日本画像学会誌
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48 巻, 5 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
原著論文
  • 石川 安則, 上平 員丈, 谷中 一寿
    2009 年 48 巻 5 号 p. 384-392
    発行日: 2009/10/10
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
    照明光に透かし情報を含ませて絵画や印刷物など実物体の被写体に照射することにより,被写体の画像情報とともに透かし情報を埋め込む方式を提案する.本方式によれば,電子透かしを埋め込むことが困難であった美術館の古典画などの非電子画像に対し,何ら物理的な改変を加えることなく,撮影された画像には不可視の電子透かし情報が埋め込まれる.離散コサイン変換(DCT)を用いて,8×8画素毎に最高周波数成分の極性に従って1ビットの情報を埋め込んだ照明光を被写体に照射し,透かし情報を抽出する検証実験を行った.照明光の輝度および照明光への透かし情報の埋め込み強度を変化させ,検出率の評価と,透かし埋込みによる画像品質劣化の評価,およびJPEG非可逆圧縮に対する耐性評価を行った.この結果,品質劣化が認めにくい程度の埋め込み強度においてほぼ100%に近い検出率が得られ,これより本方式の有効性を示すことができた.
  • 李 凱, 星野 坦之
    2009 年 48 巻 5 号 p. 393-397
    発行日: 2009/10/10
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
    トナー雲を開口電極間に加える電圧により制御する新しい記録法であるTCB(Toner Cloud Beam)は簡単な機構で装置を実現できる可能性がある.本研究ではトナー雲制御の支配要因を把握し,ドット形成条件の理解を深めることを目的として次のような実験を行った.上方電極,1対の開口電極,下方電極で構成されている記録部の各電極それぞれに電圧を印加し,トナーの開口電極の通過特性を調べた.トナーの通過には開口電極間の電界が開口電極の上部,下部の電界と同方向の場合,及び逆方向である値以上の場合の2つのモードがあることがわかった.さらに,トナーが通過しない状態からトナーが通過する状態にパルス的に切り替えて,形成されるドットを観察した.
Imaging Today
  • 木野内 聡, 高木 修
    2009 年 48 巻 5 号 p. 399-405
    発行日: 2009/10/10
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
    昨今,電子写真装置の環境対応技術としてIH(Induction heating)定着技術が注目されている.IH方式は従来方式よりも効率が良く,電力を自由に可変できる等の多くの特長を有し,その結果ウォームアップ時間短縮などの効果も期待できる.
    IH定着装置は2000年に当社がはじめて製品搭載し,それ以降各社で製品化され,応用展開されている.
    IH定着技術の開発推移として,以下の2つの技術に分類することができる.
    (1)加熱効率を向上させるための技術…IHコイルの最適構成・最適配置,被加熱物(ローラ,ベルト)の構成とインバータ回路開発
    (2)高画質化を達成する技術(温度分布均一化技術)…様々な特性を持つコイル,被加熱物の組み合わせとその制御方法
    上記の技術を中心に,今後もIH定着技術によるさらなる省エネ化が期待される.以下に詳細を述べる.
  • 安田 恵三
    2009 年 48 巻 5 号 p. 406-410
    発行日: 2009/10/10
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
    リコーの定着システムの省エネ技術である熱ローラ定着方式によるQSU技術は,キャパシタ技術との融合によるHYBRID QSU技術を経て,カラー用熱ベルト定着方式にIH加熱を導入したカラーQSU技術へと発展している.
    本稿では,このQSU技術についてその構成と詳細を紹介する.
  • 大塚 康正, 奥田 幸一
    2009 年 48 巻 5 号 p. 411-416
    発行日: 2009/10/10
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
    オンデマンド定着の開発が始まって,20年以上の歳月が経った.当初モノクロの低速機から始まった技術であるが,その後高速機,カラー機へと応用を広げてきている.その間,ローラ定着では見られなかった技術の蓄積がなされた.本稿では,最初のフィルム定着器であるSURFがODFへと変化し成長していく歴史を概観し,固有の装置構成や制御方法について解説をする.
  • 上原 康博
    2009 年 48 巻 5 号 p. 417-423
    発行日: 2009/10/10
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
    新しいカラー定着技術であるFBNF技術は,小熱容量定着ロールと薄肉ベルトと加圧固定パッドで構成され,ワイドニップを得ることができるという特徴を有している.これにより,ウォームアップタイムの短縮,省エネ,小型低コストなどの長所を有している.
    FBNFは約9年前に初めて商品に搭載された以降,これまで富士ゼロックスの多くに複合機やプリンターに採用されてきた.この技術は今後も進化し,適用領域を拡大していくと考えられる.
  • 鈴木 貴志, 澤畑 昌, 小野寺 健
    2009 年 48 巻 5 号 p. 424-431
    発行日: 2009/10/10
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
    1975年に,初の超高速連続帳票用モノクロレーザープリンターIBM 3800が上市され,その後,シーメンス,日立などにより相次いで製品が発表された.1977年に(株)日立製作所より,H8196-P10が上市された.1,2)当時の印刷速度は,432mm/s(17ips)程度であり,本報告で述べる巻きつけなどの大量エネルギー投入技術は開発されていなかった.超高速連続帳票用モノクロレーザープリンターは.官公庁や会社等において帳票印刷などの基幹系業務における出力装置に用いられてきた.基幹系業務では,請求書や明細書等々の大量印刷ジョブを短期間で出力する為,突出したピーク業務への対応力を備える印刷の生産性が重視され,印刷速度の高速化,高い耐久性,高い信頼性が求められてきた3).また近年では,ダイレクトメールやブック印刷などのモノクロオンデマンド印刷用途も増加してきており,帳票用紙への幅広い対応力と画質の更なる性能向上が望まれるようになってきた.本報告では,超高速連続帳票用モノクロレーザープリンターを概説し,特に定着プロセス技術について,超高速印刷における短時間での大量定着エネルギー投入技術と,連続帳票特有の定着機における蛇行補正技術について,特徴を紹介する4)
    (1)プレヒーター技術
    (2)定着装置の生産性確保技術
    (3)帳票用紙後方巻き付け定着技術
    (4)帳票用紙の蛇行補正技術
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