日本画像学会誌
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54 巻, 2 号
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原著論文
  • 田中 真也, 窪田 啓介, 辺見 香理, 杉本 奈緒美
    2015 年 54 巻 2 号 p. 102-108
    発行日: 2015/04/10
    公開日: 2015/04/13
    ジャーナル フリー
    商用印刷分野では,オフセット印刷と同様の幅広い種類の用紙対応力が求められている.特に表面に凹凸加工を施したエンボス紙は,その独特の質感から印刷物の表紙などに使用されることが多いため,エンボス紙へ印刷できる技術が望まれていた.リコーでは2013年6月発売のRicoh Pro C5110S/C5100SにAC転写技術と弾性定着ベルト技術を搭載し,エンボス紙への印刷を可能にした.今回,AC転写の新規非対称交流波形技術と,弾性定着ベルト層厚の最適化により,印刷可能なエンボス紙の種類を格段に広げると同時に,画像品質も向上させた.本論文では,上記エンボス紙印刷品質向上技術について報告する.
  • 中道 諒介, 木村 友, 永瀬 隆, 小林 隆史, 瀧宮 和男, 濱田 雅裕, 内藤 裕義
    2015 年 54 巻 2 号 p. 109-114
    発行日: 2015/04/10
    公開日: 2015/04/13
    ジャーナル フリー
    有機電界効果トランジスタ (OFET) の溶液プロセスにおける環境負荷低減のため,非ハロゲン系溶媒を用いて成膜した2,7-dioctyl [1] benzothieno [3,2-b] [1] benzothiophene (C8-BTBT) を半導体層として有する塗布型トップゲートOFETの高性能化を検討した.熱架橋poly (4-vinylphenol) 層を塗布した基板を用いることで,非ハロゲン系溶媒のトルエン及びシクロヘキサノンを用いたOFETの素子特性の改善が可能であることが分かった.非ハロゲン系溶媒を用いてスピンコート法により作製したOFETにおいて,クロロベンゼンから作製した素子に匹敵する4cm2 V-1 s-1を超える移動度や優れたサブスレッショルド特性を達成した.
  • 宮谷 勇佑, 面谷 信
    2015 年 54 巻 2 号 p. 115-122
    発行日: 2015/04/10
    公開日: 2015/04/13
    ジャーナル フリー
    人間が金/銀色と認識している対象物は測定器を用いた物理的な計測によると黄色/灰色として測色される.なぜ人間の視覚では黄色/灰色とは異なる色として金/銀色が認識されるのだろうか.その疑問に対し,著者らは金/銀色の認識には対象物表面において広い意味での映り込みの存在が必要であることを直接/間接照明下での認識実験をもとにすでに述べている.そこで今回は,映り込みを理想的な形で示す鏡に着目し,鏡の表面に濁り/着色/歪み/微細な凹凸など様々な阻害要素を与え,鏡面が金/銀色に認識されるか検証を行った.その結果,鏡の表面に映り込み像が周囲環境の鏡像としては認識できなくなる程度以上の外乱要因を与えることにより,対象物を金/銀色として認識させることが出来ることを確認した.
Imaging Today
  • 松坂 修二
    2015 年 54 巻 2 号 p. 124-132
    発行日: 2015/04/10
    公開日: 2015/04/13
    ジャーナル フリー
    粒子の表面改質には化学的,物理的,あるいは機械的方法があり,さらに材料特性 (有機/無機) や処理工程 (湿式/乾式) の違いによって,その手法は多様化している.これらの中で,樹脂粒子への超微粒子の外添,すなわちトナー粒子の複合化は,主に機械的方法が採用されている.外添剤は,粒子の付着,流動性などの制御のために使用されており,これらの特性は外添剤の種類と添加条件に大きく依存することが知られている.本稿では,粒子の表面改質および複合化技術の概要を記したのち,特性の僅かな違いを検出して多面的に評価する方法,すなわち,平均値あるいは代表値ではなく,データの統計分布やプロファイルを用いる方法を解説する.付着性の評価では気流法を取りあげ,外添状態,粒子の初期電荷,外部電場の影響を説明するとともに,トナー・キャリア間の付着強度分布も紹介する.流動性の評価では振動細管法を取りあげ,外添剤の大きさ,添加量,添加状態,樹脂粒子の形状よって流動性プロファイルが変化することを示す.
