本研究では,輝度,色度のJust Noticeable Difference(JND)を一辺とする立方体によりディスプレイの色再現範囲を分割することにより,ディスプレイの色再現範囲内に含まれる,人が識別可能な色数によりディスプレイの色再現能力の評価を行う方法を提案した.
最初に,最新の液晶ディスプレイを用いて,輝度,色度のJNDを検証した.
次に,識別可能な色数に及ぼす,コントラスト,最大輝度,色域の影響を明確化した.それによると,コントラスト3000:1,最大輝度450cd/m
2,さらに,BT. 709の3原色点を有するディスプレイの識別可能な色数は,40cd/m
2付近で,65000色,総数は,3271万色であった.また,コントラスト,最大輝度,色域が,識別可能な色数に及ぼす影響を調べ,ディスプレイの物理特性をパラメータにした色再現能力評価が可能であることを示した.
最後に,本提案手法を用いて,ガンマ特性,ビット深度が識別可能な色数に及ぼす影響を調べた.その結果,ガンマ2.2,3000:1, 450cd/m
2,BT. 709の3原色を持つディスプレイにおいて,色再現範囲をJNDで分割した全ての立方体に稠密に色を表示するためには,12bit必要であることを明らかにした.
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