日本画像学会誌
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最新号
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論文
  • 冨士本 直起, 高田 誠, 永瀬 隆, 小林 隆史, 内藤 裕義
    2021 年 60 巻 2 号 p. 112-119
    発行日: 2021/04/10
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル フリー

    異なる4種の蛍光ポリマー (Spiro-Red;SR, Super Orange;SO, Spiro-Green;SG, Super Yellow;SY) を発光層とする高分子発光ダイオード (polymer light-emitting diodes;PLEDs) を作製した.それぞれのPLEDsにおいて発光層の膜厚最適化を行った結果,最高電流効率は1.23cd/A (SR),4.33cd/A (SO),7.70cd/A (SG),11.2cd/A (SY) であった.最適化したPLEDsにおいて,発光層の電子および正孔のドリフト移動度 (μn, (μp) と二分子再結合定数 (β) をインピーダンス分光 (impedance spectroscopy;IS) 測定により同時評価した.IS測定によって得られた二分子再結合定数は,電子,正孔ドリフト移動度から算出したLangevin再結合定数よりも2桁程度小さいことが分かった.さらに,実測した二分子再結合定数から見積もった量子効率は,輝度から算出される外部量子効率と相関があることが分かった.

  • 小野 伸幸, 田中 秀登, 楡井 雅巳, 飽田 俊介, 古平 武史
    2021 年 60 巻 2 号 p. 120-126
    発行日: 2021/04/10
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル フリー

    インクジェット印刷はサイングラフィックス分野やテキスタイル分野,産業用途等に幅広く使用されている印刷技術である.インクジェット印刷の利点はデジタル製版によるオンデマンド印刷,特に少量多品種生産に適用可能な点である.一方で,インクジェット印刷における印刷対象物の多くは平面であり,ボトル等の立体物表面への加飾ではスクリーン印刷やパッド印刷が用いられている.これらの印刷手法は大量生産に適用できるが,多品種少量生産への適用が困難であるという課題がある.そこで,3次元物体表面へのインクジェットによる印刷を可能にするため,プリントヘッドと印刷対象物の相対運動を実現する6つの可動軸からなる印刷機構と,良好な印刷結果を得るための画像補正法を適用した3次元物体表面加飾に適用できる新しいインクジェットプリンターを開発した.

速報
  • 今野 耀士, 今野 和彦
    2021 年 60 巻 2 号 p. 127-132
    発行日: 2021/04/10
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル フリー

    超音波の振動の観測から,薄い金属やプラスチック等の薄い試料の形状や欠陥を評価する方法として,圧電振動子の径方向振動を使用し位相情報を用いたイメージングを行う方法について述べる.この方法は,圧電振動子を径方向振動させ,その超音波振動の情報を使用し,薄い金属板試料に存在する文字“U.S”の形状と欠陥を評価する方法である.イメージング結果を既報の厚み振動を用いたイメージングと比較し検討した.また,イメージング対象となる試料には欠陥 (“U.S”) を有する試料を使用し,検討を行った.この結果,径方向振動で位相イメージングを行うと,厚み振動で位相イメージングを行った場合に確認された位相の折り返しによる縞模様が抑制され,レーザプローブ法の適用により,レーザ光のスポット径程度の試料表面の形状を明瞭にイメージングすることができた.これらの結果から,電子回路基板等の薄い板状試料の欠陥の超音波イメージングに適用できる可能性を明らかにした.

Imaging Today
  • 宮本 栄一, 石田 英樹
    2021 年 60 巻 2 号 p. 134-139
    発行日: 2021/04/10
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル 認証あり

    現在,電子写真プロセスの重要デバイスである感光体の大部分を機能分離型負帯電有機感光体が占めている.それに対して京セラドキュメントソリューションズでは,環境配慮,高画質,低コストの観点から,正帯電単層有機感光体を採用してきた.正帯電単層有機感光体は電荷発生領域が感光層表面近傍にあり,潜像形成時の電荷移動距離が短いため,電荷拡散などによる潜像劣化が少ないとされてきた.本報告では,これら2種の有機感光体の潜像プロファイルを静電気力顕微鏡および潜像形成シミュレーションによる解析より,正帯電単層有機感光体が潜像劣化が少なく高解像度化に有利であることを確認した.