  • 内藤 直弘
    2015 年 54 巻 2 号 p. 133-139
    発行日: 2015/04/10
    公開日: 2015/04/13
    ジャーナル フリー
    外添剤はトナーの部材の中でも添加量が最も少ない成分のひとつであるが,トナー設計上では非常に重要な役割を果たしている.今日のトナー業界から求められる要件の多様化や技術的な複雑さが増加していることを受け,当社ではAEROSIL®製品およびAEROXIDE®製品の豊富な製品群を開発し続けてきた.ここでは,当社が開発してきたフュームドシリカおよびフュームド金属酸化物をベースとした無機微粒子の製法,特徴について紹介する.併せて,新たな高性能外添剤として,フュームド法で製造したサブミクロンシリカと湿式法で製造したサブミクロンシリカに乾式法で表面処理を行うハイブリッドプロセスにて製造したサブミクロンシリカの帯電特性,高度な疎水化技術,トナーに外添した後の外観などを紹介する.
  • 青木 真里, 近重 陽平, 小松原 胆治, 上田 雅英
    2015 年 54 巻 2 号 p. 140-147
    発行日: 2015/04/10
    公開日: 2015/04/13
    ジャーナル フリー
    フュームドシリカはトナーの流動性を向上させるための外添剤として用いられる.シリカの表面状態は帯電性にも影響するため,その基礎的な物性を把握し制御することは,優れた新規製品の開発において重要である.  本解説では,シリカ表面のシラノールを定量する種々の方法と,実際に表面処理前後のシラノール量を測定した事例を紹介するとともに,熱分解GC-MSにより表面処理剤とシリカ表面との結合強度を比較した事例,さらに,固体NMRを用いてシリコーンオイルとシリカ表面との結合状態を詳細に解析した事例について紹介する.
  • 福丸 雅也, 池田 征弥, 藤井 淳
    2015 年 54 巻 2 号 p. 148-152
    発行日: 2015/04/10
    公開日: 2015/04/13
    ジャーナル フリー
    近年,電子写真方式のオフィス向けカラー複写機やカラープリンターの普及が進んでいる.さらに,高画質化と共に,電子写真方式は一部印刷市場にも提供されるようになってきた.これに伴い,カラートナーの普及やトナーの小粒子化が進んでおり,シリカと同様,酸化チタン表面処理品がトナー外添剤として使用されるケースが増えている.有機表面処理した微粒子酸化チタンは,外添剤としてトナーの帯電制御,環境安定性,および流動性の向上等に効果を発揮する.本稿では,酸化チタン外添剤の製法,表面処理や粒子径の違いによる外添剤としての機能について紹介する.
  • 塚田 武広
    2015 年 54 巻 2 号 p. 153-156
    発行日: 2015/04/10
    公開日: 2015/04/13
    ジャーナル フリー
    電子写真に用いられるトナーは,熱可塑性樹脂,顔料,ワックス,電荷制御剤,外添剤から構成されるのが一般的である.二成分系現像剤においてはトナーとキャリアを摩擦混合することで帯電させるが,トナー表面に存在する物質の影響はとりわけ大きいものである.そのためトナー表面に存在する外添剤は少量の添加量であったとしてもその機能を発揮し,トナーの帯電性,流動性,クリーニング性を向上させる役割がある.アクリル粒子に代表される有機微粒子は絶縁体であり,粒子径の制御や官能基の導入にも幅広く対応できることから外添剤として適した素材と言える.本稿ではトナー用外添剤として用いられる有機微粒子について,その特徴を述べる.
  • 松村 和之
    2015 年 54 巻 2 号 p. 157-161
    発行日: 2015/04/10
    公開日: 2015/04/13
    ジャーナル フリー
    ゾルゲル法により製造するシリカ微粒子について,合成方法及びトナー外添剤として応用した場合の特性について解説する.  ゾルゲルシリカ微粒子はテトラアルコキシシランを用いて,溶液中でアンモニア触媒により加水分解・重縮合を行い,製造される.  そのトナー外添剤としての特性としては,真球状で高疎水性に加え,他のシリカに比べ,環境帯電特性,アドミックス性,帯電立上り性に優れており,それら特性について解説し,今後の展望も述べる.
  • 吉村 健司
    2015 年 54 巻 2 号 p. 162-166
    発行日: 2015/04/10
    公開日: 2015/04/13
    ジャーナル フリー
    金属石鹸は,炭化水素で形成される非極性部位と,金属とカルボン酸とで形成される極性部位とで成り立っている.微粒子金属石鹸は,従来の金属石鹸製造技術をベースに開発したジェットミキシング法により世界で初めて合成に成功した全く新しい化合物である.本製造法は,粉砕工程などを用いずに,金属石鹸の粒径を微細化させることができることから従来の金属石鹸で達成できない特徴的な粒度分布と粒子形状の金属石鹸を得ることができる.  本稿では,微粒子金属石鹸を得るためのジェットミキシング法について解説すると共に,トナーモデルとしてポリメタクリル酸メチル (PMMA) 樹脂粒子に添加混合した際の流動性,帯電性について検討したので報告する.
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