日本画像学会誌
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48 巻, 3 号
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原著論文
  • Phichit KAJONDECHA, 星野 坦之
    2009 年 48 巻 3 号 p. 144-151
    発行日: 2009/06/10
    公開日: 2009/06/13
    ジャーナル フリー
    異なるハーフトーンアルゴリズムを組み合わせ,それぞれの特徴を利用する方法は,高品質のハーフトーン画像を作成する試みのひとつである.異なるハーフトーン処理が画質に影響を与える重要な要因は,異なるハーフトーン領域間に現れる輪郭である.本稿では,異なるハーフトーン周波数間の輪郭を知覚する条件を求めた.周波数スペクトルにおける差が小さいとき,異なるハーフトーン周波数間の輪郭が認識しづらいということがわかった.ハーフトーン周波数が,徐々に変化し,偽輪郭を知覚しにくい新しいハーフトーンのアルゴリズムを提案した.提案したハーフトーンアルゴリズムは,クラスタドットディザリングアルゴリズムに基づき,一定の最小ドットサイズを生成するものであり,良い主観評価値を得た.
  • 情野 國城, 平原 秀昭, 小沼 崇明, 吉田 一郎, 海江田 省三
    2009 年 48 巻 3 号 p. 152-161
    発行日: 2009/06/10
    公開日: 2009/06/13
    ジャーナル フリー
    フタロシアニン顔料が絶縁性バインダー樹脂中に比較的低濃度で分散された電子写真単層有機感光体は,一般に高ガンマ感光体と称されており,インダクション効果を示す.x型無金属フタロシアニン顔料—ポリエステル樹脂系の高ガンマ感光体の光減衰特性と暗減衰特性は,構造的トラップを考慮した理論的モデルによって良く説明できた.また,良好な電荷受容性と高ガンマ特性とが構造的トラップに起因していることが明らかになった.さらに,シミュレーション計算によると,キャリア輸送過程において構造的トラップによるキャリアトラップが生じるにもかかわらず,デジタル画像露光に対する光応答性が損なわれることはない.
  • 松坂 修二, 白井 聖, 細尾 康元, 安田 正俊
    2009 年 48 巻 3 号 p. 162-169
    発行日: 2009/06/10
    公開日: 2009/06/13
    ジャーナル フリー
    振動細管法によってトナーの流動性を評価した.使用した26種類の模擬トナーは,7μmの樹脂粒子に8~100nmのシリカ粒子を異なる条件で加えて調製した.流動性試験は振動周波数を固定し,振幅を一定の割合で100秒間増加させて,振動細管から排出されるトナーの質量を1秒間隔で自動計測した.トナーの流動安定性を評価するため,各模擬トナーに対して測定を7回繰り返した.トナーの流動性の基本的な特徴は,総排出量および流動開始加速度によって評価した.また,質量流量と振動加速度の関係を表す流動性プロファイルを用いて,トナーの流動性の特徴を詳細に調べた.一連の実験から,振動細管法は短時間で繰り返し試験が行えること,およびトナーの調製条件の僅かな違いに基づく流動性の変化を評価できることが分かった.
  • Kazuya UTA, Yohei SATO, Osamu YAMATE, Jin MIZUGUCHI
    2009 年 48 巻 3 号 p. 170-176
    発行日: 2009/06/10
    公開日: 2009/06/13
    ジャーナル フリー
    We have previously investigated the origin of the unusual high thermal stability of benzyltributylammonium-4-hydroxynaphthalene-1-sulfonate used as a charge control agent(P-51 : Orient Chemical Industries, Ltd.)from the standpoint of the X-ray structure analysis. In anions of P-51, we found chains of OH…O intermolecular hydrogen-bonds between the OH group of one anion and the sulfonate O atom of the neighboring one. The present hydrogen-bond network is found to impart a polymer-like stability to P-51. In the present investigation, we extended our studies to seven derivatives of P-51, in which the cation remains the same while the anion part is modified. Among these, five derivatives are solid and possess various OH…O hydrogen-bond networks in anions : dimer, or one-dimensional, or two-dimensional network. These results lead us to conclude that the hydrogen-bond network is responsible for the high thermal stability of P-51 derivatives. On the other hand, the remaining two derivatives are found to be liquid at room temperature, probably because of the lack of intermolecular hydrogen bonds.
