日本画像学会誌
Online ISSN : 1880-4675
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60 巻, 3 号
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論文
  • 濱野 光, 田中 聡一, 柴田 拓磨, 末冨 靖彦, 比江島 一樹, 倉持 裕介
    2021 年 60 巻 3 号 p. 226-231
    発行日: 2021/06/10
    公開日: 2021/06/10
    ジャーナル フリー

    コニカミノルタ独自の技術であるハーモニカ構造チップは低発熱·高周波駆動が特徴で,さらにコンパクトな多列化が可能なので,KM1024iやKM1800iなどコニカミノルタの高解像度インクジェットヘッドに用いられてきた.KM1024aLHG-RCはハーモニカ構造チップにインク循環機能を付与した新製品であり,インクの顔料沈降や乾燥に対して十分な循環性能を発揮しつつも,安定射出が可能な循環流路設計になっている.ここではKM1024aLHG-RCの優れた循環性能を実現する2方向循環構造をはじめとする循環流路設計,最大240pl (6kHz) で駆動可能なマルチ駆動型インクチャネル設計と,循環性能および射出性能に関する評価結果について報告する.

ノート
Imaging Today
  • 平倉 浩治
    2021 年 60 巻 3 号 p. 238-246
    発行日: 2021/06/10
    公開日: 2021/06/10
    ジャーナル フリー

    近年の各種業務プロセスのデジタル化に伴って,紙プリント需要が減少傾向で推移しているのは本会員周知のとおりであり,COVID-19パンデミックによりこの傾向が加速しているように見える.先進モバイル·デバイスに用いられるFPD (flat panel display) は,色域は十分で解像度も紙プリントと比較できるレベルであり,CPU (central processing unit) /GPU (graphics processing unit) の処理速度とあいまって画面サイズと質量の関係をある程度制限すれば,紙の代わりとして十分使える魅力的なモノになった.

    需要が減少傾向にある中で複写機·プリンター業界は,どのような基本姿勢でDX (digital transformation) に取り組んでいけば良い成果が得られるのだろうか.全体主義を志向し全てをのみ込む勢いのデジタルプラットフォーマー達を適正に評価して戦略上の脅威と意識する必要がある.長年良い関係を築いてきた顧客と新たなビジネスモデルを共に創り,パートナーとしての関係を一層深めていくことが大切であろう.そのためには構想力を持ち,明確なビジョンを描き自ら組織を率いる人材と,事業価値を現実のICT (information and communication technology) システムへと落とし込む技術者達の役割が極めて重要である.

  • 齋藤 敦子, 河内 律子
    2021 年 60 巻 3 号 p. 247-254
    発行日: 2021/06/10
    公開日: 2021/06/10
    ジャーナル フリー

    新型コロナウイルスによる在宅勤務の常態化は企業·個人の働き方に大きな影響を及ぼしている.首都圏,大都市を中心とした緊急事態宣言によるオフィスへの出社制限,コミュニケーションや業務プロセスのデジタル化,感染防止対策を施したオフィスへのリニューアルなど,企業はそれぞれのビジネスプロセスにおいて,オフィスの再構築を始めている.

    本稿は新型コロナウイルスによる大きな外的環境変化を受けて,今後,働き方がどう変わっていくのか,コロナ禍中に実施したアンケート調査や事例を踏まえて解説する.そして,With/Afterコロナの働き方に対してオフィスはどうあるべきか,その役割について展望する.今回のパンデミックは,都市の時代ともいわれる21世紀において予測されていた非常事態であるが,それによって加速するデジタル化や働き方改革の本質についてもふれ,知価社会における働き方を前提としたオフィスの再定義について論じたい.

  • 横山 公一
    2021 年 60 巻 3 号 p. 255-262
    発行日: 2021/06/10
    公開日: 2021/06/10
    ジャーナル フリー

    新型コロナウィルス感染症が世界的に蔓延し,未だに先が見えない状況が続いています.世界中で社会的距離を保つための指針 「ソーシャルディスタンシング」 が義務付けられ,仕事のスタイルはリモートワーク,テレワークが通常になりはじめる中,特に我が国は長年の 「紙」 と 「ハンコ」 を多用してきたワークスタイルの変容を余儀なくされ,社内の稟議書·申請書類や会社間でやりとりする取引関係書類もデジタル化が求められるようになりました.ビジネス文書における”ペーパーレス化“と”脱ハンコ“においてキーとなるものは 「法的要件の充足」 と企業の 「内部統制のデジタル化」,企業間の 「 (取引当事者の) 本人性確認」 です.本解説では主だった法的要件や指針の概要と電子のハンコ (電子認証) について説明していきます.

