47 巻 5 号 p. 439-444
    発行日: 2008/10/10
    公開日: 2008/10/13
    ジャーナル フリー
    近年,液晶ディスプレイの高色再現技術としては,主にLEDバックライトの液晶ディスプレイや4原色以上の原色を用いた多原色液晶ディスプレイなどが提案されている.本件では,色再現の評価指標として物体色を用いその包含率の評価をおこない,LEDバックライト液晶ディスプレイがほとんどの物体色を包含できることを示し,3原色ディスプレイの一つの到達点であることを紹介する.更に,多原色ディスプレイとして5原色(RGBYC)ディスプレイを提案し,5原色のディスプレイが光学的に最も効率よく物体色を包含する手段の1つであることを示す.多原色液晶ディスプレイは,LEDバックライト液晶ディスプレイに並ぶ,将来性のある広色再現技術であるといえる.
  • 関谷 光信
    2008 年 47 巻 5 号 p. 445-451
    発行日: 2008/10/10
    公開日: 2008/10/13
    ジャーナル フリー
    有機ELディスプレイは自発光で高画質,超薄型・軽量で低消費電力化の可能性を持つディスプレイとして期待されている.これまで車載用ディスプレイや携帯機器用ディスプレイとして使われてきたが,当社では2007年11月に11型の有機ELテレビ(XEL-1)を発売し,有機ELディスプレイのテレビ用途としての先鞭をつけた.
    本稿では当社が開発している有機ELディスプレイ技術と,その優れた画質性能を紹介するとともに,今後の有機ELディスプレイの大型化に向け開発している技術に関しても紹介する.
  • 松枝 洋二郎
    2008 年 47 巻 5 号 p. 452-460
    発行日: 2008/10/10
    公開日: 2008/10/13
    ジャーナル フリー
    次世代フラットパネルディスプレイの本命技術として期待されている有機ELディスプレイは,優れた色再現範囲,100万対1以上の高いコントラスト比,非常に速い応答速度,広い視野角,バックライト不要によるディスプレイモジュールの超薄型化等,多くの長所がある.しかし,有機ELディスプレイがLCDとの競争に打ち勝つためには,解決しなければならない三つの課題がある.第一に,大面積のガラス基板に適用できるTFT技術が必要である.単純な素子構造で十分な信頼性を確保しなければならない.第二に,大面積のガラス基板に適用できる有機ELパターニング技術を開発しなければならない.第三に,有機EL素子の性能を最大限に引き出し,製品寿命を延ばす駆動技術を開発しなければならない.本論文では,これら三つの課題を解決するために,あるいは新たな応用商品を生み出すために,韓国で開発されている有機ELディスプレイの最新技術動向について述べる.
  • 川原 功
    2008 年 47 巻 5 号 p. 461-467
    発行日: 2008/10/10
    公開日: 2008/10/13
    ジャーナル フリー
    1990年代後半の,日本メーカーによる42型プラズマディスプレイパネルを用いた家庭用テレビの投入をきっかけに,今日の民生用大画面薄型テレビの本格普及が始まったと言っても過言ではない.その後,今日に至るまで,プラズマディスプレイと液晶ディスプレイは,大型化・低価格化が一気に進み,今日の隆盛を迎えている.
    本稿では,プラズマディスプレイの画質面を中心とした開発動向について触れ,あわせて,フラットディスプレイの開発によって触発されたと言える「ディスプレイの表示性能を見た目どおりに正しく評価しようとする新しいアプローチ」についても概説する.
  • 藤掛 英夫, 山本 敏裕, 時任 静士
    2008 年 47 巻 5 号 p. 468-472
    発行日: 2008/10/10
    公開日: 2008/10/13
    ジャーナル フリー
    次世代表示技術として,多様な視聴形態を可能とするフレキシブルディスプレイが注目されている.筆者らは,薄くて軽く曲げられる動画用フレキシブルディスプレイを実現するため,プラスチック基板を用いた有機電界発光(EL)素子,液晶素子,それらを駆動する有機薄膜トランジスタの研究を進めている.フレキシブル有機ELでは,高い発光効率が期待される燐光性高分子を発光層に用いた.一方,フレキシブル液晶では,基板間隔を保持する高速液晶/ポリマー複合膜を形成した.また,双方の表示デバイスを駆動するため,低電圧動作の有機薄膜トランジスタを試作した.それらの有機トランジスタをベースとして,有機ELおよび液晶を用いたアクティブマトリックス駆動のフレキシブルカラーディスプレイを開発した.
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