オフセット印刷はこの15年ほどで飛躍的な進歩を遂げた.その大きな理由はCTPの普及である.CTPと版自動交換装置の組み合わせで見当調整が自動になり,インキキーコントロールシステムで色調整も自動化された.そのほかにもハード,ソフト,材料など様々な面で自動化,標準化が開発され,ロングラン・ローコストオペレーションから,ショートラン・短納期まであらゆる分野をカバーする高生産性システムとなった.
一方で,印刷用紙の生産・消費動向を見ると,先進国では伸び悩み,今後の需要は新興国にシフトしてきている.特に日本は人口減少に直面しており,将来の消費は減少していく.内需型の産業構造では限界に来ているといえよう.
また,デジタル化の進行によるスキルレス化で,高度なグラフィックアーツのノウハウが伝承されなくなってきている.企画から製造,流通までをコーディネートするプリンティングディレクターの育成が重要な課題である.将来のPOD市場,グラフィックアーツ市場の成長を握る鍵は,グローバル化と人材の育成にかかっているといえよう.
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