日本画像学会誌
Online ISSN : 1880-4675
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59 巻, 5 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
論文
  • 高橋 雅人
    2020 年 59 巻 5 号 p. 474-479
    発行日: 2020/10/10
    公開日: 2020/10/10
    ジャーナル フリー

    色彩を三原色で表すような数値化の試みが触感でも行われてきているが,十分に確立されていない.このため,製品に触感を付与する場合は,さまざまな触感サンプルを作成し,人の感性に基づいて選択する事が行われている.理想的には,求められる触感について物理的な物性による数値化が行われ,これをターゲットとして製品化が行われる事が効率化や納得性の観点から望ましい.筆者らは,コーティング材料の触感を数値化する試みを進めてきた中で,当該技術を応用し,デザイナーなどがどのような触感を求めているかを明らかにし,効率的に触感を選定するツールの開発を試みた.本論文では,ベースとなる触感の定量化技術,開発したツールである『テクスチャーガイド』について述べる.

  • 原田 祥宏
    2020 年 59 巻 5 号 p. 480-486
    発行日: 2020/10/10
    公開日: 2020/10/10
    ジャーナル フリー

    インクジェット作像システムの開発において高画質を実現するためには,目標通りの位置とサイズでインクドットを並べる必要がある.隣接するドット同士が干渉し,ドットの位置や大きさが目標から変わると,画像に粒状のむらを生じる品質劣化の一つであるビーディング現象などが発生する.これを避けるため,着弾したインク滴を素早く広げ,素早く固化させることで,ドット同士の干渉を防ぐことが行われている.ドット同士の干渉の結果は画像品質で確認できるが,画像品質には様々な要因が重畳しており,画像品質によってインク滴が狙い通りに固化したかどうかを判別することは難しい.インク滴の固体化状態とそこに至るのに要する時間を知ることは,画像形成プロセスの適正化を効率的に行うことに繋がる.本報告では,上記を実現する手段の一つとして,動的光散乱法を用いて着弾後のインク滴の増粘過程の計測を行った.インク滴の濡れ広がりと増粘過程との関係が把握でき,インク滴が作像プロセス中で意図した挙動を取っているか直接確認することができるようになった.

複写機遺産特集
Imaging Today
  • 岡 建樹
    2020 年 59 巻 5 号 p. 505-508
    発行日: 2020/10/10
    公開日: 2020/10/10
    ジャーナル フリー

    電子写真技術におけるMBD (model based development) の検討フレームワークと特徴を,SE (systems engineering) に対する理解や自動車でのフレームワークとの関係を基にして紹介した.電子写真技術では,そのフレームワークと機能モデルを用いて各基本プロセスを検討することに加えて,機能が複雑に繋がっているという技術の特徴から,機能間の影響についても考慮することが必要であることを示した.電子写真技術を用いたシステムでの全体最適を目指す上で,機能モデルを用いて機能間の影響を検討し理解することが重要である.

  • 川浪 洋資
    2020 年 59 巻 5 号 p. 509-513
    発行日: 2020/10/10
    公開日: 2020/10/10
    ジャーナル フリー

    組み込みソフトウェアの開発能力の強化や人材の確保が近年日本の産業界の課題となっている.そのような状況の中,従来の組み込みシステム開発の課題を解消するためのモデルベースデザイン (MBD : Model-Based Design) が様々な産業界で適用が広がっている.本稿では,まずモデルベースデザインがどのような開発手法であるのか,従来の開発手法と比較してどのようなメリットがあるのかを示す.続いて最も適用が広がっていると言える自動車業界におけるモデルベースデザインの動向,組み込みシステム開発におけるモデルベースデザインの普及トレンド,そしてMFP (Multi-function Peripheral) 業界におけるモデルベースデザインの動向について実際の事例を交えての説明を行う.

  • 中村 幸宣
    2020 年 59 巻 5 号 p. 514-520
    発行日: 2020/10/10
    公開日: 2020/10/10
    ジャーナル フリー

    MBDを開発に適用するということは,システムズエンジニアリング (SE) の概念を用いて「製品の複雑性」に対応するべく「V字モデル (Vee model)」の左側で階層的に目標を割付けて行く際にモデルを活用するということである.そのためには「どんなモデルをどのように作製し,どう活用するか」の方法論が非常に重要であり,これができて初めてMBDの真価を発揮することができると言える.本稿ではその方法論としてFunctional Property Cascading法を紹介し,事例を示す.

  • 岡田 拓也, 高井 隆幸, 平山 順哉, 夏原 敏哉
    2020 年 59 巻 5 号 p. 521-527
    発行日: 2020/10/10
    公開日: 2020/10/10
    ジャーナル フリー

    一成分非接触現像におけるトナーの挙動を,独自に開発した測定装置を用いて解析した.その結果,現像ギャップ中のトナー移動は空間電荷制限電流に基づく事を明らかにし,現像の平衡モデル (以下,現像モデルと称す) を構築した.具体的には,一成分非接触現像では二つのトナー移動量の平衡状態が存在し,現像量が決定される事を示した.一つは,電位的にゼロとなる平衡状態で現像量が決定される場合である.もう一つは,トナーの付着力の影響で電位的にゼロとならない平衡状態で現像量が決定される場合である.前者は高コントラスト領域で起こり,後者は低コントラスト領域で起こる事が確認できた.

    本稿では,基礎実験の結果からモデルを作り,定式化し,メカニズム解析を定量的に行なったので紹介する.

  • 及川 研
    2020 年 59 巻 5 号 p. 528-535
    発行日: 2020/10/10
    公開日: 2020/10/10
    ジャーナル フリー

    本稿ではリコーにおけるモデルベース開発 (MBD) について解説する.MBDはシミュレーションモデルを用いた検討を設計プロセスの上流で行う手法で,試作機を用いた検討に比べ自由度が高いのが特徴である.当社開発事例のうち電子写真系でのMBDの例を5例紹介し,MBDでは複数の物理領域を網羅する連成計算を重視する必要があることを説明する.また,筆者らのグループが開発した連成解析環境FRONTIAと,その計算で用いるモード合成法およびモデル節点拘束手法について解説する.この手法は設定および使用が容易なことを特徴とし,この手法を適用した連成計算の一例として,電子写真系の慢性課題であるバンディングの一要因であるビームスポット位置変動を推定した事例を示す.

  • 西川 弘之
    2020 年 59 巻 5 号 p. 536-540
    発行日: 2020/10/10
    公開日: 2020/10/10
    ジャーナル フリー

    当社では,従来,複合機内の駆動系について,MATLAB®やScilabを用いた周波数応答解析を行い,駆動系全体のねじり剛性に起因する共振周波数を求め,これと加振周波数が一致しないよう設計してきた.しかし,この方法では,モデル化に関する知見や誤りが発生しやすい等の課題がある.そこで,この問題に対して1DCAE (1-Dimensional Computer Aided Engineering) ツールの活用可能性を検討した.具体的には,既存機種の駆動系を対象に,Dymola®を用いて1Dモデルを構築し,MATLAB®で構築したモデルや実測で得られたボード線図と比較した.Dymola®で構築した1Dシミュレーション結果はMATLAB®による結果とよく一致し,MATLAB®との同等性を確認した.また,他機種の駆動系についても同様に1Dモデルを構築し,フライホイール慣性を変更した場合の周波数応答解析を行った.その結果,1次共振周波数が実測値とよく一致し,1DCAEツールを駆動系共振問題へ活用できる可能性を示した.

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