  • 牧野 陽一
    2021 年 60 巻 3 号 p. 263-273
    発行日: 2021/06/10
    公開日: 2021/06/10
    ジャーナル フリー

    日本国内における平時のテレワークの取組,2020年12月から緊急事態宣言中と解除後のテレワーク状況を国内各所から発信されているデータから,国内で2極化した社会·企業のテレワークの状況を解説したい.そして,ビフォアコロナ時代から積極的にテレワークに取り組んできたコニカミノルタジャパンのテレワーク実施の目的·実行体制と導入初期の状態から本格運用時の具体的内容と発生した課題を述べる.更に新型コロナウイルス感染症への対応で実施したウィズコロナにおけるテレワークの実践内容を,当事者たる従業員の意識及びテレワーク環境下での業務生産性の調査結果を交えて解説したい.また,ニューノーマル時代に向けた新しい働き方への試行,多様な環境を迎えた際の働き方の取組について解説したい.

  • 宮本 泰夫
    2021 年 60 巻 3 号 p. 274-280
    発行日: 2021/06/10
    公開日: 2021/06/10
    ジャーナル フリー

    近年の印刷市場は,オンラインメディアの利用拡大によるペーパーメディアの減少などから,その市場規模は大幅な減少を続けている.本稿では,ニューノーマル時代とも呼ばれる,新たな時代における商業印刷分野のあり方,ビジネスとしての考え方について,現状課題を踏まえた上で議論した.

    デジタル印刷技術の普及やスマートファクトリー化など,目に見える形での技術進展は目覚ましいものがある.しかしながら,本質的に印刷ビジネスが将来に向けてそのポジションを維持していくためには,現在のような製造業としての立ち位置や装置産業から脱却し,顧客視点にそのビジネスを転換していくことが求められているのではなかろうか.顧客のニーズ,印刷物が担うべき目的と役割,さらには印刷物が実現する効果を明確にし,顧客にその本質的な価値を見せていくことが最も重要なポイントであろう.

  • 小酒 克之
    2021 年 60 巻 3 号 p. 281-292
    発行日: 2021/06/10
    公開日: 2021/06/10
    ジャーナル フリー

    瞬く間に世界を一変させた新型コロナウイルスは,我々の生活様式も大きく変えた.日常生活における購買行動や食生活の変化も大きく,保存や運搬に必要な包装容器の重要度は増している.また,同時に包装容器の環境への影響についても,海洋プラスチックの問題など,大きな注目を集めるようになった.花王では 「Kirei Lifestyle Plan」 というESG戦略に基づき,水性インクジェットインクLUNAJET®を開発し,軟包装フィルム包装容器におけるデジタル印刷によるマーケティング価値と,水性インクによる環境負荷低減価値を提案している.本報告では,環境影響評価手法であるLIME3 (Life cycle impact assessment method based on endpoint modeling 3) を用い,LUNAJET®の環境パフォーマンスについて,従来の油性グラビア印刷との比較を行った.また,ポストコロナ時代の軟包装フィルム包装容器について,直面する環境課題の解決と持続可能な資源リサイクルを実現するため,全ての関連業界,消費者の皆様を巻き込んだ取り組みが重要と考える.

  • 橋本 圭介, Michael McCreary
    2021 年 60 巻 3 号 p. 293-302
    発行日: 2021/06/10
    公開日: 2021/06/10
    ジャーナル フリー

    電気泳動方式電子ペーパーは2000年代より電子書籍端末用のディスプレイとして,その目に優しく紙に近い表示品位により現在まで広く普及してきた.近年では医療現場において,反射型ディスプレイで自発光しないために患者の睡眠を妨げない,表示時のブルーライトの発生が少ない,などの特徴による患者への負担が期待されており,また,画面を書き換えるとき以外はディスプレイ自身は電力を消費しないためにパンデミック下や災害時などでの電源不足問題の緩和等が期待されて医療施設への設置が検討されるようになってきた.

    さらには,近年のパンデミック下での人の移動制限などによって隔離された環境での情報共有や会議などにも良いとが広がりつつある.本稿では,医療現場,病院内,および遠隔環境での会議などへの電子ペーパーの貢献についての事例を紹介する.

Imaging Highlight
  • 川上 勝, 古川 英光
    2021 年 60 巻 3 号 p. 303-307
    発行日: 2021/06/10
    公開日: 2021/06/10
    ジャーナル 認証あり

    近年食品3Dプリンタがフードテック技術の一つとして注目を浴びている.特に次世代の食技術開発との組み合わせや,食糧危機の解決手法としての食品3Dプリンタの可能性が期待されている.本稿では,食品3Dプリンタとはどのような技術なのか,造形の方法,用いている食材に応じて分類して説明し,現在どのような食品が印刷されているのか,また今後期待される食分野への応用について述べる.我々は介護食の3Dプリント技術について開発を行っており,単に食品の形状を再現するだけではなく,個人に合わせた硬さを調整できたり,食感を豊かにしたり,味や香りの広がりを持たせることで,従来の介護食に比べて大きな価値をもたらす技術開発について紹介する.

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