解説
  • 伊藤 善邦, 太田 光弘, 飯田 育
    2009 年 48 巻 3 号 p. 177-182
    発行日: 2009/06/10
    公開日: 2009/06/13
    ジャーナル フリー
    キヤノンは,2006年よりデザイン・商業印刷市場への本格参入を計るためimagePRESSシリーズ製品を順次発売してきた.この中で2008年11月発売のデジタルカラープリンターimagePRESS C1+は,新規透明トナーを採用し電子写真の新しい画像表現を可能にし,新たな用途開拓に貢献している.imagePRESS C1+は,コート紙のグロスとほぼ等価な「フラットグロス」再現に加え,クラス初の透明トナープロセスを搭載し,透明トナーによる光沢コントロールと透明トナーの使用エリアの使いこなしにより付加価値のある画像表現を可能にした.imagePRESS C1+では,デザイン・商業印刷市場の“プラスワン”画像要望にこたえるために,市場調査から,透明トナープロセス搭載のための新技術開発を行ったので,ここに紹介する.
Imaging Today
  • 吉田 和司
    2009 年 48 巻 3 号 p. 184-191
    発行日: 2009/06/10
    公開日: 2009/06/13
    ジャーナル フリー
    私たちの身のまわりでは,プリンタ,複写機,ATMなど,紙を取り扱う装置があふれている.これらの装置は主に紙の繰り出し機構,搬送機構,集積機構から構成されている.本解説では,紙の繰り出し,搬送,集積の各機構や解析技術について紹介する.また著者らが開発してきたATMに関する機構や解析技術についても紹介する.
  • 池田 太郎
    2009 年 48 巻 3 号 p. 192-197
    発行日: 2009/06/10
    公開日: 2009/06/13
    ジャーナル フリー
    キヤノンはPOD市場に本格的に参入することを目的として2007年にフルカラープリントシステムであるimagePRESS C7000VPを,2009年には白黒プリントシステムであるimagePRESS 1135を発売した.これらの製品にはキヤノンとしてはじめてエア給紙技術を搭載している.今回はこの技術について詳しく紹介する.
  • 服部 真人
    2009 年 48 巻 3 号 p. 198-205
    発行日: 2009/06/10
    公開日: 2009/06/13
    ジャーナル フリー
    POD電子写真システムは,「小ロット・短納期」「バリアブル印刷」に対応することが特長であり,近年は製本分野まで応用範囲を拡大している.そのワークフローを最適化するのが,プリンターと製本機を連携させ,データ入稿から製本まで一貫自動処理を行うインラインシステムである.コニカミノルタでは,一般に製本工程が複雑な,くるみ製本機までインラインシステムに組み込んだ.本稿では,「くるみ製本機PB-501」を取り上げて,インライン型オンデマンド製本システムに関する技術について解説する.
  • 城戸 衛
    2009 年 48 巻 3 号 p. 206-216
    発行日: 2009/06/10
    公開日: 2009/06/13
    ジャーナル フリー
    ここ数年,複写機や多機能型プリンタの用紙搬送技術は目覚ましい進歩を遂げ,特に用紙搬送の信頼性につながる紙詰まり(ジャム)や斜め走行(スキュー)はシミュレーションも使いながら大きく改善されてきた.しかし,信頼性改善や低コスト化だけでなく,高画質カラー印刷への適用,用紙搬送に伴う騒音低減,機外への漏れ音と機内温昇間の改善など,将来に向けたいくつかの重要な問題が残っている.
    最終的に本解説では,用紙搬送の基本原則の解説に止まらず,システム全体の最適設計のためには用紙搬送に伴う機内温昇や機外漏れ音といった二次障害の解決が必要である点を述べている.加えて,用紙搬送における数値解析を活用したいくつかの研究事例を解説する.
  • 牧 恒雄
    2009 年 48 巻 3 号 p. 217-222
    発行日: 2009/06/10
    公開日: 2009/06/13
    ジャーナル フリー
    当社は本格的ビジネス向けのインクジェットプリンターGELJET IPSiO GX3000/GX5000を開発した.このプリンターは用紙の搬送にインクジェットプリンターとしては珍しい静電吸着搬送方式を採用している.この搬送方式を採用することによって,普通紙高画質/高速両面搬送/余白領域低減を実現している.この静電吸着方式は,用紙に対する帯電が不要なことと,用紙の表面抵抗に因らない安定した吸着力を得ることができる特徴を持っている.
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