高速印刷においてインク液滴の合一を抑制し,速乾を実現する技術として,相変化型UVインクが開発された.相変化型UVインクは,高温では液体状態であり,紙に着弾すると直ちに冷却されてゲル状態となる.この冷却によりインクに添加されているワックスが析出し,インクをゲル状態に変化させる.この特性を利用して,高生産性と高画質を両立させる技術が用いられてきた.
しかし,冷却されたワックスが画像表面に析出し,ニスやラミネートの適性が低下する課題があった.そこで,AFM(atomic force microscopy,原子間力顕微鏡)を用いて画像の表面を観察し,ワックスの種類とゲル化および表面物性の関係を評価することで,最適なワックスとインクの配合を選択することに成功した.
今後も,画質と後加工を向上させる技術が進歩し,インクジェットの応用がさらに発展していくことが期待される.
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