  • 岡田 英樹, 宮本 栄一, 水田 泰史, 横山 正明
    2021 年 60 巻 2 号 p. 140-148
    発行日: 2021/04/10
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル 認証あり

    新規なビスナフチルキノン化合物 (BNQ) を正帯電単層有機感光体 (organic photoconducttor, OPC) 用の電子輸送化合物として設計した.この化合物はジフェノキノン誘導体のπ共役面が拡張され,フタロシアニン顔料に対して適した電子受容性と高い電子輸送性能を有し,ポリカーボネート樹脂との相溶性も高いものであった.そのため単層感光体の電子輸送材料への適応を検討した.反転現像の正帯電プロセスでは,転写プロセス中に負電荷が感光体に印加され,電子輸送材料の電子輸送性能が低い場合,負電荷が膜内に残存し,メモリ現象の画像不具合を引き起こす.この問題の解決に,BNQを用いることによってメモリ電位を低減できることを確認し,従来の電子輸送材料と比較して実用上有効に機能することを確認した.

  • 樋口 宗大, 中根 良樹, 服部 好弘
    2021 年 60 巻 2 号 p. 149-156
    発行日: 2021/04/10
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル 認証あり

    レーザープリンターでは,感光体にポリウレタン製のクリーニングブレードを接触させることで,転写後の感光体表面の残留トナーを除去し,印刷品質を保っている.しかし,製品の長期間使用によってブレード先端に摩耗や欠けが発生し,印刷物上に色筋が発生することがある.本研究では,レーザープリンターのクリーニング機構を模したブレードオンディスク型の摩擦試験機を試作して,ガラス製のディスクと接触するポリウレタン製のブレードを光弾性観察した.材料試験機による引張試験,ならびに,試作した摩擦試験機による接触試験と摩擦試験を通して,ブレードの内部応力を可視化および定量化し,ブレードの内部応力におよぼすディスク上のトナーの影響を実測することができた.さらに,有限要素法を用い,ガラス板に摺動するブレードの力学的挙動を解析した.数値解析によって取得した応力分布を,摩擦試験によって取得した光弾性像と比較することで,定量化した応力分布の妥当性を検討した.

  • 加藤 重己, 坂口 雅敏, 廣中 啓太
    2021 年 60 巻 2 号 p. 157-161
    発行日: 2021/04/10
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル 認証あり

    モデルベース開発 (Model Based Development, MBD) の主な目的は開発業務の自動化による生産性の向上とシステムのメカニズム分析による新しいシステムのアイデア創出であると考える.物理式や高度なシミュレーションの連成によるモデル化には大きな工数を必要とするためにMBDを実施するときのネックとなっていた.実機の実験と汎用シミュレーションを組み合わせた簡易的なモデル構築の方法やAI (Artificial Intelligence),多目的最適化ツールの活用等のMBDプロセスの実践事例について報告する.

  • 山岸 義弘, 川口 弘達, 笠間 健一
    2021 年 60 巻 2 号 p. 162-168
    発行日: 2021/04/10
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル 認証あり

    製品の高機能化·多様化が進む中,設計品質の向上,高効率化を目的としたモデルベース設計 (MBD : Model-Based Development) が着目されている.物理モデルを用いて設計することにより,商品開発ステップの初期段階での設計品質が向上し,設計のフロントローディング化が可能となる.電子写真システムにおける定着プロセスについて,本手法を用いて設計を行った.伝熱のみでなく,トナーの粘弾性に着目したモデルを構築することによって従来よりも詳細な設計がモデル上で可能となった.本稿ではこれらの内容について,モデル化·設計·検証の一連の取り組みを報告する.

  • 松田 裕道
    2021 年 60 巻 2 号 p. 169-177
    発行日: 2021/04/10
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル 認証あり

    感光体ドラム駆動ユニットの新規開発で実践した体系的なモデルベース開発 (model based development, MBD) アプローチについて報告する.業界では初となる遊星歯車機構を採用した駆動システムの開発において,ロバスト性と耐久性を効果的に確保することを目的に,設計上流の開発プロセスにMBDと品質工学を活用した.機構設計では,樹脂部品の成形誤差や組立て誤差の影響を把握し,ロバストな設計指針を基に回転変動を抑えた遊星歯車機構を設計した.耐久評価では,予め寿命が既知の駆動ユニットをベンチマークとして,市場を想定した温湿度環境,動作モードで劣化テストを行い,立ち上がり時のモータ消費電流波形からSN比 (signal-noise ratio) を求め,ベンチマークと遊星歯車機構のSN比の差から寿命を短期間で予測した.更に,稼動時の負荷変動や歯車回転周期変動による速度変動を低減することを目的にフィードバックとフィードフォワード制御を組合せた制御系設計を行い高回転精度を達成した事例を紹介する.

  • 岡村 憩
    2021 年 60 巻 2 号 p. 178-185
    発行日: 2021/04/10
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル 認証あり

    AccurioPress C14000シリーズはコニカミノルタのフラッグシップモデルとしてお客様に新たな価値を提供し,ビジネスチャンスの拡大を可能とするマシンとするべく開発された.本機では電子写真作像プロセスにおいて様々な新たな技術を搭載し,従来機からの更なる「生産性の向上」,「信頼性の向上」,「メディア対応力の強化」を追及した.本稿ではAccurioPress C14000シリーズのコンセプトおよび製品概要を紹介するとともに,本機にて新規採用した作像プロセス技術について現像サブプロセス技術を中心に解説する.現像サブプロセスにおいては2段磁気ブラシ現像法による高速プロセス領域での現像性確保,現像部から飛翔するキャリアを感光体上で回収するキャリア回収ユニットの採用,現像剤の液面を検知·制御する「新たなオートリファイニング方式」による安定性向上,及び高耐久化を実現した.

  • 戸坂 彰彦, 高橋 大介, 徳田 哲生, 前畠 康広, 鈴木 裕次
    2021 年 60 巻 2 号 p. 186-193
    発行日: 2021/04/10
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル 認証あり

    RICOH Pro C5310S/C5300Sは,前身モデルPro C5210S/C5200Sの技術を継承しつつ,さらなる機能強化によりリコープロダクションプリンターのラインナップの強化を行っている.商用印刷で必要とされるキーワード 「高生産性」,「用紙対応力」,「高品質」,「高安定性」 を,オフィス用複合機並みのコンパクトなサイズで実現したデジタルフルカラープリンターである.主な特徴を以下に示す.

    1) 高生産性:52.3~256g/m2の用紙でカラー/モノクロともに毎分80枚 (C5310S) の出力

    2) 用紙対応力:封筒用制御,ノンカーボン紙対応

    3) 表裏見当精度向上:主走査レジスト調整機構,副走査調整機構,スキュー調整

    4) 高画質安定化:頁間濃度変動補正技術

    5) 光沢調整:光沢調整機構

Imaging Highlight
  • 鈴木 孝
    2021 年 60 巻 2 号 p. 194-198
    発行日: 2021/04/10
    公開日: 2021/04/10
    ジャーナル 認証あり

    化学物質による健康被害が問題となった胆管がんの事案など,最近の労働災害の状況を踏まえ,2014年に労働安全衛生法の改正があり化学物質のリスクアセスメントが義務化された.本法は施行の2016年6月から5年を迎えようとしており,労働基準監督署による未実施の事業者に対し指摘件数は増加している.一方,化学物質のリスクアセスメントが必要な対象化学物質を取扱っている事業者は化学業界に限ったことではなく清掃業,卸売業,小売業,飲食店,医療·福祉業など業態の規模に関係なく,かつ裾野が広いのが特徴である.化学物質のリスクアセスメントと聞くととても難しいものと思われ一歩踏み出せなかったという話しを良く聞く.しかし現在とても便利なツールも開発されており,本稿はそのような課題の一助となればと思う.

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